〜 レディ・ペリーヌ物語 30 〜
【 ― 池の畔の小屋 自分の力で ― 】
草の葉に結んだ清清しい朝つゆの匂いに包まれて目覚められたお嬢様は、目の前に静かに
広がる朝靄けぶる水面やお嬢様へお早うと挨拶しているかのように梢から射し込むお日様の
光の美しさに感動され、ここは何て素敵な所なんでしょうと思われました。
そうした景色に誘われてお嬢様が池の畔を散策されていると、岸からさほど離れていない
所に浮かぶ小さな島に小屋のような物が建っているが見えました。
興味を引かれ近付いて行かれると、岸からの距離が狭まって島へ渡れそうな場所があって、
お嬢様はバロンが見つけた渡し板を使って島へ渡ってみました。
数本の柳の木に間に隠れるように建つその小屋の正面には入口の扉と揚げ戸の窓があり、
中は長い間放っておかれて埃が溜まっていましたが足下の土間は乾いていて雨露はちゃんと
凌げそうで、8尺四方ほどの室内はお嬢様とバロンが暮らすのに十分な広さでした。
そうした事を見て取られたお嬢様には、下宿の不潔な大部屋よりもこちらの方が余程ましに
感じられ、ここでならば誰にも気兼ねせずバロンと一緒に伸び伸びと暮らしていけそうだと
思われました。
程なくして工場の始業を知らせる汽笛が聞こえ、バロンを残して急いで工場へ向かわれた
お嬢様はロザリーに池の畔の小屋の事を訊ねてみました。するとあれは冬の間だけ鴨撃ちを
するのに使われる狩猟小屋で、今は誰も使っていないと教えてくれ、それを聞いたお嬢様は
あの小屋で暮らそうと決心されたのでした。
そんな時、一つの事件が起こりました。ロザリーが機械に指を挟まれ怪我をしてしまった
のです。お嬢様はロザリーに付き添い事務所へ行かれましたが、工場長のタルエルは怪我の
痛みに涙する彼女に同情するどころか、自分の不注意から起こした事故ならば会社は責任を
持たない規則だ、どうしてそんな事になったのか説明しろと怒鳴りつけるばかりで、医者に
診せてくれようともしませんでした。
怪我で気が動顚して、それどころではなかったロザリーを救ってくれたのはビルフラン様
でした。騒ぎを聞き付けたビルフラン様は、彼女をすぐ家に帰らせ、掛り付けのリュション
医師に往診してもらえるようタルエルに手配させました。
家まで送る途中、ビルフラン様が自分に特別優しいのは、自分がエドモン様の乳母をした
フランソワーズおばあさんの孫だからだとロザリーは言っていましたが、彼女を送り届けて
工場へ戻る道すがら、お嬢様は思い浮かべられたお爺様の厳しいお顔のその奥に、それだけ
ではない隠された優しさを見た気がしました。
そうこうしている内に終業となり、工場を出てパンを買い求められたお嬢様は、下宿屋に
寄りましたが先渡しした宿賃は返して貰えず、バロンの待つ池の畔の小屋へと帰って行かれ
ました。
日が落ちると辺りは真っ暗になり、他に人っ子一人居ない林はしんと静まり返って、普通の
女の子だったらとても怖くてこんな所に住もうとは考えもしなかったでしょう。
ですが、お嬢様は少しも怖いと思われませんでした。それどころか、これからここをもっと
過ごし易い我が家に変えていこうと考えると胸がわくわくしてくるのでした。
翌朝、夜明けと共に目覚められたお嬢様は早速小屋のお掃除に取りかかりました。
切り取った柳の枝で積もった埃を掃われ終え、次に中に敷いてあったシダも取り替えようと
なさいましたが、工場の汽笛が鳴って、それを諦めたお嬢様は工場へ走って行かれました。
工場でトロッコを押すのにも次第に慣れて、小屋の事を考えていると時間はあっと言う間に
過ぎていきました。
帰り際にロザリーの家に寄ってみましたが、残念ながらロザリーは怪我で発熱して寝込んで
しまっていて、お見舞いは出来ませんでした。
小屋に帰られたお嬢様は、シダを取り替え寝床を整えられると、小屋の周りを探検される
ことにしました。そうされていると、小屋の裏手の切れ窪んだ岸辺に生えている柳の根元に
迫った水底から透明な清水が滾滾と湧き出しているのを見つけました。
