【 HAPPY NEW YEAR 】
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贈呈者 |
ラファエル(S.W.MANIA)
さま |
2004年1月4日 |
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ラファエル(S.W.MANIA)様から
お年賀をいただきました
『 ラファエル(S.W.MANIA)様作 BACKEYシリーズによせて 』
< プロローグ >(Mania Street様 GALLERY 【 トムの青い鳥 】参照)
――僕の乗った蒸気船が川を溯っていく。
外輪が水をかく音は力強いが、雄大な川の流れはあくまでも長く広く、船のデッキから眺める
景色はゆっくりと移っていく。
自分が一人前だと思えるようになった時、僕は故郷の村よりももっと広い世界への憧れに誘
われて居ても立ってもいられなくなった。そして伯母さんがまだ世間に出るのは早すぎるって
心配したのも聞かず、とうとう故郷を飛び出したんだ。
その後はいろいろな場所を渡り歩いていろいろな仕事をしながら国中をあちこち、時には別の
国も見てきた。その間に時間もいつの間にか随分経ってしまった。
だが僕は後悔していない。失くした夢も多かったけど、叶えられた望みもあったから。
でも……僕の心の一部はいつも故郷と結ばれていた。
ハック、ジョー、ビリー、ベン……お前たちと過ごした子供の頃の思い出は今も僕を励まして
くれる。メアリー姉さんは結婚してもう居ないけど、ポリー伯母さんとシッド、二人の住む村
の木々も今頃は緑が濃くなって、今年もきれいになっているだろう。
そして、懐かしい思い出の中でひときわ輝いているのはベッキー、君だよ。
でも、まだ子供だった僕は男の子の仲間たちとの遊びに夢中で、君を怒らせたり淋しい思いを
させた事もあったね。喧嘩をした時には、わざと君を困らせていじわるをした事もあったけど、
君は最後には僕を許してくれた。
本当はね、突然村に現れた君に、僕は今思っても可笑しいほど夢中だったんだ。
僕が必死になって君にプロポーズして、二人でままごとみたいな婚約をしたことを、君はまだ
覚えていてくれるかい?
初心だった君は僕のお願いをきいてくれて、二人だけの秘密をいくつも作ってくれたっけ……
でも信じて欲しいんだ、あの時は僕もまだほんの子供だったことを、ただただ自分には秘密に
されている、という理由だけで、それを見てみたい、と思うほどに……
ベッキー、あの時の君は本当にきれいだったよ。
女の子があんなにきれいだと思ったのは初めてだった。
そしてもちろんハックたちにはこんな事、口が裂けても言えないけど、女の子を守ってあげる
のが男の子の役目だってことも、みんな君が教えてくれたんだ。
ああ、ベッキー、君は今も元気にしているだろうね……
どんなに遠く離れていても、僕の心の中で君はいつまでも僕に微笑んでくれる……
僕のベッキー……――
< 第一章 >(Mania Street様 GALLERY 【 ベッキー1 】参照)
――この時の僕は本当に子供だった。自分の思い通りにならない苛立ちから、あんなに一生
懸命になって僕の願いを聞いてくれたベッキーの心を傷つけてしまった。
君の精一杯の愛は、ただそれだけで十分すぎる贈り物だったはずなのに……――
今から160年ほど昔、ミシシッピー河流にある片田舎の村、セント・ピーターズバーグに
トマス(トム)・ソーヤーという男の子が暮らしていました。
トムの両親はすでに亡くなっていますが、ちょっと口うるさいけれど人のいいポリー伯母さん
の家で、そんな事を感じさせない元気な……、元気すぎる……、う〜ん………、まあ、冒険に
憧れる少年時代を謳歌していました。
そこに蒸気船に乗って見馴れない女の子が現れます。女の子の名はレベッカ(ベッキー)・
サッチャー、セントルイスから来たというこの娘は野暮ったい村の女の子よりも随分あか抜け
て見え、一目見るなり将来結婚するのはこの娘しかいない、と決め込んだトムはあの手この手
でベッキーの気を引こうとします。
初めはすましていたベッキーも自分に気に入られようと一生懸命なトムの様子を見て、取すま
した都会の男の子とはぜんぜんタイプの違うトムの事をしだいに好きになっていきます。
そしてとうとうトムがプロポーズした時には、ベッキーはトムと婚約することにしてしまい
ました。
「ねえ、ベッキー、ぼくとコンヤクしてよかった?」
「ええ、とっても」
「ぼくもとてもうれしいよ、でもね、この村のしきたりでは、まだ正式なものではないんだ」
「えっ! 二人で約束するだけじゃいけないの?」
「うん、ギシキをすることになってるんだ」
「ギシキ、って?」
「それはね、女の子が…………」
「ええっ! そ、そんなこと、ホントにするの!?」
「うん、そうなんだ
ねぇベッキー、ショヤ、って知ってる?」
「!……ううん、し、知らないッ」
「そう、ぼくも詳しくは知らないんだけど、ケッコンしたてのカップルの噂を大人がしている
のを酒場で聞いたことがあってね」
「まあ! トム、あなた、子供のくせに酒場なんかに行ったの!?」
「あ、いや、もちろん行ってやしないさ、傍を通りかかった時、偶然聞こえたんだ」
「よかった、わたし、あんなとこに行く人って嫌いよ」
「うん、もちろんさ……それでね、表から聞こえた話だとケッコンするとショヤってギシキを
しなくちゃいけないらしいんだ」
「ど、どんな事する?」
「えーと、こんな話だったかな……
お婿さんと花嫁さんが二人とも服を全部………………だって」
「エエッ!!
