【  小公女セーラ  】


贈呈者 おしろい伯爵 さま 2011年6月24日






おしろい伯爵様から

セーラ・クルー嬢をいただきました♪


 ミンチン学院の代表生徒になったセーラの境遇が一変したのは、少女の11歳の誕生日を
祝うパーティーが始まったばかりの時でした。
 父親がインドで有望なダイヤモンドの鉱山を手に入れたと聞いて、セーラをダイヤモンド
プリンセスと言って下にも置かぬ扱いをしていたミンチン院長は、彼の事業の失敗と本人の
死の知らせを受けて、態度を豹変させました。
『無一文のお前を置いてやるのだから、ありがたくお思い』とこれまでとは打って変わって
尊大なミンチン院長の言葉は、身寄りを亡くした少女への慈悲などではなく、ただ世間体を
慮っての事でしかありません。
 父親の死を悲しむ暇もなく、お父様が揃えてくれた豪華な調度品はもちろん、衣類さえも
取り上げられ、特別寄宿生室から追いやられた少女を待っているのは、これまで仲間だった
生徒たちの世話をする、メイドとしての生活でした。

「エミリー、今夜からここがわたしたちのお部屋よ
ごめんね、もう、あなたを座らせてあげる揺り椅子はないの
でも、わたしも、お洋服、これしかないの、だから、がまんしてね」

 物置も同然の屋根裏部屋で、少女はたった一人残された友だちのエミリー人形に向かって
語りかけます。そんな少女の頬を濡らす涙を見たのはエミリーだけでした。



                                      otto