聞いた話では、ここはパンダボアヌ工場が出来る何十年か前まで村人が泥炭を掘っていた
場所で、ある時水が湧き出して窪地に溜まり、やがて大きな池へと姿を変えたのだそうで、
そもそもマロクール村に工場が建てられたのも、近くを流れるソンム川水系の豊かな水源が
あったればこそだったのでございます。
長いスカートを腰までたくし上げて結び池に入られたお嬢様は、柳の根元の周りに枯枝を
挿して囲い水汲み場を作られ、これで何時でも綺麗な水が使えると思うと嬉しくなられて、
そのとても小さな島を希望島と名付けられました。
その名には、昔お父様から聞いたロビンソン・クルーソーの物語のように、何時かお爺様と
ご一緒に暮らせる日を夢見て、それまでは自分一人の力で立派に生きていこうという決意が
込められていました。
池の中の清水の湧き出しは柳の根元からさらに小さな入り江全体に広がっていて、水底に
積もった真っ白な砂粒がそこかしこで気持ち良さ気に踊っているのを見ていて我慢出来なく
なられたお嬢様が小屋に行き、帰りがけに拾った洗面だらいに櫛と手拭いを入れて戻られ、
脱がれた服を岸辺に置かれてそこに向かわれると、バロンも後をついてきました。
「くう〜ん」
「あら、バロンも一緒に体を洗いたいの?
でもお前の短い足じゃ、ここまで歩いて来れないわね
わたしが洗い終わったら、お前も洗ってあげるから、それまで周りを見張っててね」
そう仰ったお嬢様の白い裸身を沈み行く夕陽が橙色に染め上げていました。
入り江の中程へ行かれたお嬢様は水面に身を落とされていかれましたが、水は腰が浸かる
位の深さしか無く、池の底にぺたんとお尻を付けて座ると女の子の大事な部分に砂が入って
しまいそうでしたので、踵にお尻を乗せ下腹部を浮かせて水に浸かられました。
昼間働かれて汗をかかれた肌に湧き出づる清水の冷たさの何と心地良かったことでしょう。
お嬢様は、掬われた清水を思う存分肩から掛け流し、手拭いで柔肌を拭われて、水を自由に
使える贅沢を満喫されました。
『ああ、気持ち良いわぁ…
旅の野宿じゃ濡らした手ぬぐいで体を拭くのが精一杯だったけど、ここでなら好きなだけ
お水を使えるわ
それに頭の上を柳の枝が覆ってて、まるで宮殿の円屋根のようだわ
きっとインドのマハラジャのお風呂もこんなふうなんでしょうね…
こんなすてきな所を独り占めできるなんて、夢みたい…』
ですが、その冷たい清水がお嬢様のお身体を熱らせることになります。
上半身を拭われていらしたお嬢様は、ご自分の下腹部がお尻の真下から清水と共にコポコポ
湧き上がってくるあぶくに洗われている事に気付かれました。
その有るか無きかの刺激に前後の窪みを嬲られて、初めお嬢様はくすぐったく感じられて
いらっしゃいましたが、次第に焦れったさを覚えられるようになり、その手は知らず知らず
乳房を弄り始め、掌の中で固く凝っていく乳首が切なくてお嬢様のお身体はどんどん熱って
いったのでございます。
もっと強い刺激、性感を欲してお嬢様の手が水中の下腹部へ伸ばされようとしましたが、
それを思い止まらせたのは、同じような水辺での記憶、何ヶ月か前、プラガ男爵の所有する
湖で起きた出来事でした。
あの夜、母親を恋しがるマルセルを慰めようとして少年に肌を許し、性の快感に目覚めて
しまわれたお嬢様は、近くに誰も居ないと思われて湖畔で自らを慰めておしまいになったの
ですが、それを盗み見ていた男爵に付け込まれ、幼い肉体を散々に玩ばれてしまって、もう
二度とふしだらな事はするまいと誓われたのでございます。
とはいえ、一度習い覚えた快楽の味を忘れることは、女には難しいものです。
『も、もう上がら、なきゃ……でも、もう少し…もう少しだけ……』
そうしてお嬢様が去りがてになさっておいでになると、ツンツン…、ツンツン…と股間を
軽く突つかれる感触があり、目をやると、2、3匹の小魚がお嬢様の秘裂から漏れ出る蜜に
誘われて股間に集まり、もっと欲しいと、顔を出した淫芽を啄ばんでいました。
「ああん、だめよお魚さん、そんなトコつっつかないでぇ」
