【  白い水仙  】


贈呈者 真紅 さま 2011年8月21日






真紅様から

サンディベル・クリスティー嬢をいただきました♪


・・・厳格ですがやさしい父レスリーの許、スコットランドの片田舎で暮らす12歳の少女
サンディベルは、時には男の子とも取っ組合いのケンカをしてしまうような、ちょっと活発
すぎるところもありますが、ほがらかで元気な少女に育っていました。
そして、町の近くに別荘を持つウエリントン伯爵夫人と知り合い、亡くなったと聞かされて
いた母の面影を重ねて夫人に憧れるサンディベルは、ある日、花園のプリンスこと伯爵家の
一人息子マークと出会い、画家を目指す青年にほのかな恋心をいだきます。

 しかし、事故による夫人の突然の死によってウエリントン家は破産し、そこにつけこんで
前々から伯爵家の門地に目を付けていた成り上がり者シアラー財閥の会長が、自分の一人娘
キティとの結婚を条件に援助を申し出ます。亡き母が必死に守ろうとした伯爵家を捨て去る
こともできず、心ならずも一度はそれを承諾してしまったマークでしたが、サンディベルに
惹かれている自分の心を裏切れず、婚約披露パーティーの夜に失踪してしまいます。
町を去る間際、マークは一目サンディベルを見ようと少女の寝室を訪れ、眠っている少女に
スケッチブックを残していきます。なんだか胸騒ぎがして目が覚めたサンディベルが窓辺に
置かれたマークのスケッチブックに気付いてそれを開くと、そこに描かれた沢山の絵からは
青年の少女への想いが伝わってきます。
そして、そこに挟まれていた手紙には、いつか画家として成功したら必ず迎えにくるという
青年の決意が綴られていたのでした。

 マークがいなくなってしまう! 青年を追って思わず家を飛び出そうとするサンディベル
でしたが、折悪しく、父が持病の心臓病を悪化させて倒れてしまいました。
その後なんとか持ち直したものの、クリスマスを祝った夜明けに再び倒れてしまった父は、
サンディベルが自分の実の娘ではないと少女に明かし、そのまま帰らぬ人となってします。
 ロンドンのカーン・ロンウッドを訪ねなさい、という父の最後の言葉に従い、天涯孤独の
身となったサンディベルは、傷心を胸の奥に隠してこれまで親切にしてくれた町のみんなに
明るく別れを告げると、懐かしい故郷を後にロンドンへと旅立つのでした。

 初めて訪れたロンドンに迷いながらやっとたどり着いたロンウッドニュース社は、今にも
潰れそうな小さな新聞社でした。ロンウッドは親友だった父の死を知って悲しみながらも、
サンディベルを温かく迎えてくれました。しかし、その妻オナーは突然やって来たサンディ
ベルを疎ましく思い、屋根裏部屋へと追いやって下働きのようにこき使い、娘エバともども
何かにつけて意地悪をして、少女を追い出そうとするのでした。

 次第に明らかとなっていく、サンディベルの出生の秘密、生き別れとなった母親の行方、
そして、愛するマークと再会できる日はいつ来るのでしょうか?
少女の成長とともに、波乱に満ちたサンディベルの物語は語られていきます・・・






 屋根裏部屋の窓から覗く寒々しいロンドン、それは故郷スコットランドの明るい景色とは
何と違っているのでしょう。オナー夫人たちの意地悪に一人涙ぐむ夜もあるけれど、少女は
持ち前の明るさで耐えていきます。そして夜明け、お日様が霧を払い、元気を分けてくれる
ように温かい光を少女に投げかけます。
いつかは夫人やエバとも仲良くなれる、サンディベルはそう信じるのでした。




                                      otto