【 名犬ラッシー 】
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贈呈者 |
おしろい伯爵
さま |
2011年12月16日 |
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おしろい伯爵様から
プリシラ・ラドリング嬢 & サンディ・モナハン嬢をいただきました♪
・・・1930年代半ば、イングランド北部ヨークシャー、羊の牧場とヒースの丘が連なる
炭鉱の村グリノールブリッジで生れ育った少年ジョンは、村外れの牧場で迷子だった仔犬の
ラッシーを拾い、育てることにします。
それからジョンとまるで兄弟のようにいつも一緒に過ごしたラッシーは、今では少年より
大きくなり、賢く毛並みの美しいコリー犬に成長していました。
ある日、ジョンのお父さんが事務長を務めるウェリントン炭鉱に鉱山主であるラドリング
公爵がスコットランドから飛行機で視察に訪れ、学校の休みで一緒にやって来た公爵の孫娘
プリシラは、ジョンやラッシーと友だちになりました。そして、お屋敷での堅苦しい生活を
抜け出して、ジョンやその級友のサンディ、コリンたちと楽しい数日を過ごします。
それからしばらくして炭鉱から石炭が採れなくなってしまい、閉山の危機が迫ります。
石炭は再び出ると一生懸命に調査するお父さんを信じたジョンは、プリシラのおじいさんに
もう少し待って欲しいとお願いに行きました。そして、犬のコレクターだった公爵は、もし
石炭が出なかったらラッシーを譲ることを条件にジョンの願いを受け入れます。
しかし、石炭の地層はなかなか見つからず、領地へ帰る公爵と共に預けていたラッシーも
スコットランドへ連れて行かれてしまいました。ラドリング公爵邸に着いたラッシーは檻に
閉じ込められ、離ればなれになったジョンを恋しがるラッシーを見るに見かねたプリシラは
ラッシーを解き放ちます。
こうして、600マイルも離れたジョンの居るグリノールブリッジ村を目指し、一路南へ
走るラッシーの長く辛い旅が始まったのです。
やがて炭鉱で石炭の新たな地層がとうとう見つかった時、苦難の旅路を乗越えたラッシーは
懐かしい家族の許へ戻ったのでした・・・
『ラドリング公爵、ぼくたちはまだ、大人にさせてもらえなくてもけっこうです
ぼくはただ、ラッシーといっしょに、野原を息が切れるまで駆けまわりたかった
それだけなんです!』
そう書き残して、公爵が開いてくれたパーティーを抜け出したジョンたちは、丘を駆け、
森を抜けて、プリシラと前に約束した冒険に出かけます。
「おーい、ラッシーー、プリシラー、サンディー、どこまで行っちゃったんだよー」
「ま、待ってよ、ジョン、お、おれ、もう走れないよ」
「コリン、大丈夫かい?」
「う、うん、ちょっと、休めば、平気さ」
「よかった、じゃあ、少し休憩しよう
でも、ほんとに、サンディったら、プリシラを連れてどこへ行ったんだろう?」
「ああ、それなら、おれ、分かると思うよ、ほら、これを見て」
「あ、コリン、コンパスを持ってきてたんだ」
「うん、それでね、サンディたちが走って行ったのは、北北西に向かってなんだ
その先に何があるか、ジョンなら分かるだろ?」
「北北西?・・・アッ、そうか!」
「ふう、やっと着いたわ
ね、プリシラ、覚えてる? スコットランドから帰ってきたラッシーがジョンと会えたの、
ちょうどこの辺りよ」
「まあ、それで、わたしをここに?
