〜 レディ・ペリーヌ物語 15 〜
【 旅の続き ― アルプスを越えて 前編@ ― 】
マルセルと別れた後、一刻も早くフランスへ行きたいと願われるお嬢様の想いを容れて、
マリ様達はスイスアルプスを越える道を選ばれました。
けれどもその道は険しく、山岳地帯に入ると如何に頑健なパリカールといえどもお二人を
乗せて走るどころか馬車をマリ様とお嬢様に後ろから押して貰ってじりじり登っていくのが
やっとで、どうにかスイス国境を越えられはしたものの疲れ果てられたお二人の行く手には
まだ最大の難所シンプロン峠が待っていました。
お二人は意を決して峠に挑まれましたが、道はさらに困難を極め、濃い霧に巻かれている
間に車輪が溝に嵌って身動き出来なくなってしまいます。辺りに助けてくれる人影も無く、
このままでは馬車を捨てるしか道は残されていないかに見えました。
ですが、そうなると写真屋をして路銀を得ることが出来なくなり、旅を続けられなくなって
しまうのです。
その時でした。鈴の音と共に霧の中から馬に乗った一人の男が現われます。
木訥そうなその男は様子を確かめると自分の馬を繋ぎ、車輪に梃子を咬まして馬車を溝から
脱させ、そのまま峠まで馬車を曳いていってくれました。
マリ様がお礼を言われると『息子が世話になったから手伝いに来ただけだ』と言い、男は
差し出したお金も受け取らずに帰って行きました。
実は前の日、それまでの山道で疲れ果ててしまい一日休まれることとなった宿で下働きを
していたジョセフという少年に、自分が元気でいることを家族に見せたいと写真を頼まれた
のですが、写真代にする給金の前借りを断られてしまい、悲しそうにしている少年をご覧に
なられたお嬢様が家族と離れている淋しさを我が事のように感じられ、無償で写真を撮って
あげようとマリ様にお願いされたことがございました。
マリ様もお嬢様の思いやりを喜ばれ、撮られた写真を届けにその日の朝、峠の入口にある
少年の家に寄ってこられたのです。
生憎その時家には小さな子供達しか居ませんでしたが、まもなく帰って来た父親が写真に
添えられていた、親切にしてくれたマリ様達を助けてあげて欲しいという少年の手紙を見て
後を追って来てくれたのです。この時ほど、人は助け合わなければいけないといつも仰って
いるお母様のお言葉が身に沁みたことはございませんでした。
そうして何とか峠を越えられ、後はもう下りとなりましたが、それでも麓の町まで2日も
かかり、着かれた時にはお二人はもう一歩も動けなくなられていらっしゃいました。
翌朝、と申しましてもすでにもう昼近くになっておりましたが、目を覚まされたマリ様は、
ペリーヌ様がその町からフランスまでは一週間ほどで着けると聞き付け喜ばれるのを見て、
まだ残っている疲れをおして宿を発たれました。
そんな折、お母様を喜ばせたくてお花を摘もうとされたペリーヌ様は岩場から転げ落ち、
足をくじかれてしまいます。それが元で熱を出されたお嬢様を医者に見せたところ、暫らく
歩かさないように言われ、それから10日余り、ご商売や家事のお手伝いもできず、村から
村への旅もお母様だけを歩かせてしまい、ペリーヌ様は申し訳なく思われました。
それでもどうにか夕暮れの迫るレマン湖の畔に着かれたお二人は、今夜中にジュネーブの
街に着けば翌日にはフランスに入れると聞かされ道を急がれたのですが、いつの間にか深い
森に迷い込まれてしまわれました。その森で狼の群れに追われ、怯えたパリカールが狂った
ように細い林道を走り続ける中、マリ様は御者台で必死に手綱を握られ、お嬢様はお母様に
しがみつかれて神様に祈られました。
やがてパリカールは疲れ切って足を止めてしまいましたが、幸いにも狼はもう追って来ては
おらず、お嬢様達は抱き合ったまま気を失うように眠りに落ちてしまわれました。
恐ろしかった一夜が明け、青空から射す朝日を受けて目を覚まされたペリーヌ様が馬車を
降りられ、畑仕事に出て来た近在の農夫にここはいったい何処なのかしらと訊ねられると、
何と、そこはもうフランスなのだそうです。
おじい様のお住まいになる希望の地フランスにとうとう辿り付けたのだとお知りになられた
お嬢様は小躍りして喜ばれ、まだ眠っていらっしゃるマリ様にお伝えしようと馬車へ戻られ
ました。
「お母さん、ねえ、起きて、お母さん!」
「う…ん…ペリーヌ?…」
「聞いてお母さん、わたしたちとうとう着いたのよ!」
「着いた?」
「ええ、そうよ、ここはもうフランス、フランスなんですって!」
「ここは、フランスなの?…
良かった…お母さん、あなたを何とかフランスまで連れて来られたのね……
そうだ、ペリーヌ、昨日の昼から何も食べられなくて、お腹が空いたでしょう?
