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レディ・ペリーヌ物語 24



〜 レディ・ペリーヌ物語 24 〜


【 旅の続き ― 別離の都パリ 後編A ― 】


 青年達を送り出してホールから戻ったサンドリエは、手術室内に籠る淫臭の濃さを改めて
感じ、その中心で小ぶりでも形良い双峰を乗せた胸を上下させ、未だ閉じ切らない秘裂から
覗く朱をまとった陰唇を震わせるお嬢様の裸身を見てゴクリと生唾を呑み込みました。
「どうやら君は、ニンフォマニアであるだけでなく、ニンフェットでもあるようだ…」
 一度控室へ入り、再び手術室に戻ったサンドリエはお嬢様の手足を縛めていた革ベルトを
外していきましたが、身も心も消耗しきっていらっしゃったお嬢様の瞳はぼんやりと曇り、
耳から入る言葉も遥かに遠い霧笛のようで、茫然とされるがままに任されていました。

 そこに突然、お嬢様はご自分の下腹部がビククッと収縮するのを感じられました。
そして、膝裏を通して背中に腕を回されお身体が診察台から抱き上げられると、お腹の奥が
突き上げられて引き攣り、お嬢様は反射的に相手の裸の肩にしがみ付いて腰を浮かせようと
なさいました。
けれど、相手は抱きかかえたお嬢様のお身体をゆさゆさと揺さ振り腹の奥を突き続けます。
その時お嬢様は、また最前にように青年達の内の誰かに犯されているのだと思われ、もはや
抗う気力も無く諦めたようにそれを受け入れてしまわれました。
 ですが、それは間違っていました。

「んっ、んっ、んあっ、やぁ、あっ、あっ、あん、ああん、んくっ、ふうん…」
「おおお、あれほどの事をされた、後だというのに、何という締め付けだ!」
「ふあ?…その声、サンドリエ、ん、先生?…じゃあわたし、先生に?!
なんで先生まで、こんな事、ハウッ、もうお手伝い、アウッ、終わったんでしょ?
なのに、ンアアッ、なんでェ?!」
「おおう、またヴァギナがきつくなった!
あなたが悪いのですよ、こんな淫らな肉体で私を誘うから
ニンフォマニアのあなただって、また性交が出来て嬉しいのでしょう?
さあ、学生諸君の味わった快楽がどれほどのものであったのか、これからとことん験させて
もらいましょうか…」
「アウッ、アッ、アッ、アッ、ハウウッ、先生ヤメテェ! こんなのもうイヤアアア!!」

 そう、お嬢様を今まさに貫いていたのは青年達の誰でもなく、サンドリエだったのです。
青年達から三人がかりの口にするのも憚られるような陵辱を受けたばかりか、そうするよう
仕向けた張本人にまで犯されてしまったことを知ったお嬢様は、そのあまりに哀しい仕儀に
耐え切れず、最後の力を振り絞ってサンドリエを突き放そうとなさいました。
 そうしてお嬢様にもがかれサンドリエがよろめきそうになった時、背後から現れた一組の
手がお嬢様の乳房を思い切り強く掴み、お尻にも熱い肉塊が押し付けられました。
「ヒッ?! ヒインッ!」
「そんなに暴れたら危ないよ、ペリーヌちゃん
どうだいサンドリエ、俺の言ったとおり、この娘の膣(なか)は最高だろ?」
「あ、ああ、そうだな、モーリス」

「おじさん! どうしておじさんまでここに!?」
「どうしても何も、あなたがどんな娘なのかを教えてくれたのがモーリスだからですよ
ボルネの本の事やこいつの所であなたがしている『手伝い』の事を聞いて、そんな娘ならば
今日の授業にも利用出来ると思い付いたのです」
「ひ、ひどいわ! あの事は誰にも話さないって、おじさん約束したのに!」
「そうだったねペリーヌちゃん、でも俺とサンドリエは、さっきの三人みたいに若い時から
一緒に悪さをしてきた仲間なんだ、だから特別なのさ
それよりペリーヌちゃんこそひどいじゃないか、てっきり俺はボルネが話を盛ってるんだと
ばかり思ってたが、ここも使えるならそうと教えておいて欲しかったよ」
 そう言うとモーリスはすでに前を塞がれているお嬢様の股間に陰茎を割り込ませました。

