〜 レディ・ペリーヌ物語 14 〜
【 旅の続き ―イタリアでのいくつかの出来事 その4 後編A― 】
「まさか潮まで吹こうとはな…そんなにも気持ち良かったのか?…
フフフ、答えたくないか…まあ良い、お前も少し休むが良い
その間、儂がまた別の話しをしてやろう
それはアラビアの都に住む裕福な商家の娘が貴人の若者に見初められ、貞節の誓いを立て
結婚してから、二月余りが過ぎたある日のことであった
娘が供の老婆に連れられ絹織物の店へ行き、最上級の品を求めると、その美貌に目の眩んだ
商店主が金の代わりに頬への接吻をせがんだのだ
老婆の甘言を受けて娘がそれを許すと、商店主は老婆が席を外したのを好い事に頬ばかりか
首筋から胸元へと唇を這わせていった
なかなかの美丈夫だった商店主に剥き出された乳房を強く吸われて娘も満更でもなさげで、
股間を弄られて愉悦の溜息を洩らしたが、老婆が戻って来ると慌てて薄衣の前を掻き合せ、
何事も無かったかのように店を後にした
ところが屋敷に戻って暫らくすると夫たる若者が部屋に来て、妻の行状を知っているかの
ように、突然その薄衣を剥ぎ取ったのだ
双丘に点々と残る赤い吸痕を見咎め、貞節の誓いを破った娘の細首があわや刎ねるところを
老婆のとりなしで何とか新月刀だけは収めたものの、若者の怒りは治まらなかった
次に若者は、娘を吊るして鞭で打ちすえて殺そうとするが、再び老婆のとりなしを受けて
それも思い留まった
『ならば、黒人奴隷達に命じてすべての穴を犯させ、悶え死にさせてくれよう、それこそが
淫奔な妻には相ふさわしい』と若者は、これ以上は譲らぬ態で言い放った
知っておるか? 黒人の一物は棍棒のように太く長いのだそうだ
だが老婆は『お二人は一度は夫婦の契りを結ばれたのですから、どうしてもそうされたいと
思し召されるのでしたら、ご主人様御自らそうなされるのがせめてもの情けと存じます』と
三度とりなした
その言を容れた若者は、前の窪みは無論の事、これまで奉仕させたことの無かった口も、
さらには後の肉壺をも使って、あたかも異教徒の女娘を慰み者にする兵(つわもの)どもの
ごとく、妻である娘を情け容赦無く陵辱していった…
するとどうだろう、若者の胸に初夜から30日の間、昼夜を問わず同衾して娘を求めた頃の
熱情が甦ってきたのだ
そして、妻の濡れた瞳にもそれを見た若者が縛めを解くと、娘は床に臥して、どちらでも
お好きな方をお使いくださいと云うように尻を突き出し、それまでは自分からはしようとも
思わなかった絶対的な服従を若者に示した
二人の間に愛が戻るのを見届け部屋を辞した老婆は、実は昔若者の乳母を務めた者でな、
すべてはこのところ夜の営みも疎かになっていた二人を心配した老婆の企みであったのだ
それからの娘は、昼は貞淑な妻として奥の細々としたことを取り仕切り、夜には婢のように
淫らに若者に奉仕して、二人は末永く幸せに暮らしたという…
これは、女はご主人様にどうご奉仕すれば悦んでもらえるかを常に自ら考えなくてはならぬ
という教訓だろうな」
「さて、お前ももう充分に休めたであろう?