お嬢様は、お口ではそう仰られましたが、その股間は小魚をさらに呼び込もうとでもいう
ように大きく開かれていきました。
そんな時、近くでばしゃっと水飛沫の上がる音がし、はっとお顔を上げられたお嬢様は、
誰か人が、それも裸身のお嬢様を見つけ邪な心を懐いた殿方が近付いて来たのではないかと
いう不安が頭をもたげて、両手で乳房を覆われ辺りを見回されました。
幸い、そんな人影は見当たりませんでしたが、その代わりに大きな魚影が近付いて来るのが
見えました。
それはお嬢様も何度か見かけられた事のある、2尺に迫ろうかという池の主の鯉でした。
それがお嬢様の股間目掛けぐんぐん近付いて来ます。その狙いは蜜を求めてお嬢様の股間に
集まった小魚達でしょうか、それとも…
もしかしたらその鯉はご自分の股間に綻び出た淫芽を餌だと狙っているのかもしれない、
そんな新たな不安が胸を過り、ご自分の肉体の中で最も敏感な突起が鋭い歯で齧り取られる
様を想像してしまわれたお嬢様は恐怖に襲われ、必死になって股間を両手で覆われました。
ですが狙いはやはり小魚にあったようで、常に生存競争が繰り広げられている弱肉強食の
世界で自分達弱者が餌に夢中になる一瞬こそ最も強者の餌食となりやすい事を仲間が犠牲と
なる中で学んでいた彼らは間近まで迫った捕食者を察知して散り散りに逃げていき、それを
追って鯉も遠ざかっていきました。
その様子を見て、ほうと息を吐かれたお嬢様でしたが、気付くと指が秘裂を割って花芯の
中に深々と入ってしまっていました。
お嬢様はよほど鯉の歯が怖かったのでしょう、立ち上がってしまえば水中を突進してくる鯉
など簡単にやり過ごせたはずですのに、身も心も竦んでしまって何も考えられず、反射的に
クレバスの走る柔肉を両手で覆われたのですが、右手に重ねた左手に力を込め過ぎたあまり
下にあった右手の指が折れ曲がって秘裂を破り、中に押し込まれてしまったのです。
お嬢様はお顔を赤らめられ、すぐに指を抜こうとされました。
ですが、お嬢様の肉体は持ち主の意に反し、その偶然を奇貨となして快楽を得ようと肉襞を
即座に反応させて指をぎゅっと締め付けてきて、ご自身の花芯の締め付けの強さに驚かれた
お嬢様は思わず指をさらに奥へと突き込んでしまいました。
そうした動きはお嬢様の肉体に殿方の抽挿を受けていると錯覚させて強烈な快感を生み、
一度火のついた情欲の炎はお嬢様に指の動きを止める事を許しませんでした。
「あっ? ヤッ、どうしてッ?!
んっ、ンアアッ!…はぁ、はぁ、はぁ…どうしよう、抜けない…
ンッ、ンッ、ンクッ、クッ、クウッ、これ、ンウッ、これって、ンッ、まるで…
いけないわペリーヌ、こんなこと、しちゃあ、でも、止まらない、止められ、ないのォ
アッ、アッ、アッ、アンッ、アンッ、アアンッ、ンッ、ンッ、ンンッ、ンアアアア…」
指で激しく掻き乱される秘裂の内外で氷炎の国アイスランドの火山の割れ目噴火のごとく
冷たい清水と熱い愛蜜とが鬩ぎ合い、打ち続く官能の爆発で仰け反られるお嬢様の上気した
肌を沈む間際の夕日がさらに朱く朱く染め上げました。
そして、最後の大噴火を迎えて放心されたお嬢様は、燃ゆる色彩が失せて白銀の月影を映す
水面に裸身を浮かべ、しばし揺蕩われたのでございます。
翌朝お嬢様は何事も無かったかのように工場へ働きに行かれたのでございますが、そこで
困った事が起きてしまいました。長い旅路を乗り越えてくる間にすっかり草臥れてしまった
靴の底が剥がれてしまったのです。
その時は間に合わせに靴を布で巻いてお仕事を続けられましたが、何時までもそれで持たせ
られる訳も無く、裸足では痛くてとてもトロッコ押しなど出来ないので、是が非でも新しい
靴が必要でした。
ですが、週末に貰うお給料では新品はおろか中古の靴さえ買えないでしょう。
あれこれ考えられた末思い付かれたのは、ご自分で靴を作ってしまおうという事でした。
本当にそんな事が可能なのでしょうか。ですが案ずるより産むが易し、お一人の力で生きて
いこうと決心されていらしたお嬢様は小屋へ帰られると材料となる葦を刈られました。