雨が降る前に、朝ご飯を、用意しましょうね」
「え? お母さん、今朝はとってもいい天気よ」
「でも、あんなに空が…暗い…わ…」
そう言われて御者台を立ちかけたマリ様は、途中で気絶して馬車の床に倒れられました。
アルプスを越える時からずっとお疲れを癒される暇の無かったマリ様は、元々ご病弱だった
お身体を次第に蝕まれていき、とうとうご病気になられてしまわれたのです。
「お母さん? どうしたの、お母さんッ!
イヤ、起きて、目を覚まして、お母さーん!!」
いくらペリーヌ様が呼びかけてもマリ様は気付かれず、玉の汗を浮かべた額は火のように
熱く、浅い息は今にも止まってしまいそうに見えました。
『どうしよう、こんな時、どうすれば…
そ、そうだわ、お医者さん、お医者さんに診てもらわくちゃ…
でもお医者さんて、どこ? どこにいるの?
アッ、さっきのおじさん、あのおじさんに聞けば…』
先ほどの農夫からどうすればいいか教えられたペリーヌ様は馬車を走らせました。
「お願い、パリカール、もっと急いで!」
それから暫らくして、近くの町の宿に着いたお嬢様は宿の主人に事情を話してお医者様の
手配を頼まれました。この近くには入院できるような病院は無かったのです。
医者の見立てでは過度の疲労が原因とされ、幸いマリ様は小康を得ることができましたが、
なかなか体力を取り戻せず、宿での逗留は長引いていきました。
やがて1週間も経つと、お母様からお預かりしていた路銀もとうとう底を尽き、宿の主人
ロジェのそれとない宿代の催促に居た堪れなくなられたお嬢様は、その事を伏せ、ご自分も
写真屋のお仕事がしてみたい、これまでもお手伝いをしてきたのだからきっと出来るはずと
マリ様を説得されて、お独りでご商売に出られたのでございます。
ですが年端も行かぬ娘に写真を撮らせてくれるお客様などあろうはずも無く、それももう
5日目、今日こそは何としても溜まった宿代を稼がねばと、ペリーヌ様は焦燥感に駆られて
いらっしゃいました。
「みなさん、わたくしは旅の写真師でございます、一生の記念に、お写真はいかがでしょう
お客様、この写真をごらんになってください、どうです、よく撮れているでしょう?」
「どれどれ…ほー、なるほど、確かにこりゃあ大したもんだ
これなら、頼んでみてもいいかな」
「まあ、ありがとうございます」
「ところで、写真を撮ってくれる人は、どこにいるんだい?」
「それは…わたしが…」
「なんだって? おいおい、冗談言っちゃいけないよ
お前さんみたいな小娘に写真なんか撮れるわけないじゃないか」
「あ、待ってください、お客様、待って……」
『ああ、もう近くの村はあらかた回ったのに、ここでもだめだったわ
わたしじゃだめなの?……
ううん、いけないわペリーヌ、弱気になっちゃ、お母さんに安心してもらうんでしょ?