「アアッ、そこはもうイヤッ! お願い許してッ、そこは初めてだったんです!」
「初めて? それにしちゃあ、ずいぶんと気持ち良さそうに善がり狂ってたじゃないか
ボルネの書いたとおり、ペリーヌちゃんは本当は尻でも悦ぶ淫乱娘なんだろ?」
「そんなのウソよッ!
あんなの痛いし苦しいだけだわッ、見てもいないのにそんなヒドイこと言わないで!」
「嘘なものですか、ほら、そこの壁に鏡があるでしょう?
あれはこちらから見るとただの鏡ですが、控室からはこちらが透けて見えるのですよ
あれを使うと診察前の患者の様子が窺えて、とても便利なのです」
「そんなッ! 見られてたの!?」
「そう、これから膣の奥底まで見られてしまう事も知らずに、あなたがローブの丈の短さを
気にしていた様子から、三人の若者に輪姦されていく様子も、すべて観察していましたよ
立て続けに膣を9回、それから膣と肛門、口腔を同時に4回、でしたか
あんなに射精出来るなんて、彼等の若さが羨ましかったですよ」

「見ていたのに、何でッ?!」
 一人の少女が欲望に血迷い理性を失った若者達に三つの穴を同時に犯されている、そんな
淫惨な光景を目にして良識あるべき大人が何故止めてくれなかったのか、純真なお嬢様には
到底理解出来ませんでした。
ですが、大人だからとて良識があるとは限らないことをお嬢様のこれまでのご体験が如実に
物語っています。そして、サンドリエもまた、そうした大人達の一人なのです。
決して自ら望んではいないのに殿方を陵辱に誘ってしまう、そんな悲しい星の下に生まれた
お嬢様を導くその妖星は、その日、これまでになく昏く輝いていたのでございます。

「おや? 止めて欲しかったのですか?
普通の娘ならばあんな陵辱にはとても耐え切れないでしょうが、あなたは若者達の有り余る
性欲を受け留められたばかりか快感を感じて、より激しく犯されることを求めているように
しか見えませんでしたよ
あなたは真性のニンフォマニアなのですよ」
「なあ、話はそれぐらいにして、そろそろ始めようや
こっちも挿入れやすいように、ペリーヌちゃんをちょっと持ち上げてくれよ」
「そうですね、では最後にもう一言…
あなたにはこれからも、私の手伝いをお願いします
先ずはあの三人のご父君方を、それから他の理事の先生方も、その体でもてなすのです
大事なお客様方に喜んで貰えるよう、あなたが初めてだと言う部分もちゃんと使えるように
なるよう私達がたんと仕込んで差し上げましょう…今日だけでなくずっとね…
ふっふっふ、これはあなたの為の特別授業なのですから、感謝するのですよ
では…」

「ん、んんん…」
 サンドリエがお嬢様のお身体を持ち上げていくと、花芯を貫いていた陰茎が引き出されて
いきましたが、すべてが抜かれる寸前に動きが止められ。その間にモーリスの亀頭がお尻の
窪みに押し付けられ、再びお嬢様のお身体が下ろされていきました。
「ヒイッ、イヤッ、イヤアアッ、アグッ、ンイイイイ…」
 モーリスに腕ごと胸を押さえられたお嬢様は為す術無く華奢な下腹部を前後から穿たれて
いきます。青年達の精液が未だ残るお嬢様の恥門はぬめって亀頭の侵入を拒めず、まもなく
陰門と共に怒張したもので埋め尽くされました。そしてお尻を支えていたサンドリエの手が
外され、男達の腰の間でお嬢様のお身体が宙吊りになると、その重みを受けて2本の陰茎が
さらに深く突き刺さりました。
まるで百舌の早贄のように男のトゲに串刺しにされてお嬢様が苦悶される中、男達は次々と
腰を振り上げて、いよいよ深く体内を抉っていきます。
「アウウッ、ヒイイッ、ンアアッ、ヤメ、ヒギイッ、もう入らなヒイ…」
「なんだ、こっちもちゃんと、使えるじゃないか
今日が初めてだなんて、やっぱり嘘だったんだね、いけない子だ、ペリーヌちゃんは」
「ンッ、ンウッ、ちがッ、ウアアッ、ほんッ、ハウッ、はじめッ、ヒイッ、なのオオオ…」

