【 牧場の少女カトリ 】
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贈呈者 |
おしろい伯爵
さま |
2011年8月12日 |
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おしろい伯爵様から
カトリ・ウコンネミ嬢をいただきました♪
・・・1900年代初頭の北欧スカンジナビア半島の東側、古くはスオミの国と呼ばれた、
フィンランドの小さな村に一人の少女が祖父母とともに暮らしていました。
その少女の名はカトリ・ウコンネミ。お父さんはすでに亡くなっており、少女が6歳の時に
お母さんがドイツへ出稼ぎに行ったのですが、やがてヨーロッパ中で戦争の嵐が吹き荒れる
ようになると、お母さんからの音信が途絶えて仕送りも届かなくなってしまいます。
こうして家が生活に困るようになり、祖父母を助けたいと願った孫娘がお屋敷に奉公する
決意をしたのは、カトリがわずか9歳の時のことでした。
最初の奉公はライッコラ屋敷での家畜番でした。お屋敷のご主人は大変厳しい人で、言い
付けを守れなかった少女を鞭打ったこともありましたがそれもすぐ誤解と分かり、友だちの
マルティやペッカの助けを借りながら、カトリは一生懸命に働きます。
そんな少女にも嬉しいことが起こります。牧場で偶然知り合った青年アッキにカレワラの
本をもらって、それをなんとか読もうとする内に、貧しくて学校にも通えなかったカトリは
学ぶ喜びに目覚めます。そして、それを知ったアッキはそれからもカトリの勉強を応援して
くれるようになったのでした。
けれど、雪解けとともに牧場に熊が出没するようになって、家畜番が続けられなくなった
カトリは二番目の奉公先、クウセラ屋敷でロッタ奥様の小間使い兼クラウス坊ちゃんの子守
として働くことになります。お屋敷では優しい奥様に可愛がられ、坊ちゃんが病気になった
時に知り合った医者の卵ソフィアに憧れて、自分もいつか人の役に立つ職業に就けたらと、
将来を夢見るようになります。
やがて、軍人であるご主人が戦死してしまい、実家へ戻ることとなった奥様は、カトリにも
一緒に来て欲しいと言うのでした。
これまでの農村の暮らしとはまるで違う、都会での生活に不安を感じながらも、奥様から
学校へ通わせてもらえると聞いて喜んだカトリは、春になってトゥルクへ旅立ちます。
リラク邸ではロッタ奥様の叔母上であるイーネスがカトリのことを無学な田舎者と毛嫌いし、
何かにつけて意地悪をします。けれど、ある日、急病に倒れた医者嫌いなイーネスのために
カトリが女医となったソフィアを病院まで呼びに行き、そのまま放っておいたら危なかった
ことを知った彼女は、カトリのことをようやく受け入れてくれたのでした。
そして編入試験を受けたカトリは、これまで仕事でどんなに疲れていても勉強を続けてきた
甲斐あって、みごと特待生として入学を認められ、秋から学校へ通い始めるのでした。
それから数ヶ月が経ったある日、待ちに待ったお母さんからの手紙が、とうとうカトリの
許へもたらされます。
6年ぶりの母サラとの再会に喜びの涙を流したカトリは、もう12歳になっていました・・・
「そう・・・そんなことがあったの・・・」
「ええ、わたし、いろいろな人たちに助けられたり、教えてもらったりしたのよ」
「苦労、させてしまったわね・・・」
「ううん、そんなこと、ちっとも
みんな、いい人ばかりだったわ
わたしがこうしていられるのも、みんなのおかげなの」
「カトリ・・・今、幸せ?」
「ええ、幸せすぎて、怖いくらい・・・
だって、これからはいつでも、お母さんに会えるようになったんですもの・・・
ねえ、お母さん、正直に言ってほしいんだけど・・・」
「ええ、言うわ」
「わたし、お母さんが考えていたような娘になっていた?」
「いいえ」
「じゃあ・・・失望したのね?」
「いいえ、その反対よ
あなたはお母さんが考えていたよりずっとずっと、すばらしい娘になっていたわ」
「ああ、お母さん、わたし、うれしい」
おじいさんの家へ帰ったサラとカトリは、久しぶりに母娘水入らずでサウナに入ります。
そして6年間の空白を埋めるように語らい、話しくたびれてもなお、まるで目と目を合せる
だけで心と心が通じているように、いつまでも見つめ合うのでした。
otto |
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