まだ陽も高いから、もう少し遠くまで行ってみましょう』
「パリカール、もう少しがんばってちょうだいね」
お嬢様が気を取り直されて馬車を出そうとした時、一人の男が声をかけてきました。
男は、自分は画家兼作家のボルネだと言い、お嬢様にモデルをしないかと誘いました。
絵のモデルとは何をすれば良いのか分からず少々迷われましたが、次の村へ行っても写真を
撮らせて貰えるかどうか自信が持てなかったお嬢様は男の申し出を受けてしまわれます。
道すがら、ご自分が印度で生まれた事や親族を頼ってひとまずパリへ向かおうとしている
事などを話されながら、お嬢様が連れてこられたのは、村から半里ほども離れ、周りを林に
囲まれて隣家も無いマンサード屋根の一軒家で、そこに着くとボルネがアトリエにしている
屋根裏部屋へ案内されます。
「お嬢さん、一応確認させてもらうが、君は乙女だろうね?」
「乙女って?」
「まだ男を知らない処女なのか、と聞いているんだよ」
「あ……は、はい…」
まさかまだ子供にしか見えないだろうご自分がすでに殿方との性愛を何度も経験している
などとはとても言えず、ペリーヌ様はお顔を赤らめながらつい嘘をついてしまわれます。
「ほう…それは重畳
何しろお嬢さんには、ギリシャ神話で一二を争う有名な乙女、アンドロメダ姫を題材にした
絵のモデルをしてもらうのだからね
お嬢さんは、アンドロメダ姫のお話は知っているかね?」
「たしか、英雄ペルセウスに助けられた…」
「そう、よく絵画や彫刻の題材にもされている、お嬢さん、そういった物を見たことは?」
「いいえ、まだ…見たことがないとだめですか?」
「いや、それならそれで、わたしがポーズを付けてあげるから、言うとおりにしなさい」
「はい、ボルネさん」
「では、まずアンドロメダの衣装に着替えてもうおうか…
この衣装を左肩にかけて前後ろに垂らし、腰の両側をブローチで留めなさい
ああ、もちろん素肌にだ」
「はい…あの…お着替えはどこで?」
「ああ、そこでしてくれて構わんよ、モデルの裸など見飽きてるからな
それとも、まさか君は、芸術家たるこのわたしに席を外せと言っているのかね」
「い、いいえ、ここで…いいです」
ダッカにいらした幼い頃、当地の名産品であるモスリンを手がけていたお父様がフランス
商館での話をお話しされているのをお母様のお膝の上で一緒に聞かれ、『芸術家と呼ばれる
人種は我が儘で変人が多い』と仰っていたのを覚えていらっしゃったお嬢様は、今になって
それを実感されましたが、お母様に宿代の心配をさせたくないとの思いから、ボルネの言い
付けに逆らいませんでした。
背中を向けて着衣を脱がれていったお嬢様は、ボルネの舐めるような視線を感じて羞恥に
震えながら一糸まとわぬお姿になられると、急いで渡された衣装を身に着けられます。
けれど、衣装と呼ばれたそれは、単に紗の織物を断っただけの代物で膝まで届かぬほど丈が
短く、とても薄いその生地は肌を隠すというよりかえって肉体の陰影を際立たせました。
ボルネは衣装を着け終えられたお嬢様を表のバルコンに続く屋根まで届く大きな窓の前に
立たせ、装身具だとしてさらに手首足首に皮のバンドを着けさせました。
そのバンドには金輪が付いていて、これは今から描く場面に必要なのだと言い、そこに鎖を
通すとあれよあれよという間に窓の柱に備え付けられていた金輪に固定して、お嬢様の腕を
左右に吊り上げてしまいました。
お嬢様は、ボルネが、淫らな挿絵付きのいかがわしい小説を生業としている芳しからざる
人物であり、これまでモデルにと称してアトリエに連れ込んだ娘達に何をしてきたかなど、
知る由もありませんでした。
「アッ! ボルネさん、何をするの!?」
「何をするって?
もちろんアンドロメダ姫が受けた仕打ちを再現するために決まっているじゃないか
わたしはね、お嬢さん、自然主義を信奉しているんだよ
と言っても君のような者にはよく分からんかもしれんが、要するに、古典的様式美を捨て、
人も自然もその醜さも含めて在るがままに描こうと思っているんだ
その為には、アンドロメダ姫がどのようにして海の怪物ケートスへの生贄として捧げられて
いったのかを君に実際に演じて貰う必要があるのだ
君にはそんなことも分からんのかね?