「おおう、サンドリエ、中でお前が動くのが、伝わってくるぜ
二人してこうするのも、ずいぶんと久しぶりだな」
「そうだな、お前が少女趣味に、走りだして、以来か」
「そう言って、くれるなよ、俺は本当に、少女を愛して、いるんだ
蛹から羽化したての、蝶のような、瑞々しい肢体、小さな胸に宿るは、まだ無垢なままの魂
そんな少女の煌めく一瞬を、標本箱に詰めて、永遠に保存して、おきたいくらいに
だというのに俺は、そんな聖なる少女を、どうしようもなく穢して、しまいたくもなるんだ
何れ誰かに、その輝きを、奪われてしまうのなら、いっそ自分の手でとね
 そんな俺の手の中に、飛び込んで来たのが、ペリーヌちゃんだったのさ
ペリーヌちゃんは、処女でこそ無かったが、穢して穢しても、心根は清いままだった
しかもその体は、サキュバスのように、俺を魅了したんだ
そこで思ったのさ、ペリーヌちゃんを使えば、きっとお前にも、俺の少女愛が、理解できる
だろうって、また昔みたいに、お前と楽しめるってな
お前は食わず嫌いしてたが、未熟な少女の体も良いものだって、これで分かっただろ?」

「それで私に、この娘を…ふふふ、お前ってやっぱり、悪い奴だなぁ
ああ、認めよう、確かに少女も、良いものだ」
「おお、嬉しいねぇ、それでこそペリーヌちゃんを、紹介した甲斐があったよ
思ったとおり、この娘、こっちの味も、上々だぜ」
「そうか、それは楽しみだ、私も後で験すから、しっかり仕込んで、おいてくれ
それにしても、これほどの女性器を、持っていたとは、何という娘だ
突けば突くほど、性欲がたぎって、若い頃に戻ったようだ
こうなったら、あの三人には、負けられんな、うおおおお…」
「おお、いいねぇ、それじゃあ俺も、フンッ、フンッ、フンッ…」
「ウッ、ウアッ、ハウッ、ハウウッ、ヒッ、ヒイイッ、ヤメテェッ、あそこがッ、ヒギイッ、
お尻がァ、ヒインッ、壊れちゃウウッ、ンンッ、アッ、アッ、アッ、ンアアアア…」

 男達は、腰の動きのピッチを上げて矢継ぎ早に子宮を叩き、今日開けられたばかりで未だ
このような行為に慣れていない固い恥門を内外に捲りあげ、がくがくと揺さ振られる身体を
押さえようときつく掴む乳房に指を喰い込ませて、先の青年達に勝るとも劣らない激しさで
お嬢様の幼い肉体を貪っていきました。
 そう時を置かずお嬢様の体内で欲望が解き放たれましたが、男達の陰茎は衰えるどころか
ますます勢い盛んで、この体位を殊の外気に入っているのか、今度はモーリスが前に立ち、
サンドリエが後ろから乳房を掴んで、間に挟んだお嬢様を再び立位で犯します。
「お? おおお?! こ、これは!」
「どうだサンドリエ、まだ一点のくすみも無い、ペリーヌちゃんの尻穴の、ご感想は?
恥ずかしそうに、一生懸命窄まろうとして、最高だろ?
娘盛りを過ぎた年増女じゃ、不敵不敵しくて、こうはいかんからな」
「むうう、ヴァギナばかりか、アヌスまでも、これほど美味とは!
この娘をヒヒ爺どもに、味わわせるのが、惜しくなるな」
「だったらその前に、俺達でたっぷり、楽しもうぜ」
「お、おう」
「アグッ、ウアアッ、アッ、アウッ、もう、ンッ、ゆるし、ハウッ、ウウン、ンアア…」