お嬢様が考えていらしたのは靴底が植物で作られたスペイン靴と呼ばれるとても軽い靴で、
葦の茎で代用出来ると思われたのです。ですが葦を編んではみたものの靴底には使えそうも
なくてその日は諦められました
そして、次の日に思い付かれたのは葦の茎を綯って縄にしてわがねるというものでした。
これならきっと上手くいくと確信されたお嬢様は村にある小間物店で太目の針と糸、少々の
空色のリボン、厚地の木綿を1尺買って帰られました。
叩いた葦が綯われて縄になっていくのを見ると、ルクリおばさんから縄の綯い方を習って
おいて本当に良かったとお嬢様は思われました。そうして出来た葦の縄をわがねて糸を通し
靴底の形に整えたお嬢様は甲を覆う部分の切り出しに入ります。
木綿に宛てる型にする為今まで履いていらっしゃった靴を解体された時はもうこれで失敗は
出来ないと緊張されましたが、一生懸命研いだ小刀が何とか型通りの形に布地を切り出して
くれてお嬢様は安堵されました。
後は葦の靴底と布を縫い合わせるばかりとなり、いよいよ脚に結ぶリボンも付いてお嬢様の
靴が完成した時には空が明るくなり始めていました。
こうしてお嬢様の靴作りは夜通しのお仕事となってしまいましたが、工場へと向かわれる
お嬢様のお顔は、その思っていた以上の出来栄えと、それをご自分のお力で為し遂げられた
事への喜びで輝いていらっしゃいました。
その日、お嬢様が帰りがけに再びロザリーのお見舞いに行かれると、熱も下がった彼女は
退屈し切っていて、青いリボンの可愛らしいお嬢様の新しい靴を目敏く見つけました。
その靴は高かったでしょうと羨ましげに彼女から問われて、これは自分で作った物で費用も
たった35サンチームしか掛からなかったとお嬢様は答えられました。そこには自慢という
より誇らしさが込められていて、ロザリーはお嬢様の器用さにびっくりしてしまいます。
そして、他愛も無いおしゃべりの中で今は池の畔の小屋に住んでいると聞き、ロザリーは
さらに驚かされ、あんな寂しい場所に一人で住もうと考えた友達に呆れてしまいましたが、
小屋をご自分のお力でもっと住みやすい家に変えていこうと語られるお嬢様を見ていると、
『ちょっと風変わりな所はあるけど、この子ならきっと何でも出来てしまうに違いないわ』
と楽しくなってしまうのでした。
そして土曜日が来て、待ちに待ったお給料を頂いたお嬢様は先日の小間物店をまた訪れ、
今度はキャラコ生地と糸を買われました。
靴作りで自信を持たれたお嬢様の次の目標はシミーズとドロワーズ作りでした。
着た切り雀でマロクールに来られたお嬢様には替えのお召し物も無く、汗にまみれた服や
肌着を洗おうとすれば必然的にお召しになられている物を皆脱がねばなりませんでした。
無論池での水浴びを毎日のように楽しまれていらっしゃるお嬢様ですので、洗い物も一緒に
してしまえば済む事でしたが、いくら柳の枝葉で周りから隠されているといっても池の上に
立ち背中を屈めて服を濯いでいると、小さな乳房もお尻も無毛の下腹部さえも、何もかもが
丸見えになってしまいます。
しかもそれだけでなく、洗濯物が乾き難い夜間ですので島の中で最も開けた風通しの良い
場所に干す必要があり、そんな見通しの良い場所で月の光に照らし出された全裸のお嬢様の
白い肌はさぞかし目立ったことでしょう。
その後もお嬢様は朝までそのお姿のままでお過ごしにならなければならず、夜が明けたら
明けたで、洗濯物を取り込む為に再び小屋を出て薔薇色の曙光に染まる裸身を晒さねばなり
ませんでした。
そうした、あたかも恥じらいというものを知らぬ南洋の裸族の娘のごときお姿を、もしも
不埒な殿方に見咎められでもしたら徒では済まないでしょう。
幸い、お嬢様のお暮らしになるこの池の周辺には村人でさえ滅多に近寄りませんでしたが、
季節によっては麦や葡萄の収穫を手伝う出稼ぎの流れ者達が人の目を避けて通り過ぎる事も
あり、多く女ひでりを感じているそうした男達にとって村外れに独りで住む無用心な娘など