よろしい、では、わたしがこの神話の真実を教えてあげよう」
―――古代エチオピアの王ケーペウスと王妃カシオペアとの間に生まれたアンドロメダは、
やがてその肌の白さで謳われる美姫へと成長した。だがそれは姫にとって災いの種となる。
何故なら、アルビノでも無い限り褐色の肌の二親から白い肌の子が生まれようはずは無く、
長ずるに従い姫がギリシャ人的な風貌をまとっていくのを見るにつけ、王妃の姦通を信じた
ケフェウス王は、ついにアンドロメダを海の怪物への生贄とすることと決し、海辺の大岩に
鎖で縛めるのであった。―――
「という場面なのだが、分かったかね?」
「でも…でも、大岩なんて、どこにもないわ」
「果たしてそうかな…では、これを見てみ給え」
「…あっ」
ボルネが姿見をお嬢様の前に立てると、背後にアルプスの岩塊が映っていました。
「フッフッフ、納得できたかね?…では、神話の真実をより深く掘り下げていこう」
「さて、話は遡り、ケーペウスは生まれた子が自分の胤で無い事に気付いたが、王としての
体面から、王妃に不義を働かれたとは言い出せなかった
やがて16年余りが過ぎ麗しく成長したアンドロメダに求婚者が殺到するようになると、
王はそれまでほとんど顧みる事もしなかった姫がどのような娘に育ったのかと興味を抱き、
後宮の姫の許へと忍んだ
そこで沐浴するアンドロメダを見たケーペウスは、ギリシャ彫刻のごとくに均整のとれた
その裸体に見惚れ、そして欲情した…この女を我が物にしたいと」
「そんなっ、だって二人は父娘なのにっ」
「そうかな?
自分と血の繋がりが無いと知っていたケーペウスの目には、アンドロメダは娘などでは無く、
征服すべき一人の女としか映らなかったのだよ
そして、そうする事で不義を働いた王妃に復讐できるとも思ったのだ
だが君の言う通り、形ばかりとはいえ我が子として育った姫を犯す事は、たとえ王である
ケーペウスにもできなかった
さりとて他の男の物にさせる事も我慢がならず、アンドロメダへの欲望を抑え切れなかった
ケーペウス王は、我が物に出来ぬのならばいっその事と一計を案じ、神託を装って姫を怪物
ケートスの生贄としたのだ」
「そんなのひどいわ」
「いやいや、ギリシャ神話とはとても人間臭い物語なのだよ
そこに登場する者は皆、人であれ英雄であれ、そして神でさえも己の欲望に忠実で、人間の
本質が赤裸々に描かれていて、だからこそ面白いのだ」
「さあ、アンドロメダがどうして生贄に選ばれたかが判ったところで、話を先に進めよう」
―――生贄とされる海辺へ連れてこられたアンドロメダは檻馬車から引き出された。
姫の手足にはすでに波洗う岸辺の岩に打ち付ける為の鎖付きの枷が嵌められていたが、王は
すぐにはそうせず、奴隷達に鎖を引かせアンドロメダを腹心の近衛兵達の前に立たせると、
その薄絹を一気に剥ぎ取った。―――
「エッ?…アッ、ヤッ、キャア!」
―――そして、足の鎖も左右に引かせアンドロメダの股を大きく開かせた。―――
「アアッ、いやッ、やめてッ、イヤアアァァ」
「いいぞ、君は良いモデルになれそうだ
男達の前で裸体を晒されたアンドロメダも、きっと今の君のように羞恥に泣き叫んだだろう
陰毛がほとんど生えて無いのもいいな、おかげでぷっくりした君のプッシーが良く見える」
「いやッ見ないでッ、見ないでください!