ならば、今の話の娘のように、また儂を愉しませるのだ」
「まだ…続けるの?……
なんでわたしに…あの本の絵みたいな…恥ずかしい格好を…何度もさせるの?」
「何故?…そうか、お前はあの本の内容まではよく知らぬのだな
あれはアラビアンナイトといって、話は妃の不義を知ったペルシャの王シャフリアールが
密通相手ともども妃の首を刎ねたことから始まり、女を信じられなくなった王は毎日市井の
生娘を召して一夜の伽をさせては翌朝に首を刎ねるようになった…大臣がそれに困り果てて
おると、その娘のシェヘラザードが王の悪習を止めようと名乗り出たのだ
爾来シェヘラザードは、明日をも知れぬ中で夜毎王に面白くも扇情的な話を聞かせては、
その場面を彷彿とさせる妖艶な姿で王の欲情を誘って目合い、佳境に入っていた話の結末は
翌日まで引き伸ばして命脈を保ち、それはとうとう千と一夜に及んだという
そもそもそれらの話はアラビアやお前の生まれ故郷に昔あった回教国の話をまとめたもの
なのだ、あながちお前に関わりの無い事でもあるまい?」
「さあ、シェヘラザードのように儂を誘ってみるのだ」
「さそう?」
「儂が書置きを挟んでおいたページを見ただろう?…あのようにだ」
「書置きが……ヒッ! わ、わたし、あんな格好、できませんッ!」
「そうか…やはりまだ、儂が手伝ってやらねばならぬようだな」
「アッ、ヤッ、何をッ、イ、イヤッ、恐いッ」
男爵は、お嬢様をベッドの脇に立たせると、先ほど外したストールで縛った両手を天蓋に
吊るし、両足に結んだ細紐をベッドの脚に掛けて股を開かせました。
「恐がらずとも良い、何も鞭で打とうというのではない
もっとも、お前ならそれをすら悦ぶやもしれぬがな…」
「ンッ!」
何かに背中をかすめられたお嬢様は、今度はどのように甚振られるのかと、身を固くされ
ましたが、そのようなことはされませんでした。
「どうだ? これはスベスベして心地良いであろう?」
お嬢様に触れたのは孔雀の羽根でした。男爵はそれでサワサワ掃いていくだけでしたが、
そうされると、オルガズムから間も無く敏感になっていたお嬢様の柔肌にはゾクゾクとした
悪寒にも似たものが走り、同時に息を吹きかけられた埋み火がポォと輝くようにその下から
熱が湧き上がってきます。それが5分続き、10分が過ぎるとお嬢様の肉体はどうしようも
なく疼きだして、あまりの切なさに秘部から愛蜜が滴ります。
「ア…イヤ…ン…ウウン…フア…フウン…アァ…ヤ…アアン…ンク…ハア…ハァン………」
触れられてもいないのに恥ずかしい声を上げさせられるこんな事をされるならくらいなら
いっそ直に肌を甚振られる方がましだとペリーヌ様は思われたことでしょう。
ですが、男爵の責めはなおも続けられ、お腹の奥をウズウズと疼かせる官能の波に洗われる
お嬢様の濡れそぼった花びらはぬらぬらと妖しげに蠢きます。
「フフフ、窪みをこんなに濡らせおって、儂の剣が欲しいのであろう?」
「そんな…アア、ヤッ、そこはッ、ハアアッ、ア、アン…ア…ハア…フ…フウン………」
女の三つの尖り、中でも特に雛尖(ひなさき)を責められたお嬢様は膝がガクガク崩れて
立っていられなくなり、男爵は縛めを解いてベッドの上に腹ばいにさせました。
しどけなく横たわるお嬢様の秘裂は、血を吸った後のヒルのようにぽってりと肉厚になった
陰花で内側から押し拡げられていました。
男爵は未だ性感の陶酔の海に漂うペリーヌ様の腰を引き起こし、お尻に添わさせた両手の
指先を秘裂の中の陰花にかけさせました。
「気持ち良かったであろう?…だが、そこを開けば、お前はもっと気持ち良くなれるぞ」
「モット…キモチ、イイ?…」
『いけないわペリーヌ、あなたはそんな子じゃないはずよ』
どこからかそんな声が聞こえた気がしました。それはお母様のお声だったのか、それとも
ご自身のものであったのか、けれどそれはあまりにも遠くか細く、性の快楽を求める肉体の
叫びに打ち消されお心までは届かず、お嬢様の指は催眠術にかかったように左右へ引かれて
いきます。やがて陰花は目一杯開き切られて、露わとなった花芯に男爵のものが挿入されて
きました。
「ンフッ…ンアァァァ…」
「フフフ、お前にもちゃんと男を誘えたではないか
望みどおり、儂の剣を受けられて嬉しかろう?」
「アアッ、わたし何てことをッ、いやッ、イヤアァァァ……」
我に返られたお嬢様はご自分があの挿絵のとおりに自ら殿方を誘う淫らなポーズをとって
しまわれた事に気付かされ、そのあまりの恥ずかしさに呻かれます。
ですが、それもほんの一瞬のことでございました。
膣内を男爵のものに埋め尽くされてから間に髪を容れず、腰が迫り上がってしまうほどの、
これまでとは比較にならない激しい抽挿をお受けになられたペリーヌ様は、抗いようも無く
官能の嵐に呑み込まれていってしまわれたのでございます。
けれど、お嬢様が上り詰めようされた刹那、男爵は己の剣を抜いてしまいました。
『アア?…なぜ?…なぜ、やめちゃうの?』
お腹の奥に溜まった火照りが切なくて、お嬢様のお尻がもじもじと揺れます。
「どうした、途中で止められて辛いか?