絶好の餌食にしか見えなかったことでしょう。
それは無調法この上なく、お嬢様がせめてシミーズとドロワーズだけは一刻も早く替えを
用意して何時でも身に着けていたいと思われたのは至極当然の事でした。
一張羅のシミーズとドロワーズを脱がれたお嬢様は靴作りの時と同じように土間に広げた
キャラコの上にそれらを宛がい、四つん這いになって型を切り出され始めます。
するとバロンは、ご主人様は何をしているのだろうかと首を傾げたのでしょうか、それとも
低くなった下腹部から漂ってくる牝の匂いを嗅ぎ付けてでしょうか、小刀で生地を切り分け
ながら後ずさってくるお嬢様のお尻をじっと見詰め鼻を蠢かせていました。
シミーズの型は単純で割りと簡単に切り出せましたが、ドロワーズの方の型は複雑な上、
生地も足りなさそうでしたので、お嬢様はより単純な型に変えようとお考えになりました。
今お使いになられているドロワーズは、一見一つの物のようでありながら実際は腰帯で結び
留めた二つの部分に分かれていて、普段前後を覆っている布地を左右に捲りさえすればすぐ
用を足せるとても便利な造りでしたが、それをより簡素にし、太ももを通す円筒部の上端を
三角形に伸ばして腰帯に吊るすことにされたのです。
出来上がった新しいドロワーズは股布どころか前も後ろも全く覆っていませんでしたが、
実はその造りこそドロワーズ元来の形だったのでございます。
それを履かれると太ももの付根に布端が喰い込んで、秘裂の走る股間の柔肉の盛り上がりを
より際立たせてしまいますが、シミーズの下なら目立たないので構わないとお嬢様は思われ
ました。
それからもお嬢様は捨てられる空缶を鍋に変え、石を並べてかまどにし、木の枝を削って
スプーンやフォークを作り、木の実や食べられる野草を採り、馬の尻尾の毛を釣り糸にして
魚を釣り、縄を綯い、次の月経に備えてタンポンを作りと、小屋での暮らしをより良くする
為に忙しく働かれました。
ただ狭い島のこととて御不浄だけは身近に作りたいとは思えず、岸へ渡って林の茂みの陰に
穴を掘り、そこで用を足されました。
そうこうしている内にロザリーの怪我もすっかり癒え、その全快祝いに昼食に招待された
お嬢様はご自分で作られた野生のスグリのジャムを手土産に彼女の家を訪れられました。
そこへ急いた様子のファブリが現れました。
同じ下宿家で暮らしている同僚のベンディットさんが肺炎に罹り、ピキニーの病院へ連れて
行くのに馬車を借りたものの、肝心の御者が居ないのだそうです。
話を聞かれたお嬢様は、自分が御者を務めましょうかと申し出られ、青年は、まだ小さな
少女が本当に馬を操れるのか半信半疑でしたが、背に腹は替えられず御者を頼みました。
ですが、そんな心配はまったく無用で、お嬢様は早駆けさせた馬をしっかりと操って二人を
無事病院へ送り届けられました。
同僚を入院させたファブリはやっと人心地がつき、帰りの馬車の上でお嬢様へ話しかける
余裕を取り戻していました。
御者台に座った青年は、隣でゆったりと手綱を握っているお嬢様が聞いていた以上に何でも
出来る事に感心しながら、御者を引き受けてくれたお礼や、ベンディットさんが少なくとも
一月は職場に戻れそうも無い事とか、英語の書類の翻訳を主立って担ってきた彼が居ないと
仕事に差し障りが出そうな事だとかを話していきました。
そうした中、不図この少女ならば英語も操れるのではないかと思えて、ファブリが尋ねて
みるとお嬢様は頷かれ、年端もいかぬ少女がそんな事まで出来るのかと驚きを隠せなかった
青年に、それは母親がイギリス人であったからだと説明なさいました。
やがて村に戻ったお嬢様は、帰りを待っていてくれたロザリーと一緒に遅い昼食を頂き、
何ヶ月ぶりかの上等なお肉に舌鼓を打たれたのでございます。
この日の一件が後にご自身の運命を大きく変えていく事になるのですが、お嬢様はそれを
知る由もございませんでした。
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