 そうして再開された一人の少女に二人の殿方が裸体を密着させる淫らなマズルカもやがて
終りましたが、サンドリエとモーリスは陰茎を抜いた後も幼い肢体を二組の手、二つの唇、
二本の肉茎で執拗に嬲り続けてお嬢様を性の快楽地獄へ突き落としていきます。
「アアッ、お胸舐めないでェ…ヒンッ、噛んじゃヤァ…ヤンッ、お尻に触っちゃダメェッ…
キャアッ、そんなのくっ付けないでェ…アウウッ、指がッ…ヒイイイッ、そこはイヤアア…
ハウッ、クウンッ、ンッ、ンッ、ウンッ、ンアッ、ウアアア…」
「どうだいペリーヌちゃん、さっきの三人と俺達と、どっちが気持ち良い?」
「アッ、アッ、アンッ、アアン、フア、ハアア…」
「へっへっへ、もうすっかり出来上がっちまって、答えるどころじゃないか
なあサンドリエ、こうしてると昔を思い出すよなぁ
俺が初心な小間使いやお上りの田舎娘をたらし込んで部屋に連れ込んだ所に、示し合わせた
お前が加わって、驚いて嫌がる娘を二人して散々玩んだっけ…それも、後で誰にも打ち明け
られないような飛び切り鬼畜な遣り方で…あの頃の俺達は若くて、どんな体位でも、いくら
でも犯り続けられたよなぁ…
そうだ、良い事を思い付いたぜ! ペリーヌちゃんなら身が軽いから、今の俺達でもあの頃
みたいに出来るんじゃないか?」
「ほお、それは良いな!
だったら、そうだな…ああアレだ、アレが良い、ほら、お前の得意だったアレだよ」
「あれって、アレの事か? よおし、久々に頑張ってみるか!」
「ただし、挿入れるのは…分かってるよな?」
「そうだな、今日はそうしておくよ」

 モーリスは、何度も絶頂を強制されて床に崩れ落ちたお嬢様のお身体を屈曲させて、迫り
上がらせたお尻に腰を落として陰茎を挿入すると両脚を抱えて立ち上がり、逆さ吊りにした
お嬢様を振り回し始めました。お嬢様はモーリスを軸にぐるぐる回転させられ、垂れ落ちる
髪が床を掠めて恐怖心を煽られます。
「はぁ、はぁ、はぁ…ンッ、ンンン…アウッ、やぁ、もうお尻はい、ンアアア…
アアッ、何、何をするの?! キャア!」
「ほーら、回転ブランコだよ、女の子はブランコが大好きだろ?」
「イヤアッ、やめてェッ、頭がぶつかっちゃうッ!」
「そうかそうか、恐がらせてごめんよペリーヌちゃん
じゃあ、今度は普通のブランコにしてあげるから、ペリーヌちゃんも頭が当たらないように
腕を踏ん張って体を支えるんだ」

 モーリスが左右の腕に太ももを抱え直しお嬢様のお身体をさらに持ち上げると、もう振り
回されたくなかったお嬢様は言われるまま床に手をつかれました。
「これで思いっきりペリーヌちゃんとブランコが漕げるぜ
そぉれ、いぃち、にぃい、さぁん、しぃい…」
「アグッ、ンアア、ハウッ、ウアア…」
「へへへへ、良い眺めだ、尻穴を漕ぐたび肉棒に圧されて、ペリーヌちゃんの大事な所から
俺達の種汁が溢れてくるのが、よぉく見えるぜ」
「だめェッ、そんなの見ちゃイヤアッ! ウッ、ケホッ、ケホケホ…」
 最前から逆さ吊りにされ頭に血が下がってしまっていたお嬢様は、恥ずかしさに叫ばれた
刹那、咳き込んでしまわれました。そこへ、サンドリエが屹立した股間のものを突き出して
にじり寄ってきました。