お前もすっかり女の悦びを知ったようだな…その歳でもう子宮を突かれる事にも、その中を
男の精で満たされる事にも快楽を感じておるのだからな
だが、その所為でご主人様を愉しませるという肝心な役目を忘れてしまったようだ
己の快楽に溺れてしまってはならぬのだよ、娘
己自身も愉しみつつ、どうすればご主人様にさらなる快楽を与えることができるか、それを
常に考えねば、シェヘラザードのように千と一夜を越える愛を得ることは到底叶わぬのだ
今、それを教えてやろう」
それが膣内に侵入してきた時、お嬢様は男爵が再び挿入ってきたのかと思われましたが、
つい今し方まで感じられていた烈火のごとき熱気を伴わないその固い感触は男爵のものとは
明らかに違っていて、不安に駆られたお嬢様がお顔を振り返られると、背中ごしにご自分の
下腹部から何か白っぽくて長い物が生えているのが見えました。
『ヒッ、何?! あれ、何なのッ!』
ご自分は一体何をされてしまったのだろうかとさらに視線をさ迷わせる中、ペリーヌ様は
ナイトテーブルに置かれていた三本立ての銀の燭台の、中央の蝋燭が無くなっていることに
気付かれます。
それは、男爵がこの部屋に入って来た時に灯かりを点けないでとお嬢様が懇願された物で、
その時には確かに蝋燭は三本とも刺さっていました。その蝋燭は蜜蝋で作られ、太さは大凡
一寸半、長さも二尺近くはあり、面に螺旋の筋を刻まれたとても大きなものでした。
そう、ペリーヌ様の愛を交わす為の器官には、今あろうことかそれが挿入されていたので
ございます。
そのような異物を挿入されたお嬢様に、過日パニーニ売りの男から表面に固く皺の寄った
ヤスリのようなドライサラミで膣内をザリザリと抉られた時の苦痛が甦ってきます。
「ヒッ、イヤッ、イヤァァァ…ご主人様、お願い、それを抜いてェェ…」
そう涙声で哀願された男爵の手は、けれど止められることは無く、お嬢様の膣をゆっくり
抽挿し始めました。
ニュルルルル…ヌププププ…ニュルルルル…ヌププププ…ニュルルルル…………
すると、その見た目にも関わらずそれは柔肉を傷付けることも無く、盛り上がった螺旋の
筋に膣襞を小刻みに嬲られている内にお嬢様の肉体にまた官能の波が押し寄せてきます。
「アフウウゥゥ…ンアアァァ…ハアアァァァ…ンアアァァ…フアアァァァ…………」
「どうだ、これもまた良いものであろう?
