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ヌディの長い夜 後編

〜 ヌディの長い夜 後編 〜

『いけねえ、いけねえ、つい勢いで犯っちまったぜっ!
しかし、ここまでされても吐かねえってこたあ、テンボの奴、どうやら許可証を持ってねえってのは、ホントらしいな……だとしたら、さて、どうしたもんか……
許可証の事だけなら生き証人の奴さん一人を殺っちまえばなんとかなったんだが、小娘にも手え出しちまったからにゃあ、捕まりゃ、国外追放だけじゃ済まねえよなぁ……
かといって、黒人ならなんとでもなるが、白人をバラしたとなりゃあ、もっとヤベえ……
二人とも殺らずに、口封じできねえもんかな?
・・・・・・
そうか! クックックッ、その手があったな!』

 密猟者は今にも気を失いかけていたわたしの身体を抱き寄せ、低い声で耳元に囁きかけました。
「こりゃあ、やっぱりやっこさんにゃ、死んでもらうしかねえな」
「そ、そんな、約束が!」
「おいおい、俺がいつ、そんな約束したって?
お嬢ちゃんが勝手にそう思い込んだだけだぜ」
「そんなの……
おねがい! あたし、なんでもしますから、テンボを助けて!」
「なんでもか……なら、俺の言うとおりにしてくれたら奴さんを殺さないでいてやる」
「本当に?」
「ああ、安心しな、今度はちゃんと約束してやるぜ。
それじゃあ、お嬢ちゃんには、これから俺が言うことをよーく聞いて、そのとおりにやってもらおうか……」

 わたしが密猟者にされた事を、今度は自分から進んでテンボにする。男が耳打ちしたのはそういうことでした。
またあの苦痛を受けると思うと、一瞬のためらいが起きなかったと言えば嘘になりますが、それでテンボを助けられるなら、わたしはそれに従おうと思いました。
 でも、いざ立ち上がろうとした時、まだわたしに入ったままだった男のモノが中で擦れてしまい、腰に力が入らなくてなかなか立てませんでした。
しかたなく男の肩を借りてどうにか立ち上がり、やっと男のモノが抜けたというのに、まだわたしの下腹部には何かが挟まっているような感じが残っていて、バスタブをまたいで出る時にズキッと痛みました。
 歩くたびに太ももの付け根がズキズキするわたしが足を引きずりながらテンボの縛られているベッドへ近づくと、彼は必死になってロープを引き千切ろうとしたのでしょう、手首に血を滲ませ、わたしを守れなかった悔しさに固く閉じたまぶたの端に涙を溜めていました。

『ごめんねテンボ、あなたのせいじゃないから……
もう少しだけがまんしていてね、あたしがきっと助けてあげる……』
 彼がこんな事を決して喜ばないのは知っていましたが、わたしはあらためて心を決めて、ベッドに上がっていきました。
 キシッとベッドがきしむ音を聞いてまぶたを開いた彼の目に、一糸まとわぬわたしの姿が映ります。わたしが処女を奪われ、身体を玩ばれる苦痛に泣き叫ぶ声も聞いていたテンボは痛ましそうに、頬の涙の跡もまだ乾いていないわたしを見つめて、唇を噛み締めました。

「かわいそうに……さぞ、つらかったでしょう?
わたしが不甲斐ないばかりに、お嬢さんを酷い目に遭わせてしまいました……なんと言ってお詫びをしたらいいか……」
「ううん……そんなこと言わないで……テンボが悪いんじゃない。
だから、わたしのためにそんなに悲しまないで……
あなたは自分が傷ついても、ずっとわたしを守ってきてくれたわ。
今度はわたしがそうする番だっただけ…………」
「お、お嬢さん? いったい何をしているのです?!」
「おねがい……わたしに……テンボの役に立たせて……」