「おやおや、どうしました? 咽喉の調子が悪いのですか?
だったら私が診てあげよう、この私特製の探り棒で…さあ、口を大きく開けなさい」
「アアッ、イヤッ」
 お嬢様がお口を引き結ばれて目の前に迫るサンドリエの陰茎を拒絶されると、モーリスが
身体を左右に振るそぶりを見せました。
「だめだよペリーヌちゃん、お医者様の言う事はちゃんと聞かなくちゃ
それとも、また回転ブランコをして欲しいのかい?」
「ううう…オブッ、ムウウウ」
「よしよし、良い子だ、咽喉の奥までしっかり診てあげましょう
後で薬を出してあげるから、残さず呑み込むのですよ」
「懐かしいな、連れ込んだ娘を、二人でこうすると、随分大人しく、なったよなぁ」
「そうだったな、さあ、どんどんいくぞ、次はお前の番だからな!」
「オブッ、ムブウッ、ブプッ、ムフン、オブッ、ムブウウ…」

 それは何と無慙な光景だった事でしょう、女の子が逆立ちをするだけでも在り得ないほど
はしたないというのに、お嬢様はそのお姿でお尻とお口を犯されたのです。
 それが終わると、今度はサンドリエが放蕩を重ねた若者時代に好んでいた体位をお嬢様に
とらせます。それは四つん這いのお嬢様を前後から貫くという、この日ここで行われてきた
淫事を考えればさして代り映えのしない行為から始まりましたが、それだけでは終わらず、
サンドリエが太ももをモーリスが脇の下を持って立ち上がり、お嬢様のお口とお尻を空中で
犯しました。二人はこれを空中ブランコだと言って興じていましたが。それもある意味的を
射ていました。何故なら自ら身を支える術のまったく無いお嬢様は陵辱を受ける以外にも、
何時床に滑り落とされるかもしれない恐怖にも耐えねばならなかったからでございます。

 年甲斐もなく力任せにサーカスの曲芸のような体位で陵辱を繰り返した二人は、さすがに
疲れを覚え、お嬢様を床に下ろしました。ですが、お嬢様の肉体の新たな楽しみ方を知った
モーリスには飽き足らぬ思いが強く、うつ伏せに横たわるお嬢様になおも覆い被さり乳房を
握り潰しながら陰門と恥門を交互に貫いてその違いを堪能し、サンドリエもまたそれに倣い
ました。二人が最後にどちらへ精を放ったかは言うまでもないでしょう。

 このようにしてお嬢様はサンドリエとモーリスによって三つの窪みの内の二つを代る代る
貫かれて、青年達に続き女の持つ穴のすべてを犯されてしまわれたのでございます。
或いは後の方が三人がかりで犯されるよりかはまだしも増しと思われるかもしれませんが、
実際にはご覧のとおり二人での方が取れる体位に自由が利き、動きにも制限がかからない分
より激しい抽挿を招き、しかも常にどちらかの陰茎が挿入されて恥門を開発されていったの
ですから、どちらがお嬢様にとってお辛かったかなど聞けるべくもございませんでした。

 ようやく二人の貪婪な情欲から解放され、ぐったり床に突っ伏されたお嬢様は目を虚ろに
されて、お口の中に残る苦味や淫臭も、股間の2つの開口部から男達の淫液が溢れ出てくる
感触も、すべてが他人事のようにしか感じられませんでした。
 そんな感情を失ったようなお嬢様のお心に、ふいにある少女の事が浮かんできました。
『…わたし、あの子と同じになっちゃったんだわ…』
 あの子とは、二ヶ月ほど前のイタリアでの道中、あのプラガ男爵の館を出た後の宿場町で
聞いた、何人ものならず者達から輪姦を受けすべての処女を奪われてしまったリリアーナと
いう名の少女の事でした。事件のあらましを知ったお嬢様はご自身もプラガ男爵にその身を
玩ばれた直後のこととて同情を禁じ得ませんでしたが、その時はまだ少女の受けた仕打ちが
どれほど酷いものであったのかを実感されてはいらっしゃらなかったのでございます。
その憐れな少女の事を思い出すと、ご自分が今日男達から受けた仕打ちの数々がその感触も
在り在りと甦ってきて、お嬢様の目から涙が零れました。