だが先に申したように、お前は自分の快楽に流される事無くご主人様を悦ばせねばならん
さあ、下の口にそれを挿したまま、今度は上の口だけで儂を満足させるのだ
申すまでも無いが、下の口のそれをけっして落とすではないぞ」
お嬢様はご自分と入れ替わりにベッドに腰掛けた男爵の前に跪かれ、目の前にそそり立つ
ものをお口に含まれて、最初に教えられたように咽喉の奥まで呑み込まれていかれます。
「どうだ娘、ご主人様のものをまた口に出来て、嬉しいであろう?」
もちろんお嬢様が本当にそう感じていらっしゃるはずはございませんでしたが、下腹部に
刺さったままの蝋燭は、お顔を沈められるたびにヒクン、ヒクンと、ただ揺れているのとは
違う動きを見せていました。
「娘、下の口が淋しそうだな
さあ、そちらも自分で慰めるのだ」
「ふぁ、ふぁひ…」
お嬢様の左手が股間へ伸ばされ、手にされた蝋燭を自ら抽挿され始めます。
「どうした、上の口が止まったぞ、やはり両方はまだ無理なのか?
ならば、下の口は儂に任せ、お前は儂を愉しませることに専念するが良い」
ヌチュッ、ヌチュッ、ズチュッ、ズチュッ、ズチュッ、ズチュンッ、ズチュンッ………
「んふッ、んふッ、ふぁふッ、ふぁふぅ……んぶっ…おぶっ…おぶっ…おぶっ………」
男爵が太さも長さも普通の物の何倍もある巨大な蝋燭を前よりもより鋭く突いてくると、
その重みからもたらされる衝撃で子宮が圧しひしがれて、どうしても意識がそちらに向いて
しまわれるお嬢様は、子宮が突かれるのに合わせて咽喉の奥まで男爵のものを呑み込まれ、
その苦しさで気を紛らわせて、お口でのご奉仕を続けられました。
そのように、二人の殿方から花芯とお口を同時に犯されるのと寸分違わない淫らな行為が
続けられている内に、とうとう男爵にも果てる時がやってきました。幸い男爵は咽喉の奥に
ではなくお口の中へ射精してくれましたが、舌の上に溜まった熱い精液から立ち昇る濃密な
殿方の匂いとその苦さとでお嬢様は気が遠くなられそうでした。
ですが、男爵のお嬢様への命令はまだ続きました。
「どうだ、ご主人様を口でも悦ばせられて嬉しいであろう、我が胤、けして零すでないぞ
さあ、それを飲み込んだら、ご主人様のものをきれいにして差し上げるのだ
もちろん布などでではなく、お前の口でだ
それが奴隷娘の習い、ご主人様への性のご奉仕が終わった時にする最後の務めなのだから、
きちんと覚えるのだぞ」
「うう…んく…んんん……」
お口の中の苦い白濁液を飲み下されたペリーヌ様は、男爵の指図によって、亀頭をお口に
含んで伸ばした舌でくびれた部分や筋を舐め取らさせられました。
やがて亀頭が済むと、首を傾げて陰茎の表面を根元へと隈なく舐めて回され、陰嚢までも
お口に含まされて舌で拭わされました。その間、お嬢様のお顔は嫌でも男爵の陰茎に触れて
しまいます。
そして最後にもう一度陰茎をすべて呑み込まされ、咽喉で何度も清めさせられました。
こうしてお嬢様は殿方にご奉仕する際の作法を身をもって学ばれたのでございます。
「よしよし、良く出来たな、今その褒美をくれてやる」
「あっ、何ッ?!」
「なに、お前はこれを随分と気に入った様子であったからな
今度は我慢せず、最後まて絶頂って良いのだぞ」
「いやっ、わたしこんなのッ、アウッ、アッ、アッ、アッ、ンッ、ウンッ、ンアアッ……」
男爵は、膝に乗せたお嬢様の乳房を揉みしだきながら、その股間に生える大蝋燭を激しく
抽挿していきます。そのような淫具での辱めをいくら拒まれようと、女に目覚めてしまった