(ホントはさっき、ケッコンのプロポーズを受けても良かったんだけど、コンヤクだけにして
おいて、よかったぁ……
だってそんな事されたらわたし、くすぐったすぎて、きっと我慢できないもの)」
「ね? それに比べれば、コンヤクのギシキはそんなに難しくないだろ?
ベッキーとぼくはいつかケッコンするんだから、その練習みたいなもんだよ」
「う、ん……そう、よね……わたしたち、コンヤクしたんですもの……
いいわ、でも……あの、トム……ちょっとあっちを向いててくれる?」
「いいんだね!?
うん、わかったよ、よくなったら教えて、ベッキー」
・・・・・・
「トム……もう、いいわ……」
トムが振り返ると、ベッキーの手は可愛いおへそが見えるあたりまでスカートを持ち上げて
いました。おそらくベッキーの母親が与えているドロワーズの丈が娘のお腹が冷えないように
丁度そこら辺の高さだったのでしょう、トムの言った儀式の方法をちゃんと実行しようとした
ベッキーの腰はもう、そのさっきまで穿いていたドロワーズには覆われてはいません。
日焼けの跡一つ無い白い肌の下腹が、ペタンと尻を床につけて座った太ももの付け根でクッと
くびれて、きれいな逆三角形を形作っています。
ベッキーの頬は、直に床に触れたお尻が冷たく感じられるのも忘れて自分の部屋以外の場所
では決して晒したことのない肌を男の子に初めて見られていることに上気して、紅く染まって
いました。
でもこれで男の子と正式の『婚約』の『儀式』を済ませられたと思い込んでいたベッキーは、
なんとなく自分が大人の仲間入りができたように思えて、ちょっと晴がましい、そんな笑顔を
浮かべながら、トムもきっと喜んでくれるに違いないと期待して見つめ返していました。
トムの視線は、時にあらぬ方向にさ迷いながらも、その下を向いた三角形の頂点が見るべき
方向を指し示す矢印であるかのように、そこに惹きつけられていきました。
でも、座っているベッキーの脚はぴったりと合わせられていて、トムの一番見たい場所は内
ももの奥に隠れてしまっています。見る角度を変えれば、と思って、トムはもう少し近づいて
みたりしたのですが、やはり見えません。
トムはベッキーに脚を広げてくれるように言おうかとも考えましたが、もしベッキーが泣き
出したらと思うと、それも言い出せず、さすがのいたずら好きなトムも困ってしまいました。
そしてトムが最初はあんなに目を大きく輝かさせて嬉々として自分を見ていたのに、途中から
あまり喜んでいるように見えなくなったのが気になって、ベッキーも何か間違っていたのかと
不安になりだします。
「トム?」
「う…ん……ベッキー、きれい……だ……」
「ね、これでわたしたち、正式にコンヤクできたんでしょ?」
「あ、う、うん……でも……ちょっと違う、かな?……」
「ん……ドロワーズを脱いで、スカートを持ち上げれば、って、トム、言ったじゃない?」
「たしかにそうなんだけど……でもこれじゃ……見えないじゃないか」
「え? なにが?……」
「ベッキー……男の子が見たいっていえば、あそこに決まってるんだ」
「あそこ?」
「うん……ホントーに分からないの?」
「え、ええ……」
判事を務める父親の裕福な家に生まれてセントルイスでの遊び友だちに選ばれた男の子たち
もまじめ一方だったベッキーは、パパママごっこなんてこれまでしたことはもちろん、聞いた
ことも無く、男の子が女の子の身体のどこを見たがるのかを本当に知りませんでした。
無邪気に聞き返すベッキーに、トムは男の子同士の間でいつも使っている女の子のあそこを
指す言葉を言って下品だと嫌われるのも嫌だったし、かといってあれの事を上品な言葉でどう
言うかなんて思いつきません。
村の女の子なら同い年どころかもう少し小さな子でもちょっとお世辞を言って頼めばおませ
な子は男の子に頼まれて悪い気がしなくて、ちゃんと見せてくれたのに、ベッキーってなんて
察しが悪いんだ、と呆れたり焦ったりして、トムはいらいらしてつい余計な事を口に滑らせて
しまいました。
「エミーは、見せてくれたのになぁ……」
「エミー!? 見せたって、トムッ! あなた、他の女の子ともコンヤクしてたの!!」
「あ! あー、そ、その……エミー・ローレンスと、前に……
で、でも、あれは君が来る前だったんだ!」
「言い訳なんて聞きたくないわ!
