【 暑中お見舞い申し上げます 】
|
贈呈者 |
おしろい伯爵
さま |
2003年7月1日 |
|
おしろい伯爵様から暑中お見舞いをいただきました
<本編への私見>
13歳になったキキが魔女として一人立ちするため故郷を離れ修行の場所に選んだのは、
地中海に突き出た南欧のとある港町でした。
海に浮かぶように積み重なる家々、そのさらに丘の上にあるオソノさんの家に下宿することに
なったキキは、唯一使える魔法である空を飛ぶことで、お届け屋さんを始めます。
穏やかな故郷とは違い喧騒の渦巻く大きな街に戸惑い、お仕事で失敗をしたり、嫌な目に
あったりして落ち込むこともありましたが、自分を理解してくれる親切な人に出会ったり、
友達やボーイフレンドもできて、だんだんこの町が好きになっていくのでした。
しかし、突然飛ぶことが出来なくなったキキは思い悩み、街を離れて山中のアトリエを訪ねて、
年上の友達ウルスラに絵を描くことにもスランプがあると聞かされます。
『今はどうやって飛べたのか、分からなくなっちゃった……』
『魔法ってさぁ、呪文を唱えるんじゃないんだね?』
『うん……血で飛ぶんだって……』
ウルスラの問いに答えたキキの言葉は、キキに流れる魔女の血、その身体に変化が起こって
いることを暗示させます。
そして街に戻ったキキはボーイフレンドのトンボが飛行船事故に巻き込まれ空中に取り残された
事を知ります。
『飛びたい!』飛んでトンボを助けたい、と心の底から願い、箒ならぬデッキブラシにまたがり
再び大空を舞ったキキはトンボを無事助けることができました。
一度は見失い、そして、新たな魔女の血に目覚めたキキ
これはキキの心が(そして某御大は認めたがらないでしょうが、身体が)少女から大人へと
成長していく物語でした。
<作品によせて>
御大の得意な空中の浮揚を思わせるエンディングのワンカットから採られたこの作品は、細密に
描かれた建て込んだ街並と広々とした海と空との対比が背景となって、街並みを見下ろす屋根の
上に座ったキキが宙に浮かぶような開放感があります。
丸い月を珍しそうに無邪気に見上げているジジの子供の姿がかわいい。
微笑むキキの見ている方角には故郷の村があるのでしょうか?
煌々と輝く月光に浮かび上がるキキの初々しい裸体が美しい。
脚を大きく開いているのは視聴者サービスとも見えますが、滑りやすい丸瓦から落ちないように
足指を曲げて突っ張っているところをみると、これは当然の開脚ポーズですね。
そよ吹く陸風が夏の日差しに熱った身体に涼しそう。
屋根の縁に当たった風が屋根を吹き上がり、キキのほころび始めたスリットをなめて薄い陰りを
揺らす。
少し大人になったキキが涼感とは違う快感を感じることも考えられます。
少女の少し汗ばんだ肌をなでた風が運ぶ甘酸っぱい匂いを、その後ろで味わいたくなります。
そして、なにやら目を皿のようにして、ジジはどこを見つめているのでしょうか?
もしかして近くに住んでいるトンボがキキをのぞいているのかな?
夏の涼を運ぶすてきな作品をありがとうございました。
otto |
|