 けれどもサンドリエは身も心も深く傷付けたお嬢様へさらに無情な言葉を投げつけます。
「ふぅ…こんなに大人を満足させられるなんて、あなたは本当にいけない娘ですね
アヌスももうすっかり使いこなせるようになって、これならばあなたに近くもてなして頂く
予定のお客様方のどんな無茶な要求にも応えられるでしょう
先ずは院長先生の御三方、そして理事の十二名、それから…
ふふふ、私の役に立って貰えて嬉しいですよ
その代わり、約束どおり、明日あなたの所へ往診してあげますからね」
「な、なあ、サンドリエ…」
「おお、そうでしたね
往診の後、モーリスが私の所に薬を届けてくれるそうなので、ここに取りに来てください
裏口の鍵を開けておきますから、脇の階段を下りてこの部屋にこっそりとね…
あなただって、自分のしている事を誰にも知られたくないでしょう?」
「…はい…」
「宜しい、それでは今日はもう帰っても結構です
ああでもその前に、診察台や床をきれいにしていってください
皆あなたが汚したのですからね
流し場の物は自由に使って構いません
では、御機嫌よう」
「へっへっへ、じゃあペリーヌちゃん、また明日、楽しみにしてるよ」

 二人が去った後、のろのろと起き上がったお嬢様でしたが、身動きする度股間の前後から
淫液が漏れ出てきて服を着ける訳にもいかず、裸のまま決してご自分の所為ばかりでは無い
汚れを拭きとっていかれました。
 やっとそれが終わってもまだご自身を清めねばなりません。幸いその日オスマンの水道は
断水する事も無く流れ続けてくれ、お嬢様は蛇口の下に跪いて男達の匂いの染み付いた髪を
洗い、お口を雪ぎ、肌を拭うと、股を開いて前を清められます。哀しいかなそれはこれまで
幾度となく繰り返されてきた、お嬢様には慣れた女の嗜みでございました。
 ですが、最後に残ったそこを清めるのはその日が初めてのこと、蛇口に背を向けてお尻を
突き上げ、穴を拡げてはみたものの、指を挿し入れるのはどうしても躊躇われます。
それでも殿方の精を中に残したままにするのが耐えられなかったお嬢様は呻かれながら指を
沈めていかれました。後はお尻の溝に滴る水を中へ導き、指で掻き出すだけでしたが、前を
清めるのと同じその動作がアンジョルラスにされた事を思い出させます。
大量の淫液に穢されたそこを清める為に何度もそれを繰り返さねばならなかったお嬢様は、
そのあまりの惨めさに嗚咽が止まりませんでした。

「お母さんのところに…帰らなくちゃ…」
 悪夢のような出来事が繰り広げられた薄暗い地下室を後にされ、帰途につかれたお嬢様が
ズキズキ痛むお身体を引きずるようにしてお母様の待つシモン荘へ戻られたのは、まだ夏の
陽射しが明るい4時過ぎのことでした。
「やあ、お帰り、ペリーヌ、今日も侯爵夫人の手伝いをしてたのかい?」
「え、ええ…」
「おや? 少し顔色が悪いが、どうかしたのかい?」
「ううん、何でもないわ、きっと昼間暑かったせいだわ」
「そうだったな、あんたんとこのワン公もへばってたっけ
まあ、うちのチビ助たちと一緒にミルクを飲んだら元気になったがな
おっかさんの為にも、あんたもせいぜい元気でいなくちゃな」
「ありがとう、シモンおじいさん
それじゃわたし、お夕飯の仕度があるからこれで」
「ああ、そうしな」

 シモン荘に帰られたお嬢様は身内でもないご自分を心配してくれるシモン爺さんの言葉を
聞かれて、身なりは良くとも弱者に冷酷な金持ち達に比べ、貧しくとも親切な下町の人々の
心は何と温かいことかと、救われる思いがしました。
「しっかりするのよペリーヌ、お母さんに心配をかけないようにするのよ」
 そう誓われたお嬢様は傷心を隠して精一杯の笑みを浮かべ今日がさも楽しい一日であった
ように話されながらお母様と夕食をとられました。
 やがて、日もとっぷりと暮れ、休まれたお母様の安らかな寝息を聞かれながら、お嬢様は
ベッドの脇に寄せた椅子に座ってお母様のご回復を祈られます。
「明日になればお医者様にまた診てもらえる…そしたらお母さんはきっと良くなるわ
ううん、明日だけじゃない、病気が治るまで何度だって診てもらうの
その為ならわたし…
神様、わたしはどうなってもかまいません、何をされても我慢します
だからどうか、お母さんを、お救い、くだ、さい…」