肉体は否応無く上り詰めさせられていき、男爵が大蝋燭を押し込むと下端が子宮をずんずん
叩き、引き抜くと面に盛り上がる筋に膣内の淫液が掻き出されて床の敷物にボタボタと滴り
染みを広げていきます。
最後に思い切りクリットを押し潰されたお嬢様は、激痛とそれをなお上回る快楽によって
お身体を仰け反らせ、絶叫されました。
「ヒギィッ! イア、アアアァァァ……」
やがて絶頂の緊張も解けて腕を固く掴んでいたお嬢様の手が緩むと、男爵は膣から蝋燭を
抜こうとしました。
「うんっ…んあ?…」
「これは…どうしたのだ、なかなか抜けん…まだ、中で締め付けておるのか?」
「アウッ、ウグッ、ヤメッ、ヒギッ、ウアアッ、イギィィッ!」
男爵が力を込めて蝋燭を抜き出そうとすると、膣その物を引きずり出されるような苦痛が
ペリーヌ様を襲い、やがて蝋燭はズボッと音を立てて膣から一気に引き抜かれました。
中から出てきた蝋燭は、炎のように熱った体内で蜜蝋が柔らかくなっていたところを絶頂を
迎えた際によほど強く締め付けられたのでしょう、元々面に刻まれていた螺旋の筋は潰れて
膣襞の連なる跡が刻み直され、垂直だった芯も所々括れて曲がり、お嬢様の膣に入っていた
部分とそれ以外とで明らかに形が変わっていました。
「何とこれは…古来、女の窪みを火処(ほと)とも称すが、よくぞ申したものだ
見よ娘、お前があまりに熱く締め付けた所為で、蝋が蕩けて窪みの形にひさげておるぞ
お前はこのように窪みを締め付けて男を悦ばせておるのだな」
淫液にまみれたそのような物を目の前にかざされたお嬢様は、まるで膣内を直接覗かれて
いるような恥ずかしさを覚えられ、男爵の手から蝋燭を奪おうとなさいました。
「イヤイヤッ、見ないでェッ」
「おおっと、これは渡さぬ、今宵の記念にとっておくのだ
そして、何時か孫が長じたら、かつて儂は斯様な名器と目合ったのだと自慢してやろうぞ
ハッハッハッハ」
「イヤァァ、そんなの今すぐ捨ててェッ!」
「フッフッフ、戯言を本気にするでない
だが、それにしてもお前はまだ元気なようだ
それならまだまだお前を愉しめそうだな」
「えっ、まだってッ?!
だってご主人様はさっき、これでもう終わりだってッ」
「何を申す、昼間言い渡したではないか、儂が満足するまでお前の務めは終わらぬのだと
折角お前に女の悦びを教えたのだ、その出来栄えを確かめずして何とする?
「でも、ご主人様だって、もう…」
男爵ももうこれ以上性交を為すのは限界なのではないか、これまでのそれほど多くも無い
性体験からペリーヌ様がそう思われたのもご無理ありませんでした。
ですが、闇雲に己の肉欲にのみ衝き動かれて女を陵辱するような殿方と、たとえ同じ肉欲
からだとはいえ、男爵のように初めから相手との性愛を愉しもうとする殿方とでは、自ずと
その持続力も異なるもの、しかもお嬢様ご自身がそれを助長してしまいます。
「ほう、お前は儂の剣がもうお前を悦ばせられぬのではないかと、そう心配しておるのか?
お前がそんなにも儂のものを欲しておるとは喜ばしいかぎりだ
だがそんな心配は無用、何故ならお前自身がいくらでも儂を漲らせてくれるのだからな」
「ち、違います、わたし、そんなこと思って…
ああ、いやッ」
男爵はペリーヌ様をベッドに横たわらせ、蜜湧く泉へ口を付けました。すると忽ち男爵の
陰茎はドクドクと脈打つ血管を浮き上がらせ、これまでの事が無かったかのように始めにも
増して怒張していきました。
「フフフ、どうやらお前の蜜はまこと回春の秘薬のようだな
見よ娘、これならばまだまだお前を絶頂(ゆ)かせてやれるであろう?