ひどいわボルネさん、裸にされるなんて聞いてないわ!」
「おや、始めに言っておいたはずだがな、君にはアンドロメダのモデルをして貰うと
アンドロメダを題材にした絵画の多くが裸体で描かれているのは常識じゃないか?」
ボルネはお嬢様の非難など気にも留めず話を続けていきました。
―――四肢を引かれ身動きもままならぬ姫の前に立ったケーペウスは、初めて間近から見る
裸身に魅入られ、引き込まれるように白き乳房へと手を伸ばす…だが、寸前で思い留まり、
数歩下がった。―――
「ふーむ…胸が少し小さ過ぎるな…だがまあ、描く時に修正すればいいか…」
そんなボルネの独り言を聞かれお嬢様の頬にさっと朱が注したのは、羞恥心からだけでは
ありませんでした。ですが、その後の男の言葉でお顔を蒼ざめさせられます。
―――だが、それは更なる辱めの前の前奏曲に過ぎなかった。王はアンドロメダを奴隷達に
よって淫夢の淵に堕そうとしていたのだ。
王は7人の奴隷達に命じた。
『奴隷どもよ、そこなる娘を処女の身のまま、その膨らみという膨らみ、窪みという窪み、
穴という穴を嬲り、生贄となる恐れを忘れさせよ』と。
されど乙女の肉体にそうでない処など一つも無く、王以下供回り77人の男達の前で、その
花の顔、たおやかな腕、形良い胸、くびれた腹、桃のような尻、両の脚、アンドロメダ姫の
無垢なる白き肌は忽ちの内に下帯すら外した黒色や褐色をした奴隷達に覆われ、7組の手、
7枚の舌、7本のペニスによって辱められていった。―――
「ま、待って、ボルネさん、わたし、ボルネさんにうそをついていたんです!
わたしはもう処女じゃ…ボルネさんがいうような乙女じゃないの
だから、ボルネさんの信じてる自然主義?には、わたしは合わないでしょ?
お願いです、お金はいりませんから、わたしをもう帰してください!」
「おや、驚いたな、君の言っているのは、写実主義のことじゃないか
だが、安心するがいい、わたしの信ずる自然主義は、そのような狭量なものではない
多少理想とは違っているところがあっても、そこは修正すれば済むことなのだよ
さあ、時間がもったいない、続きを始めようじゃないか」
「エッ、なんでボルネさんまで服を脱ぐのッ!」
「わたしが奴隷役を務めようと思ってね
その方が、アンドロメダがどう辱められたか、よりリアルに再現できるだろう?」
「そ、そんなッ…アアッ、キャ、キャアッ!」
ボルネが下穿きを下ろすとすでに勃起していた陰茎が弾け出て、それを見まいとお嬢様は
お顔を背け目を瞑られました。ですが後ろに回った彼に乳房を握り締められてそれはすぐに
見開かさせられてしまいました。
「キャアッ?! ボ、ボルネさん、何をッ!」
「何って、君にポーズをつけてやると言ったじゃないか
ほら、見てごらん、こうすれば君の小さな胸でも大きく見えるだろう?
それとも、こうした方がいいかな?」
前に置かれていた鏡の中で、下から寄せ上げられ絞り上げられたお嬢様の二つの膨らみが
グニグニと胸の上を転がされていきます。
「アクッ、ウゥゥウン、お胸がッ、いやァァ、やめてェェ……」
やがて、お嬢様の乳首を固く尖らせたボルネはその手を下腹部へ下ろしていきました。
「ヒッ! イヤッ、そんなとこ、触っちゃいやァァ」
「ふうむ、プッシーはぴっちり閉じたままだな…ここも少し手直ししなくては…
ところで君は、自分の女の部分をしっかり見たことがあるかね?」
「そ、そんなこと、しません!」
「それはいかんな
ここは女が女たる根源の場所なのだから、君も女ならちゃんと知っておかないとな
よし、ちょうど良い機会だ、その目にしっかり焼き付けるといい」
お嬢様の秘裂が割られ、中の花びらが剥き出されます。
「ヒィッ、ヤッ、イヤアァァッ」
「どうだね、自分の目で見てもとてもグロテスクだろう?
知っているかね、女のここは牡蠣にそっくりなんだ
見た目が悪い物ほど美味いと言うが、君の貝はどうなのだろうな?」
「そんなの知りません」
「そうか、だがこれは知っているだろう、この陰の秘密の洞窟が男を悦ばせることを
何しろ君は、それを経験済みなのだそうだからな」
「ヒィンッ、ダメェッ、拡げないでェッ」
「なるほど、とても狭くて、気持ち良さそうな洞窟だ…
さて、観察はもう十分だろう、そろそろわたしも本気で奴隷役を演じるとしようか」
背後から覆い被さるように身体をお嬢様へ密着させたボルネは、うなじを吸い、両の手で
乳房を先ほどよりきつく鷲掴んで揉みしだき、その間にも反り返った陰茎を押付けて秘裂を
擦り上げていきます。
「アウッ、い、痛いッ、ウウッ、痛いのッ、そんなに強くつかまなッ
ヒッ、ヤッ、こすっちゃイヤア、アアッダメッ、入っちゃう、お願い、入れないでェ!」
「やれやれ、姫君たる者、そんなはしたない声を上げたりしないものだぞ
それに話はちゃんと聞くものだ、アンドロメダは乙女のまま生贄にされると言っただろう?