 わたしがテンボの長衣のすそをめくって下帯を下ろすと、密猟者のより一回りは大きい、磨きぬかれた棍棒みたいにツヤツヤと黒光りするモノが半ば立った姿を表わしました。
わたしはそれを口に入れようとしましたが、大きすぎてとてもできません。しかたなく舌で舐め続けていると、それはわたしが通っていた学校の校庭に立っていた国旗を揚げる旗竿のようにまっすぐ天を向いて直立していき、その先端は、わたしが彼の上をまたいで膝立ちになっただけで、わたしの下腹部に届きました。

「お嬢さん?! そんなことをしてはいけないッ!!」
 自分のモノがわたしの下腹部に触れるのを感じたテンボは、わたしがこれから何をしようとしているのかを察して、顔を蒼ざめさせます。
そして、それが中に入ってしまうのをなんとか避けようとしましたが、両手両足を大の字に縛り付けられていては、せいぜい動かせたのは腰だけで、彼がみじろぎする度に固いモノがわたしの内ももをビタビタと打っていました。

 わたしは、わたしの小さな手では握りきれない彼のモノを両手で押さえて、密猟者に貫通されたばかりの穴の入口にあてがいました。
でも、それは太すぎて、はじめはなかなかわたしの中に入ろうとしませんでしたが、お尻を落としていって腰掛けるように体重をかけていくと、さっき密猟者がお腹の中で吐き出した白い液体のせいでヌルヌルと滑りやすくなっていたのでしょう、あそこの入口を彼のモノが急に衝き抜け、ガクンッと落ちていくわたしの中を無理無理押し拡げて、一気に一番奥まで貫きました。
 それはまだ半分もわたしの中に入っていなかったのでしたが、密猟者の時でさえあんなに辛かったのに、それとは比べ物にならない、内側からギリギリと下腹部を圧迫してくる彼のモノにわたしはうめきました。
 それでもテンボを助けるに、密猟者が命じたとおりにしなければならなかったわたしは、なんとか彼のモノをもっと受け入れようとして、腰を振り下ろしたりしたのですが、それは
ワインの瓶にコルク栓をしめ過ぎたように固く嵌っていて、わたしの力では挿すことも抜くこともできませんでした。

「もう止めてください! お嬢さんには無理です!」
「うう…ん……わたしが…しなくちゃ…いけない…の」
「フフフフ、いい心がけだ、じゃあ、俺様が手伝ってやるぜ」
「マイケルッ! 貴様、なんということを、お嬢さんにさせたんだッ!!」
「おいおい、俺は何も、無理にでもやれなんて、言ってないぜ、そうだろ、お嬢ちゃん?
だが、かわいそうに、見てみろよ、開通したばっかの、お嬢ちゃんのマンコがまた裂けて、血が出てる。これは誰のせいかな?
 それにしても、おまえさんがこれほどの一物の持主だったとは、思わなかったな。
テンボ、スワヒリ語で象とは、よく言ったもんだ、正直、俺様もシャッポを脱ぐぜ!
二番煎じで悪かったが、恩義のあるブアナ・ローズの娘の味はどうだった?
黒人のおまえには滅多に味わえねえ極上品だったろう?
これで俺様とおまえは、穴兄弟ってえわけだ。
フッフッフ……前に、おまえの事を、年端も行かねえ白人の娘をかどわかして手篭めにしただけでは飽き足らず、略奪婚で手にした妻同然に、昼も夜も構わず娘を犯しまくっている、極悪非道の誘拐犯だと、警察にチクってやったことがあったが、それもまんざら嘘じゃなくなったな。
 どうせここまで犯っちまったからには、後はおまえの子種をこのお嬢ちゃんの腹の子袋にぶちまけるだけだぜ。いまさら、そうしねえって法はねえよな?」
「な、何をバカなことを!
この男の何を言われたか知りませんが、お嬢さんは、そんなことは絶対しちゃいけない!」
「やれやれ、つくづく強情な奴だな、おまえって男は!
もういい、おまえがなんと言おうが、俺様には俺様の都合ってもんがあるんだ!
お嬢ちゃんには最期まで手伝ってもらうぜッ!」
「アッ? イッ、イヤッ! そこはダメッ! 見ないでッ!!」
「クックック、見ないでっ、か……そんなに恥ずかしがるなんて、カワイイねぇ。
でもなあ、ここをあんまり窄まらせてると、後が大変だぜ?
なにしろ俺様がこれから、こっちの穴の使い方も教えてやろうっていうんだから、なッ!」
「ヒッ! な、なにをして? そんなの無理よッ! できっこないッ!
そんなことされたら、わたし裂けちゃう!
やめて! ヤメッ……ギッ…アアアアアァァァァァ!!!」