 そうされている内に、いつの間にかお嬢様はベッドにもたれて眠りに落ちてしまいます。
絡み合う大人達の思惑や欲望の生贄とされ、わずか半日の間に5人の殿方によって13歳の
幼い肉体のすべてを陵辱し尽くされたお嬢様は疲れきっていらしたのです。
ですが、お嬢様が眠りの中で見た夢は希望に満ちたものでした。
『ああ、お母さん、ここがマロクールなのね! わたしたち、やっと辿り着けたのね!』
『ええ、そうよ、ペリーヌ、ここがマロクール、お父様のお生まれになった所よ』
『あ、あそこに誰か立ってる、あれはもしかして…
 お願いパリカール、もっと早くあそこへ!
 ああ、もうすぐお顔が見えるわ!
 おじい様ぁ、わたし、ペリーヌ、おじい様の孫の、ペリーヌよぉ!』
 けれども夢は突然断ち切られ、お嬢様がおじい様のお顔を見ることも、力強くも優しいに
違いないその腕に抱かれることも叶いませんでした。
そしてそれが、お嬢様がお母様の許で見た最後の幸せな夢となったのでございます。
夢から醒めたお嬢様は希望から絶望へと突き落とされます。

「…リーヌ、ペリーヌ、お願い、起きて」
「う、ん…お母、さん?」
「良かった、起きたのねペリーヌ、あなたに大事なお話、ウッ、ゴホッ、ゴホッ…」
「お母さん! どうしたの? 苦しいの! い、今、水を持ってくるわ」
「待ちなさいペリーヌ!」
「で、でも…」
「いいから、そこにいて
落ち着いて、聞いてね…
どうやらわたくしは、あなたとお別れしなければならなくなったようです」
「え? それって…」
「お母さんにも、神様に召される日が来たの」
「そんなのうそよッ、お母さんはきっと良くなるわ!」
「悲しいけれど、これはもう、決った事なの
ごめんなさい、あなたをおじい様の所へ、送り届けられなくて
だけど、あなたは独りでもマロクールへ行かなくては
それがお父様との約束ですから」
「いやよいやッ、お母さんと一緒じゃなきゃいやッ!」
「いいえ、あなた独りの方が、良いのかもしれない…
これから話す事はとても大事な事だから、よく聞いて…」

 死期を悟られたマリ様は苦しい息の中、これまでお嬢様には決して明かされてこなかった
ご自分達夫妻とおじい様との関係を語っていかれました。
始まりは、おじい様であるビルフラン様が些細な事で仲違いをした息子のエドモン様の頭を
冷やさせる為インドへ買付けに行かせた事でした。ところがエドモン様はインドでマリ様と
勝手に結婚してしまい、後継ぎの花嫁にと名家の令嬢を物色し新たな邸宅まで用意していた
おじい様は大変お怒りになってエドモン様を勘当してしまったのです。
それから数年後、たった一人の跡取り息子のことが諦め切れなかったおじい様は、マリ様と
縁を切れば許すと手紙を送ってきましたが、すでにお嬢様もお生まれになったエドモン様は
それを受け入れなかったそうでございます。
 語られた中で衝撃的だったのは、おじい様がマリ様のことを息子を奪った悪女として今も
憎んでいるだろうという事、そして、お嬢様を自分の孫とは認めてくれないかもしれないと
いう事でした。