トムなんて、もうしらない! もうわたしに話しかけないで!!」
ベッキーは泣きながら部屋を飛び出してしまいました。
こんな時に他の女の子の事を引き合いに出すなんて、とんだ大失敗です。すっかりベッキーを
怒らせてふられてしまったトムはなんとか仲直りしようとしますが、ベッキーは意地になって
トムを無視します。プライドを傷つけられてトムも怒ってしまい、それでもトムはベッキーの
事が気になって仕方がなかったのですが、やせ我慢をしてもう決して自分からベッキーに話し
かけようとはしませんでした。
そしてすっかり学校にいく楽しみが無くなってしまったトムは、元々勉強など好きなはずも
無く、憂さを晴らすように家出して、中州のジャクソン島でハックたちと海賊ごっこをしたり、
川で溺れ死んだと騒がれて一躍村の子供たちの英雄になったり、とますます腕白ぶりを発揮し
ていました。
そんなトムを見て、ともかく彼が生きていて良かったと胸をなでおろすベッキーは、本当は
まだトムの事が好きだったのに気づきますが、でもなかなか自分からトムを許す気になれない
で苦しんでいました。
< 第二章 >(Mania Street様 GALLERY 【 ベッキー2 】参照)
――あの日の朝、あんな事件をベッキーが起こすなんて、ましてその事がきっかけになって
ベッキーと仲直りできるなんて、その時が来るまで、まるで予感していなかったんだ――
そして仲直りのチャンスは思いがけない事件とともにやって来たのです。
若い頃医者を志していたドビンズ先生は教卓の引き出しにいつも医学書を入れ、教室を出る時
には鍵をかけていたのですが、その日は鍵が挿されたまま教室には誰も居ませんでした。
よく授業を自習にして先生がその本を読んでいるのを見ている生徒たちはみんなそれがどんな
本か知りたくてたまりませんでした。
たまたま一人で教室にもどったベッキーは引き出しに挿しっぱなしの鍵を見て、先生の本を
見てみたい誘惑にかられ、そっと引き出しを開けてしまいました。
パラパラとページをめくっていると、人体図が目に留まりました。それは男女の人体の各部
の名称が事細かに書かれていましたが、『男性器』『女性器』という見出しを見て、ベッキーは
耳まで真っ赤になってしまいながらもそこから目が離せませんでした。
そこへ何気なく入ってきたトムに気づいたベッキーは、先生の本を勝手にとって、しかも男
の人の裸の絵を自分が覘いていた事をトムに見られたと思うと、顔がカーっと熱くなる思いが
して、慌てて本をしまおうとした時にそのページを破ってしまったのです。
ベッキーはその敗れたページをポケットに隠して、やがてみんなが帰ってきた教室で授業が
始まりましたが、ドビンズ先生が本のページの破れにいつ気づくかと思うと気が気ではありま
せんでした。
いつものように本を取り出した先生はやがて本の異常に気づくと烈火のごとく怒りに震え、
犯人探しを始めました。順々に生徒たちの名が呼ばれ、とうとうベッキーの番が来ました。
ドビンズ先生はたとえ女の子でも容赦せず、お尻をみんなの前で丸出しにさせて細く硬い鞭で
ピシッ!、ピシッ!、と打ちます。
その恥ずかしさと鞭の痛みの事を考えると、ベッキーの顔は青ざめ声はわなわなと震えて、
あわやもう少しで先生に犯人だとばれそうになってしまいました。
その時、トムが自分がやったと名乗り出て、身代わりに罰を受けてくれました。
お尻をみみず腫れにされながら必死にたえて自分を庇っているトムに、今まで自分がしてきた
仕打ちが恥ずかしくてベッキーは顔を伏せて泣いていました。
今度こそ仲直りしようと、ベッキーは学校の帰りにトムを待って今までの事を素直に謝り、
お礼のキッスをするのでした。
こうして仲直りできた二人は次の日曜礼拝の午後、近くの森にピクニックに出かけました。
お手製のランチを甲斐甲斐しく食べさせたベッキーは、トムにどうしても見せたい物があると
言って、トムを林の中に誘います。
やがて周囲から見通せない木立に囲まれて、そこだけぽっかりと天井が抜けたように空から
お日さまの光が射し込む、二人だけになれる場所が見つかりました。
「トム、あの時はありがとう、ごめんなさいね、痛かったでしょう?」
「ああ、あんなのへっちゃらさ、どうせいつも打たれてるからなれっこさ」
「わたしがやったって気づいてて、だから、わたしの身代わりになってくれたのね?」
「もちろんさ! だって僕は君のナイトなんだ!