【旧名劇お絵描き掲示板No.346 by Tak】

 いつまでも待っては居られないと痺れを切らした密猟者は、わたしの上半身を前に倒してテンボのモノに突き上げられて高くなっているお尻を掴み、指でお尻の穴を拡げました。
女の子にとっては、そんな所を見られるのは、あそこを見られるより何倍も恥ずかしくて、男が自分に何をしようとしているかなんて、わたしには考える余裕もありませんでしたが、それはすぐにわが身をもって思い知らされました。
 あそこをテンボに刺し貫かれている上に、さらにお尻にも密猟者が侵入してきて、一度に二人の大人のモノに前後の穴を串刺しにされたわたしのお腹は今にもはち切れそうなくらいに膨れあがって、身体中からぎりぎりと空気が絞り出されてしまったみたいに、わたしにはもう息もできませんでした。

 あまりの息苦しさに気が遠くなっていく中、わたしの脳裏には、ミッキーたち悪戯小僧が雨季に校庭で思いっきり遊べないうっぷんを晴らすように、捕まえたカエルの肛門に小枝を突っ込んで苛めていた残酷な光景が浮かんできて、自分がまるでそのカエルになったような気持がしました。
でも、わたしにはカエルの方がまだましのような気がします。だって、カエルとは違って、人間の女の子には苛められる穴が2つもあったのですから。

 ・・・男の子たちの指に手足を押えつけられて大きく開かされた、カエルと同じくらいに小さくなった丸裸のわたしのお股を食い入るように覗きこんで生唾を呑みこんだミッキーはゴツゴツと瘤のある木の枝を、目の前の女の子の大事な所と、とても恥ずかしい所の両方の小さな穴にズブズブと突き刺していきます。
 お腹の中をゴリゴリとえぐられていく苦痛にわたしが泣き叫んで、痛がれば痛がるほど、ミッキーは喜んで、木の枝を交互にわたしの2つの穴に出し入れさせたり、中をグルグルとかき回して苛めて、まわりでは男の子たちみんながわたしが悲鳴をあげるのをニヤニヤ薄ら笑いを浮かべて見ています・・・

「クックック、オネンネには、まだまだ早いぜ、お嬢、ちゃん!」
 いつしかわたしが陥っていた、そんな悪夢を破ったのは、それよりももっと無慈悲な現実でした。後から胸を鷲づかみにした密猟者が、お尻に入ったまま腰を動かしだすと、それにつられて、テンボのモノにきつく嵌りすぎていて、自分では動かせなかったわたしの身体も上下に往復運動を始め、テンボの意思に関係なくに強制的にわたし前の穴の中を彼のモノが抽挿していきます。
 密猟者が後の穴を突き上げると、前の穴のテンボのモノが抜けていき、頂点で折り返す時には男の体重を乗せられ、テンボのモノにあそこを奥まで衝かれて、お腹の子宮をぎりぎりまで押し上げられ、その後にお尻の穴に入っているモノが抜けていって止まる、そんな半拍ずれたリズムで2つの穴を犯し続けられていったわたしにはもう、二人のモノにお腹の中をぎりぎりと擦られても、すでに悲鳴をあげる力も残っていませんでした。