さて、今度はどのように性愛(あい)されたい?」
「ヒィッ、お願い、もう許してェェ…………」
男爵はそれからもアラビアンナイトの中から五つの逸話を聞かせ、それに擬えたさらなる
淫らなご奉仕をペリーヌ様に課し続けました。
やがて、最後のお務めも済んで、お嬢様が夜伽から開放されたのは、時計が鐘を二つ打って
からのことでございます。
それほどの長きに渡り性愛を強いられ続けて疲れ果てていらしたにも関わらず、お嬢様は
ご自分に鞭打ってお身体を清められました。
けれど、掻き出しても掻き出しても、指で拭うたびに子宮から膣内へ精液が溢れ出てきて、
男爵が別れしなに名残惜しそうにお尻を撫でながら言った言葉が思い出され、ペリーヌ様は
さめざめと涙を流されました。
―――良かったぞ、娘、お前の窪みの味、儂は一生涯忘れ得ぬであろう
お前にはまだまだ性愛(あい)の種種(くさぐさ)を教え、共に愉しみたかったのだが…
今それを言うても詮無き事、口惜しいが儂がそうせずとも、何れ他の誰彼がお前を女として
成長させてくれるであろう
何故なら、これからもお前の身には今日と同じ事が幾度と無く降りかかるであろうからだ
判るか娘、それが、そのような男を惑わす躯を持って生まれてしまったお前の定めなのだ」
「イヤ…そんなの、いやです…」
「そうか…お前にはまだ判らぬやもしれぬな…
だが、そうして重ねられた数多の体験の一つ一つが、何時かきっとお前が本当の愛を知った
時の糧となろう―――
それは、まさに昨夜ご自身が感じた哀しい予感を裏付けられたかように、ペリーヌ様には
聞こえたのでございます。
ようやくお身体を清め終えられ、浴室から戻られたお嬢様は、けれど汗と淫液にまみれた
ベッドに入る気にはとてもなられず、床の敷物の片隅で膝を抱かれて夜の明けるのを待たれ
ました。
それから3時間ほどが経ち、いつの間にまどろまれたのかお嬢様が気づかれると窓からは
曙光が射していて、昨夜の出来事が無かったかのような清清しい朝を迎えていました。
身支度を整えられたお嬢様が隣の部屋の扉を叩くと、お母様とマルセルもすでに起きていて
旅支度をしていました。お嬢様は努めて何事も無かったかのように明るく振舞われますが、
二つの事が気がかりでした。
「おはようございます、お母さん、マルセル」
「おはよう、ペリーヌ」
「ペリーヌ、おはよう」
「ねえ、お母さん、昨日の夜、何か物音とか声とか聞こえなかった?」
「昨日の夜?…いいえ、何も聞かなかったけれど、それがどうかしたの?」
「ううん、なんでもないの…そう、きっと変な夢でも見たんだわ」
「あー、ペリーヌ、もしかして一人でいるのが恐くて、それでオバケの夢でも見たんだろ」
「もう、マルセルったら…わたしはもう、あんたみたな子どもじゃないのよ」
『よかった…二人ともわたしの部屋であった事、気付いてなかったんだわ』
そう安堵されたお嬢様は、ご自分に与えられた部屋が元々城塞として築かれ壁の厚いこの
館の中でも特に音が洩れないよう改修されていたことも、その昔、そこでラウラという娘を
性の玩具とした淫虐の千夜一夜物語が繰り広げられていたこともご存知ありませんでした。
、
「それより、二人ともずいぶん早いのね?」
「そういうあなただって…
ほら、もう二日も足を止めてしまったでしょう、だからそれを取り戻そうと思ったの」
「そうね、マルセルを早くお母さんの所へ送ってあげなくちゃ」
「おばちゃん、ペリーヌ、おいら、うれしいよ、もうすぐ母ちゃんに会えるんだね」
「ええ、そうよ、マルセル、そのためには、なるべく早くここを出発した方がいいわ」
「そうね、ペリーヌ、男爵様にお暇乞いを済ませたら、さっそく出発しましょう
朝食は、馬車にパンがまだ残っていたはずだから、それでいいわね」
「え…ええ、そうね、お母さん」
『やっぱり、また男爵様と顔を合わせなきゃいけないのね…
わたし、どんな顔をして会ったらいいの?