ベッキーをいじめる奴から君を守ってあげる、あの時も、これからも、ずっとさ!」
「うれしいわ、トムッ!
でも……、わたしが悪いことをしたのはたしかなんだわ……
それなのに、あなただけが痛い思いをするなんて、不公平だわ……」
「そんなの気にしなくってもいいのになぁ」
「ううん……わたしの気がすまないの……トム……わたしのお尻を、ぶってちょうだい」
「ベッキー……」
「お願い……
みんなの前でお尻を直にぶたれるなんて、そんなこと恥ずかしくてできそうにないけど、
トムになら……」
「分かったよ……
でもナイトのぼくは、やっぱり女の子は打てないんだ……だから……
そうだ、ベッキーのお尻を見るだけなら、それならやってあげられる
男のぼくはお尻を見せたって、ぜんぜん恥ずかしいなんて思わないから、
鞭をぼくが受けて、恥ずかしいのはベッキーが受けたことにすれば、
それでちょうど先生の罰を半分こに受けたことになると思うけど、
ベッキー、それでいいよね?」
「トムゥ……ホントにそれだけでいいの? ホントに?
わたし、トムに本気でぶたれたらどうしようって、ちょっと怖かったの……
ああ、トムって、あなたが言ったとおり、わたしのやさしいナイトなのね……
じゃあ、トム……見てちょうだいね」
「いいとも! あ、そうだ、準備ができるまで、また後ろを向いてようか?」
「いいえ!
今日はちゃんと準備してあるの、ほらっ!」
背中を見せたベッキーが後ろ手にエプロンドレスをさっと払い上げると、それまで気づきま
せんでしたが留めボタンが外されていたスカートの布がパアッと花びらのように広がりました。
空から切り取ってきたような青色の花の中心には、日の光を浴びてほんのりバラ色に染まった
双子の丸い乳白色の果実が可愛らしく実り、その合わせ目の線を追っていくと、窪んだ陰には
さらに別の、小さな花弁がわずかにのぞいていました。
今まで何人かの女の子にあそこを見せてもらった事のあるトムも、あれが後ろからも見える
事に初めて気づかされ、女の子の身体ってなんて不思議なんだとびっくりして見詰めています。
でも当のベッキーはそんな事とは露知らず、お尻だけを見せているつもりで、ちょっとはに
かんでいる姿がとても微笑ましく思えました。
< 第二章(Addition) >
「今日は途中で強い風に吹かれたりしたらと思うと、わたしドキドキしてたの
だって家を出る時から下は着けてこなかったんですもの
もちろん教会の中でも……
神様もトムの英雄的犠牲につぐなうためなら、きっと許してくださるわよね?」
「あ……うん、そうだね、たぶん……」
「そうだわ、せっかく仲直りできたんだから、わたしたちまたコンヤクできるわよね?」
「もちろんさ、あの……ベッキーさえよかったら」
「だったらあのギシキ、初めからやり直させてくれる?」
「いいのかい?」
「そうしたいの……
トムは、エミーじゃなくて、わたしだけのナイトになってくれるんでしょ?」
だからギシキもちゃんとしておかなくてはいけないんだわ
それに、この前、トムが言ってた事、わたしにも分かったの……
ほら、これ、あの本の破れたページ、
トムが見たがってたあそこって、この『セイキ』っていうとこだと思うの……
わたし、トムが好きだもの……
今度はどんなことでも、言うことをきいてあげる……
これで……見える?」
ベッキーはトムの前に向なおるとスカートをたくし上げてそれを胸に抱きました。
トムに渡した人体図と同じように両足を開いたベッキーの下腹部は木洩れ日を受けて白く輝き、
若草というより産毛のような柔毛がキラキラと光を返しています。
その中心には先ほど後ろから見えた線がそのまま続いているように、両足の付け根の間を少し
くすんだ肌色の割れ目が見え、それは中に何か秘密を隠したクレバスのようでした。
「うわぁ! すごい…すごくきれいだよ、ベッキー……
エミーの事はもういいんだ、それに、見せてくれたっていっても、あっという間で、
すぐスカートで隠しちゃったんだ、それにこんなに明るいところじゃなかったし」
「まあ! それじゃ、ちゃんと見るのはわたしが最初なの?」
「うん」
「本当!? じゃあ、わたしが一番ギシキをうまくできたのね?」
「うん、ベッキーが一番だ!