「でも、おじい様の肉親はもう、あなただけなの
だから、いつかきっと、あなたのことを愛してくださるようになるわ
だけど、人に愛されたいなら、まず自分から愛さなくては
優しいあなたなら、きっとそう出来ます
知っていますよ、寂しがっていたマルセルを、あなたが慰めてあげたことを
お父様も、あなたと同じ時分のわたくしに、たくさん甘えてきたわ
男の人はみんな、寂しがり屋なのね、ウッ、ンンンッ」
「お母さんッ、もう止めてッ、もうしゃべらないでッ!」
「あなたにも、いつかきっと、身も心も捧げたいと、思える愛人(ひと)が
そして、自分の家族を持つの
ああ、お母さんには見えますよ、あなたが幸せになった姿が
ペリーヌ、きっと、幸せに…どうか、この子に、カーマの、お導、き、を……」
 それきり、マリ様の声は途切れ、お嬢様の髪をいとおしそうに撫でられていた手がはたと
落ちました。マリ様はお嬢様の幸せを祈られながら天に旅立たれたのでございます。

「お母さん?…ねぇ、お母、さん…お母さんッ、お願いッ、返事をしてッ!!
アアッ、い、いやああッ、死なないでお母さん! わたしを独りにしないでッ!!
ウッ、ウウウ、ウアアアアアア……」
 愛するお母様を亡くされた悲しみで見も世もなく涙するお嬢様に、駆けつけたシモン荘の
男達は声もかけられず、侯爵夫人も肩を抱いてあげる事しか出来ませんでした。
やがて夜が明け、男達の手配した葬送の馬車が着くと一晩中泣き明かされたお嬢様は墓地へ
向かわれました。
 その道すがら、葬列とすれ違った1台の箱馬車が停まり、すぐにまた来た道を引き返して
いきました。それが、葬列中にお嬢様を見咎め、マリ様の死を知ってもはやお嬢様を自分の
邪まな計画に利用できぬ事を悟り、窓掛の陰で口惜しそうに舌打ちしたサンドリエの馬車で
あったことにお嬢様は気付かれませんでしたが、また知りたくもなかったでしょう。

 暗雲が厚く垂れ込める中、埋葬が終わり、もうお母様のお姿を見ることは二度と叶わない
のだという抗い難い事実をひしひしと感じたお嬢様は寂寥感に押し潰され母の眠る土盛りの
上に泣き崩れられます。そんなお嬢様をサーカス公演の合間に駆けつけてくれたマルセルが
励まし、ご自分を姉と慕う少年の言葉にお嬢様はとても慰められました。
 名残惜しげなシモン荘の人々に別れを告げ、北へ向かう列車の出るパリ北駅まで来られた
お嬢様がそこで求められたのは意外にもパリの外れラ・シャペル駅までの切符でした。
最寄駅のピキニーまで買うお金が無く、そこからカレー街道を辿り、マロクールまで徒歩で
行かれるおつもりだったのです。
駅まで見送りについて来ていたマルセルは、それを知って汽車賃を都合して来ようかと申し
出ましたが、お嬢様は、歩くのはほんの4,5日のこと、これまでも長い旅路を乗り越えて
来たのだから大丈夫だと謝絶なさいました。
『たとえ独りになっても、おじい様に会いに行くのですよ』と言われた亡きお母様のお言葉
だけが、その時のお嬢様を支えていました。そして、それをご自分の力で果たしたいと…
その決意を感じ取ったマルセルは、お嬢様を明るく見送ってあげようと決めました。

 そして、いよいよ発車の声が響き、マルセルは客車に犬を乗せるところが見つからぬよう
駅員の目を盗んでバロンを車中のお嬢様へ手渡します。
「さ、行けバロン、お前は護衛隊長なんだから、ペリーヌをしっかり守るんだぞ」
「さようなら、マルセル、きっとまた会いましょうね」
「うん、いつかおいらも、マロクールへ行くから!
ペリーヌゥ、きっとおじいさんに、会うんだよぉー」
「ありがとぉー、マルセルゥ、さようならぁ、さようならぁ…」
 走り出した列車は瞬く間に速度を増して、北へ向かって疾走します。その車窓から見える
雨上がりの空は、イタリアの明るい太陽のようなマルセルが運んできたかのごとく、そして
お嬢様の希望を映すかのように、青く輝いていました。

 けれども、ラ・シャペル駅からマロクールまでは150キロあまり、その道のりは決して
短いものではなく、まして少女の独り旅ともなれば、途中でどのような災難が降り懸かって
くるやも知れず、寄る辺ない孤児となられたお嬢様に何事も起こらないことをただただ祈る
ばかりでございました。


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