「マイケルッ、頼むからもう止めてくれ! このままではお嬢さんが死んでしまう!」
「そうだよなぁ、こんな小さな身体じゃ、いつまで持つか、分からねえよなぁ?
だったらお前も、早く、出しちまい、な! そうすりゃ、お嬢ちゃんも、楽になるぜ」
「きさまという、奴は! それでも、人間か!!」
「なんとでも、いいやがれ! ぐずぐずしてると、お嬢ちゃん、くたばっち、まうぜ?」
「クッ……」

 遠のいていく意識の中で、最後にわたしは、わたしの体内にあの白いものがお尻の穴に、そしてあそこの奥に吐き出されていくのを感じました。

「どうだテンボ、ブアナの大事な娘を犯っちまったご感想は?
もしこのコトをお国のお偉いさんが知ったらどうなるか、分かるよな?
 独立したてのこの国で、イギリス人の娘を黒人が犯した、なんてスキャンダルが起こった日にゃ、蜂の巣をつついたみてえな大騒ぎだろうぜ?
そうなりゃお前はもちろん、カンバの村にも警察はおろか軍隊まで出張って、何をされるか分かったもんじゃねえよなぁ。
 それにお嬢ちゃんだって、イギリスに帰っても、黒ンボにキズモノにされた娘って、噂にされて大変な目に遭うんだぜ?
で、ものは相談なんだがな?
おまえが許可証のコトは間違いでした、って言ってくれりゃ、俺も今日のコトはなにも言わねえ、ってぇのはどうだ?
お前もお嬢ちゃんも、それで助かるって寸法さ
おっと! そんな目で睨むんじゃねえよ!
いやならここで、二人ともバラしちまってもいいんだぜ!」

「それだけか?」
「なに?!」
「いうことは、それだけか? と聞いたんだ
ならば、こちらからも言わせてもらおうか!
 確かにわたしはお嬢さんを守れなかったばかりか、自分でも傷つけてしまった……
それはもう取り返しがつかない。
きさまに殺されるまでも無く、ブアナの手にかかってもいいとさえ思っている。その覚悟はできているんだ
 だが、お嬢さんのことはどうするつもりなんだ?
お嬢さんは、わたしが生きていれば、わたしのことを庇って、今夜のことは誰にも話さないだろうが、もし殺されれば警察に問い詰められて話さざるを得なくなってしまうだろう。
密猟、殺人の上に,同国の少女を犯したとなればイギリスの警察もだまってはいまい?
 では、お嬢さんも殺したら?
偽の輸出許可証を預けたクランクショー博士には、きさまがわたしたちを追っていたことも話してあるんだ。
もし、二人とも殺されていれば、疑われるのはきさま以外にはいない。死人に口なし、にはならないんだ。
 それにブアナ、仕掛け屋ローズの名は伊達じゃない。もしお嬢さんが殺されたとなれば、地の果てまできさまを追い詰めて行くに決まっているじゃないか?
どうだ? わたしの言うことは間違っているか?」
「うう……」
「ひとつだけ、きさまが助かる道がある。ここを今すぐ立ち去って、南に行くんだ。
線路は壊れているようだが、人一人ならなんとかなるだろう。
そして、アフリカから離れ、イギリス以外の土地にならば、どこでも行けばいい。
いつまでもぐずぐずしていると、鉄道や警察の人間が救援にかけつけて、逃げるに逃げられなくなるぞ!」

「なんてこった、こんな黒んぼ野郎に言い負かされるなんて……
クソッ! クソッ、クソッ、クソォーッ!!
いいかテンボ! 今回は言うとおりにしてやる。だが、もし追ってきたりしたら、こいつでズドンだ!」
「判った、約束しよう、わたしはきさまと違って一度した約束は破らないことにしている。
ああそうだ、出ていくならついでに、わたしのロープを解いていってくれないか?
この格好で人に見つかったら、誰もわたしがお嬢さんを犯したなんて思わないからな」
「クソッ!……なんて野郎だ!
いの一番にお前をバラしておくんだったぜ!
ほらよッ おまえのパンガ(蛮刀)だ! 後は勝手にしな!」