あの時には、ラッシー、立てないくらい疲れきってて心配したけど、もうすっかり元通り
元気になってよかったわね、ラッシー」
「ワン」
「サンディ、ここって、本当にきれいなところね」
「この川には、あちこちの泉から湧き出した水が集まってるんですって
だから、そのままでも飲めるくらい水がきれいだし、今みたいな真夏でも冷たくて、泳ぐと
とっても気持ちいいのよ」
「寒くないの?」
「うーん、ちょっとはね
でも、川原でこうら干しすれば、すぐに体が温まるから、また泳ぎたくなっちゃうの」
「そうなの・・・水に入ったら、冷たくて気持ちいいでしょうね・・・」
「プリシラ、なら、入っちゃおうよ」
「でも、そんなことしたら、お洋服が濡れちゃうわ・・・
水着、持って来ればよかったな・・・」
「あら、そんなのいらないじゃない
ここは滅多に人が来ないから、服、脱いじゃいましょうよ」
「え? お外で裸になるの?」
「もちろん」
「で、でも、サンディ、恥ずかしくないの?」
「あら、どうして? 村の子供は泳ぐ時、みんなそうしてるわ」
「でも、わたしたち、もう・・・」
「ん? もう、なに? プリシラ」
「ううん、何でもない・・・
(そうよね、わたし・・・わたしたち、まだ子供なんですもの・・・)
分かったわ、サンディ」
「そうこなくっちゃ! あたしが、脱ぐの、手伝ってあげる」
「あ、うん、ありがとう、サンディ」
「プリシラ、いい匂いがする・・・ねえ、これって、香水?」
「え、ええ、今日はパーティーだったから、少しだけ、オードトワレをつけてるの」
「ふーん、いいなあ」
「あら、サンディもお日さまみたいな匂いがして、すてきよ
じゃあ、今度は、わたしにサンディのお手伝いさせてね」
「うん、じゃ、お願い」
「風に素肌を直に吹かれるのって、サワサワしてくすぐったいような不思議な感じがする
ちょっと恥ずかしいけど、気持ちいい・・・」
「でしょう?」
「ウフフフ、わたしがお外でこんな姿になったのを、もしおじいさまがお知りになったら、
きっとお怒りになるわね」
「あら、あたしのおじいちゃんだったら、サンディ、水遊びもいいが風邪だけは引くなよ、
って言うくらいよ」
「サンディのおじいさま、優しくて、わたし、大好きよ」
「そうかしら? でも、ありがとう、おじいちゃん、きっと喜ぶわ
それにしても、プリシラって、肌が白くてすらっとしてて、とってもきれい・・・
それに比べて、あたしなんて色が黒いし、なんだか子供っぽいなって思っちゃう」
「あら、そんなことないわ
サンディ、お家のお手伝いをしていてえらいし、お肌も小麦色に焼けて、それって、ジョン
たちと、自由に、いっぱい冒険をしている証拠ですもの、わたしこそ羨ましいな」
「エヘヘ、そ、そうかなぁ・・・あれ? プリシラ、それ?」
「え、なあに? サンディ」
「プリシラ、もう、生えてるんだ!」
「え? アッ! こ、これ? うん・・・生えちゃった・・・
ね、サンディ、ジョンたちには内緒にしてね」
「分かったわ、プリシラ、その代わり、あたしがまだ生えてないのも内緒よ
だって、あたし、ジョンたちより、ほんのちょっぴりだけどお姉さんなのに、まだだなんて
シャクだもの」
「ラッシー、あなたも約束してくれる?」
「あら、大丈夫よ、ラッシーだって女の子なんだもの、女の子は女の子同士、秘密は守るわ
そうでしょ? ラッシー」
「ワワン」
「ラッシーはおりこうさんね」
「エッヘン、そりゃあもう、ラッシーはイギリス中の新聞に載った、名犬中の名犬ですもの」
「まあ、サンディったら、ウフフフフ」
「エヘヘヘヘ」
「ねえ、プリシラ、せっかく準備したんだから、泳ぎましょうよ」
「そうね、さ、ラッシー、あなたもいらっしゃいな」
「あら、だめよ、ラッシーには見張り番をしてもらうんだから
ラッシー、ジョンたちが来たら教えるのよ」
「あら、サンディ、ここでは子供はみんな、裸で泳ぐんじゃなかったの?」
「そ、それは、そのぉ・・・
あ、そ、そうよ、プリシラみたいなレディのハダカ、ジョンなんかが見るの10年早いわ!
プリシラだって、そう思うでしょ?」
「うーん、わたしは・・・ジョンになら、見られてもいいかな」
「エーッ! ほ、ほんとに!?」
「・・・ウフフ、うそうそ
いくらオテンバなわたしでも、男の子にこんな姿を見られちゃうのは恥ずかしいもの
それに、サンディだって、もう立派なレディよ」
「もう、プリシラったら、あたし、本気にしそうになったじゃない!」
「ウフフ、悔しかったら、わたしを捕まえてごらんなさい
こう見えても、わたし、泳ぎは得意なんだから・・・エイッ」
「あ、ずるい、よーし、あたしだって・・・ソレッ」
川の楽しげなせせらぎに誘われるように、少女たちの笑い声が川面を渡ります。
農家の家のお手伝いをしているサンディ、よろず屋の家のお手伝いしているコリン、仕事で
不在がちな両親を手伝い炭鉱の閉山騒ぎの時には一生懸命になってお父さんを助けたジョン、
そして、将来お婿さんを迎えてラドリング公爵家を担うことになるかもしれないプリシラ、
これから先、それぞれの道は分かれてしまうかもしれません。ですが、子供時代を過ごした
グリノールブリッジ村の思い出は、きっといつまでも4人の胸に残ることでしょう。
otto |
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