だからペニスを挿入れられたりはしない…その代わり、奴隷達によってあらゆる処を玩ばれ
性の快楽に堕とされていくのだよ、こんなふうにね」
乳房を玩びつつ片手を恥丘へ下ろして花園をかき乱すボルネは、その間にも首筋から肩を
しゃぶり、腋の下や背中に滴る汗を舐め取っていきます。
やがて身体を前に入れ替えると、お嬢様の素股に陰茎を刺し入れ両手に掴んだ尻肉を前後に
揺すぶって再び花園を荒らし、唇で乳首を玩び、胸元から臍の窪み、そして下腹部へと舌を
這わせていきました。
「アッ…アッ…ヤッ…ンッ…ンッ…ンフッ…フッ…ウン…ンアッ…フアアッ……」
「フフフ、ずいぶん可愛い声を出すようになったじゃないか
これなら君のオードブルももう食べ頃だろう」
「ヒッ! イヤア、そんなとこ舐めないッ、ンアアッ、入ってくる!
イヤアアアァァァ、舌を入れないでェッ!」
花園をかき分け愛の泉に舌を挿入されたお嬢様は、膣の中をねぶられるたとえようも無い
恥ずかしさに喘がれ腰を引いて逃れようとなさいましたが、尻たぶを掴まれて引き戻され、
さらに奥まで侵入されてしまいます。そして、すでにプラガ男爵によって口淫の快楽を教え
込まれていたお嬢様の肉体は否応無くそれに反応してしまいます。
こうしてボルネは、ペリーヌ様ご自身もまだ知らなかった性感帯までも拓いていったので
ございますが、執拗で愛の一欠片すらも無いその一方的な行為は、愛撫とは似ても似つかぬ
淫戯としか言いようの無いものでございました。
「プフゥ…君の貝は極上のビネガーソースが効いていて、味も香も想像以上の絶品だな
きっとアンドロメダの物もそうだったのだろうな、これならいくらでも食べられそうだ
だが、奴隷達による姫への辱めはまだ終わっていないのだ
だから、これからその仕上げをしよう」
「ンギッ!」
官能の縁に漂われていたペリーヌ様をショックが襲いました。お嬢様には初め、ご自分の
お身体に何が起こったのか分かりませんでしたが、異様な感触と灼熱感を覚えられます。
その部分に意識を向けられていくと、ある感触の記憶が甦ってきました。それは数週間前、
プラガ男爵の館での事、お嬢様のお尻にかけられていた男爵の指が…
その瞬間、お嬢様のお身体をおぞましい悪寒が走りました。触れられただけでも耐えられ
なかったあらぬ部分にあろう事かボルネの指が沈められていたのです。しかもボルネはその
指を出し入れして何度も穿ちます。
年端も行かぬ少女にとってこれほどの辱めがあるでしょうか。
「ヒッ、イヤアァァ、そんな汚いトコに指を入れないでェ!
キヒイィィ、ヤメテッ、動かさないでッ、お願い抜いてッ、抜いてェェェッ!!」
ペリーヌ様は気が違ってしまいそうなほどの恥ずかしさに涙を振り散らせ悲鳴を上げられ
ましたが、そんなお嬢様へかけられたボルネの言葉は無情でした。
「よしよし、良い貌だ…
だが、はたしてアンドロメダはアヌスを嬲られる事にそれほどの嫌悪を感じたのかな?
考えてみるといい、下女達に傅かれ身の回りすべてを任せていた姫君が自分の肉体のどこを
穢れていると思うだろう? それよりむしろ、快感の方が強かったのではないかな?
君にも何れ分かるだろうが、女はここでも快感を得られるのだよ」
「お尻でなんてウソッ、お願いです、早く指を抜いてくださいッ」
「ほお…そんなに言うなら、試してみようじゃないか」
「アグッ、もう動かさない、ヒンッ、ヤア、おマンコまでェッ!