あんな事をいっぱいされて、わたしの恥ずかしいところをみんな見られて…
そんな目で見られたら、わたし、きっと泣き出しちゃうわ
それに、また男爵様に引き留められるかもしれない
そしたら、きっとまた…ううん、絶対、もっと恥ずかしい事を…
だって、あの本にはまだ続きが何冊もあるって言ってたもの…
あんなお話が千一回も…わたし、どんな事をされちゃうの…』
「どうしたの、ペリーヌ、何だか顔が赤いみたいだけど、風邪でもひいたの?」
「え? あ、ううん、なんでもないわ、気のせいよ
それよりお母さん、わたし、先に表へ行って、馬車の用意をしてちゃいけないかしら?」
「あら、だめですよペリーヌ、あなたももうレディなのですから男爵様にちゃんとお別れの
ご挨拶をしなければ」
「でも、お母さん……」
お嬢様が諦めかけられた時、扉をノックする音がして、顔を見せたのは、この館の家令で
ございました。家令の申すには、主人は急の不例にて見送り出来ぬが旅の無事を願っている
とのことでした。マリ様は、ご親切にしていただいたお礼と男爵の早い快癒を祈っていると
家例に伝え、館を後にされました。
そうして立ち去っていくお嬢様達の馬車を、男爵が窓の陰から見送っていました。
「往くか娘……
お前とはもっと…いや、言うまい、所詮それは叶わぬことよ
お前の見せてくれた夢、けして忘れはせぬ
さらばだ、我が白銀のサキュバスよ……」
男爵の館を出てからのお嬢様は昨日の午後にも増して言葉少なで、ご心配されたマリ様は
昼前に着かれた宿場町で気晴らしに買い物に行かせました。その町はお嬢様達が昨日の内に
向かおうとされていた所でございましたが、何やらざわついておりました。
お嬢様はその訳を町の人達に聞こうとされましたが、お嬢様のお顔を見ると何故か皆悲痛な
表情を浮かべて口をつぐんでしまいます。
それでもやがて井戸端会議をしている口さがない奥さん連中の声が聞こえてきて、お嬢様は
昨日の晩にこの町の近くで起きた事件を知られたのでございます。
それはもう日もとっぷりと暮れた暗闇の中、道を急いでいた親子連れの馬車があと少しで
この町に着こうとしていた矢先のこと、突然5、6人のならず者達に襲われ、お嬢様と同じ
年恰好の娘が強姦されたらしいのです。
奥さん連中のおしゃべりが進むにつれ、事件の無惨さが明らかになっていきました。
襲われた時荷台に居た娘は、父親から荷物の陰に隠れて何があっても出て来るなと言われ、
じっと息をひそめていましたが、馬車が林の中に曳き込まれ御者台から引きずり落とされた
父と弟が殴る蹴るの乱暴を受けているのを見ていられず、思わず荷台から飛び出して二人を
庇おうとしました。
けれどもならず者にそうした娘の優しい心根が通じるはずも無く、その姿は男達の目には
肉欲を呼び覚ます新たな獲物にしか映りませんでした。
娘は取り囲んだならず者達に甚振られすべての着衣を引き千切られて、父親と弟の目の前で
頭目の男に純潔を奪われた後、入れ替わり立ち替わり全員に犯されました。
ですが、男達の欲望はそれで治まるどころか弥増しに昂り、順番を待つのももどかしく、
肉の饗宴に狂った狼のごとく幼い肉体に群がり、娘は二人がかり三人がかりの口に出すのも
憚られるようなやり方で、泣き叫ぶ力を失ってもなお陵辱し続けられました。
有り金も馬車も奪ったならず者達が去った後、引きずる足でようやく町に辿り着いた父親の
抱いていた娘の三つの穴からは男達の精液が未だ溢れ出ていたそうでございます。
何人もの男達に輪姦されるという事がどういう事なのか、もちろんまだご存知ありません
でしたが、似たようなご経験のあられたペリーヌ様は、その娘が受けたであろう体の、また
それ以上に深いであろう心の傷を思われ、胸を痛められました。