これでぼくたち、正式にコンヤクしたんだよ
それでね、ベッキー、お願いがあるんだけど……
あの……もっとよく見たいんだ……」
「このままじゃ見えにくい?」
「うん、ちょっと陰になってるからね……
そのまま座って、ぼくの言うとおりにしてくれる?」
「はい、わたし、トムのコンヤクシャですもの……トムの好きにしていいの」
「えーと、それじゃ……ひざの裏に腕を通して……腕で脚を抱きかかえてみてくれる?
そう、でね、そのまま仰向けに寝てみてよ」
「こ、こう?」
「うん、これで今まで陰になってたとこもお日さまが当たって、
よーく見えるようになったよ
へぇー……ここって、こうなってたんだ……」
トムは周囲に比べ、わずかに朱を帯びてぷっくりと小高く盛り上がった丘を割るクレバスを
穴の開くほどじっと見詰めています。
なぜそうなるのかわからなかったのですが、トムの呼吸はどんどん速く荒くなっていきました。
その息のかかるのが感じられるくらい間近で、女の子の一番大事なところをトムに見られて
いると思うとどうしようもなく恥ずかしくなって、ベッキーはぎゅっと固く目を閉じてしまい
ました。まぶたを透かして赤っぽい光を感じている内に心臓の音がどきどきと高鳴るのがどん
どん大きく聞こえるようになり、風邪をひいて熱を出した時のようにベッキーの頭はぼーっと
なっていきました。やがてするっと腕が緩んで抜けると、抱えられていた脚がすとんと落ちて、
しどけなく両脚が開かれた姿のままベッキーはしばらく朦朧としていました。
「・・・・・キー
・・・ベッキ・・・ベッキー……」
「う…ん…………トム?」
「よかった、ベッキー、大丈夫?」
「わたし……」
「ベッキー、急に何も返事をしなくなって、呼んでも気がつかなくなっちゃったんだよ」
「アッ!」
身体を起こしたベッキーが足元の方を見やると、トムが直したのでしょう、いつの間にか脚
は合わされスカートで覆われていました。ほっとした様子でひざを抱え込んだベッキーの頬に
一筋、涙がこぼれ、トムが心配そうに見ています。
「どこか痛くした?」
「ううん……」
「ごめん……」
「ちがうの……トムのせいじゃない……勝手に涙が出てくるだけ……」
「もう、こんなことしないから」
「…………ヒミツ……二人だけのヒミツにしてくれるなら……
わたしだけのトムでいてくれるなら……
いいわ……またしても……」
「うん、きっとそうする…約束だ
さあ、涙をふいて、えーと…ハンカチ、ハンカチはと……
あれ? たしかに持ってたはずなんだけど」
「うふふ、いいわ、わたし自分のを持ってるから」
「そ、そうだね、ぼくのはあまりきれいじゃないし」
「まあ! ウフフフフ」
「アハハハハハ」
「あっ、いけない、もうお日様があんなに低くなってる
早くお家に帰らないと、お母さんにしかられちゃう」
「送っていってあげる、さあ、急ごう」
「ええ、ありがとう」
夕焼けに空が赤く染まり始めた中を二人で家路に向かうトムは、さきほどの事など無かった
ように、かたわらで楽しそうに笑っているベッキーを見て、あらためて女の子って不思議だな
と思うのでした。
To be continued?
otto |
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