アアッ、ダメッ! そこはダメェェッ!!」
ボルネは後の門を指で抽挿すると同時に秘裂にも再び口を付け、特に蜜に濡れた花びらを
念入りに舐め上げていきました。敏感な雛尖を舐め上げられるたび、強烈な快感に襲われる
お嬢様のお身体はビクビクと撥ね、菊門を辱められている嫌悪感や惨めさも何時しか忘れて
おしまいになり、それどころか、突き入れられる時はともかく指を引き抜かれる時には何か
ムズムズした感覚を覚えてしまわれます。
それは誰もが小児期に経験し、やがて忘れてしまう、性的快感の原体験でした。ボルネに
よってありとあらゆる部分の性感帯を拓かれ続けてきたお嬢様の肉体がそれを思い出すまで
そう時間はかからず、ご自分がそんな部分で快感を感じてしまった事を恥らえば恥らうほど
それは強まっていきます。
二つの快感は、寄せては返すさざ波が次第に重なり合いやがて大波となるようにお互いに
絡み合い高め合っていってついに逆巻く官能の怒涛となって弾け、お嬢様を快楽の極みへと
登り詰めさせました。
「アクッ! ンンン…ハアアアァァァ!」
羞恥と快楽の狭間で絶頂を迎えられたお嬢様はご自分がようやく淫戯から解放されたのも
知らず、鎖に吊るされたままぐったり頭を肩に乗せ失神されてしまいました。
四肢を引かれ、あられもなく開かされていたお嬢様の股間の真下には愛の泉から溢れた蜜が
溜まり、打ち続いた淫らな刺激によって肉厚となり秘裂から食み出した陰唇がヒクヒク蠢く
たびになおも滴り落ちる雫が床に跳ね散る音がアトリエに染み渡ります。
「トレビアン!」
お嬢様のそんなご様子を見て快哉を上げたボルネは、服も着ぬままスケッチ帳にコンテを
走らせました。そうして5分ほどでデッサンを描き終えたボルネは、けれど眉間に皺を寄せ
ました。
「いかんな、これでは表面をただなぞっただけではないか
何かもっとこう劣情をたぎらせる、彼の侯爵のようなエロスが欲しい…」
そう独り言ちてアトリエの中を二度三度往復したボルネは、お嬢様の頬をひたひた叩いて
正気づかせ、描いたばかりのデッサンを見せました。
「これを今度の小説の挿絵にするつもりなんだが、君、どう思うね?」
「しょう、せつ?…さし、絵?」
まだ意識が朦朧としていたペリーヌ様の目が、その絵を前にしてみるみる内に見開かれて
いきます。
そこには何人もの屈強な奴隷達によって辱められている全裸のうら若き娘が描かれていて、
体付きこそお嬢様より年上そうでしたが、羞恥の中にも性の快感に淫楽を堪えきれぬ表情を
浮かべているその顔は、見誤るべくもなくペリーヌ様のお顔そのものでございました。
それは、以前にプラガ男爵の館で見せられた本の事をいやでも思い出させ、お嬢様に衝撃を
与えました。
『なんてイヤラシイ絵なの!
こんなイヤラシイ絵が、何百冊って本になって、男の人に!?
それにこれじゃ、この絵のモデルがわたしだって、分かっちゃうわ!
もしそんな事になったら、わたし、どうなっちゃうの?!』
「こ、こんなのダメェッ!
わたし、こんな絵のためにモデルになったんじゃありません!」
「ム…こんなのとは、言ってくれる…
確かにこの絵には、何かが欠けている気がするが…いったい何が…」
「それよりお願いボルネさん、鎖を外して、わたしを帰らせてください
だって、もうアンドロメダのお話は終わったんでしょ?
だったらモデルももう必要ないでしょ?」
「終わったって?…
そうか、分かったぞ、このアンドロメダの話がまだ途中だったからいけなかったのだ!
最後まで完結させれば、きっと見えてくるものがあるはずだ…
さて、そうとなれば…フフフ、君にはまだまだモデルを続けて貰わねばならんな」
「そ、そんな…」
どうやらお嬢様は、またしても余計なことを言ってしまわれたようでございます。
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