そして、ある事に気付かれたお嬢様は、急に恐ろしくなられて、震えるご自分のお身体を
抱き締められました。
『もしも昨日、わたしがわがままを通して、館を出ていたら…』
そうしていたら、夜盗に襲われていたのは、ご自分達であったに違いない…
その時はご自分だけではなく、きっとお母様も…お身体のあまりお強く無いお母様がそんな
陵辱を受けたらどうなってしまっていたことでしょう…
それより何より、またしても目の前で愛娘を犯される事に耐えられなかったでしょう…
そして、お嬢様達を守ろうと必死に抵抗しただろうマルセルもどんな目に遭っていたか…
それに気付かれたお嬢様は、昨日のお母様のご判断が間違っていなかったことをお知りに
なられ、お心のどこかでお母様を恨んでしまっていたご自分を恥じられました。
そして男爵のことも、お嬢様達を引き止めた狙いが別にあったにせよ、夜盗が出るという
話には偽りが無かったのだと分かって、やはりお母様のいつもおっしゃるとおり、むやみに
他人を疑ってはいけないのだと思われました。
とは言え、さすがにこれからも殿方に辱め続けられていく事がやがてご自分の助けになる、
などとは信じられませんでしたが、ご自分が男爵の夜伽を務めたことでご家族を夜盗の被害
から救えたのだと思うとそれも神様の思し召しのような気がして、たとえ今後にどのような
運命が待ち受けていようとお嬢様はそれを受け入れようと決心されたのでございます。
「そうだわ、わたしお父さんのお墓の前で誓ったじゃない、これからはわたしがお母さんを
守ってあげるんだって…
そのためだったら、わたし、どんな事でも我慢できる…だから、あれで良かったんだわ…」
「ただいま、お母さん」
「お帰りなさい、ペリーヌ」
「お母さん、町で聞いたんだけど、今からでも夕方までには次の町に着けるんですって
そしてね、そこから2日も進めば、もうミラノだそうよ
さあ、お母さん、早く出発しましょう
今度こそサーカス団に追いついて、マルセルをご両親に会わせてあげなくっちゃ」
「え、ええ、そうね、ペリーヌ」
男爵の館以来何か思い悩んでいた様子が無くなり、お嬢様が元気を取り戻したのを見て、
マリ様はほっと胸を撫で下ろされました。
「お母さんは手綱を取ってて、わたし、なんだか歩きたいの」
「はいはい、じゃあ、そうさせてもらうわね、ペリーヌ」
馬車が進み始めるとパリカールの横を歩くお嬢様をマルセルが追ってきました。
「待ってよ、ペリーヌ
あれ? ペリーヌ、涙が…どこか痛いのかい?」
「え?…あ、ううん、何でもないのよ、ほ、ほら、男爵様に泊めて頂いたお部屋のベッドが
あんまりフカフカだったから、まだ寝足りなくて涙が出ちゃっただけ…
そう、それだけよ……」
「なあんだ、そうなのかぁ
へへへ、なんだか、今も自分の寝床の中で丸くなってる、どっかの怠け犬と一緒だね」
「まあ、ウフフフ、本当にそうね」
「もう、お母さんまで…
いいわ、わたしは働き者のパリカールと仲良くするから
パリカール、マルセルのお母さんたちがいるミラノまでもうちょっとだから、がんばってね
わたしも歩くから、一緒に前へ進みましょう」
『そう、前へ…そして、おじい様のいらっしゃるフランスへ…』
それから3日後、とうとう両親と巡り合えたマルセルと別れ、おじい様のいるフランスを
目指すペリーヌ様達の前には、アルプス越えの険しい道が待っていました。
ですが、性愛の快楽を知ってしまわれたお嬢様にとって、それはご自分を取り戻す良い機会
だったのかもしれません。
お嬢様が真実の愛の悦びをお知りになる為には、まだまだ辛く苦しい道のりを乗り越えて
行かなくてはならなかったのでございます。
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