「お嬢さん……お嬢さん、起きて……起きてください」

 わたしを気遣うテンボの声に呼ばれて、わたしは目を覚ましました。
いつのまにかベッドに寝かされていたわたしは、まだ身体がだるくて、夢を見ているように意識がはっきりしません。
 今は何時だろう、とボンヤリ考えながら起き上がろうとした時、ズキンと股の間にうずくような痛みを感じて、掛布団を払うと、わたしは裸でした。
そして、わたしの寝ていたベッドのシーツに赤い汚れが残っています。

「わたし……わたしは……あれは本当、だったの?
ア…アアア……イヤァ……イヤアァァァ!」
「お嬢さんしっかり! しっかりしてください!」

 わたしはわたしの身に起こったすべてを思い出し、あの時に抑えていた感情が関を切ったように溢れ出して、悲鳴を上げました。
そんなわたしを抱きしめ、なだめてくれるテンボの胸にしがみついて、わたしはいつまでも泣いていました。

「大丈夫、もう大丈夫です、奴は行ってしまいました。
もう二度とお嬢さんの前に現われることはありません。
怖いことは終わりです、お嬢さんは安心していいんです」

 彼の静かな声に慰撫され、わたしはようやく心を落ち着かせていきました。

「お嬢さん、自分で立てますか?
でしたら、わたしに手当てをさせてくださいませんか?
ええ、これは大事なことですから、早く済ませましょう」

 わたしが小さな子供の頃にかえったように、すべてをテンボに任せてベッドを離れると、あのバスタブはすでに片付けられ、床には人が立てるくらいの大きさの木桶が置かれていました。裸のままその中に立ったわたしの身体に水差しに溜められたぬるま湯がかけられ、どこか痛む所はないかと確かめながら、テンボが湿らせた布切れでやさしく肌を上から拭っていきます。
 やがて彼の手が下腹部にさしかかり、あそこの割目を指で開いた時、わたしは身体を緊張させました。

「テンボ?!」
「すみません、お嬢さん、痛かったですか?」
「ううん、大丈夫だけど……そこ…は洗わなくても……」
「いいえ、お嬢さん、ここは絶対洗っておかないといけません。
もし万が一、赤ちゃんができたら大変ですからね」
「え? 赤ちゃん?」
「そうです。
お嬢さんはもう、赤ちゃんを産める身体ではないですか?
申し訳なかったですが、さっきわたしは種を……いえ、赤ちゃんを作る元をお嬢さんの中で出してしまいました。
(それに、奴も……)だから……」
「わたしのお腹に、赤ちゃんができたの?」
「あ、お嬢さんの年頃だと、そうなることはほとんど無いはずですから、これは念のため、です。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ、お嬢さん」

 わたしはこの時まで自分が受けた仕打ちが、テンボに言う事を聞かせようとして密猟者が彼の身代りにわたしをいたぶっていたのだとしか思っていませんでした。
 『赤ちゃんを産める身体』と聞いて、そういえばわたしに初めてアレが来た時、お母さんからそんなことを言われた事を思い出しました。
わたしが大きくなって好きな人と結ばれて、お母さんがそうだったように、わたしもいつかお母さんになる。そう教えられていたのに、赤ちゃんを作る行為を、それをセックスというのは知っていましたが、それを無理やりあの密猟者の男にされたという事に、わたしは今になって気づかされたのです。

 もし、あんな男の赤ちゃんがわたしのお腹の中にできたらと思うと哀しくなって、知らず知らずに涙が出てきます。
けれども、それがテンボの赤ちゃんだったら? という考えがふと浮かんできました。
もちろん今までテンボをそんな風にみたことはありませんでしたが、わたしはテンボが好きです。
テンボとわたしが結ばれ、お父さん、お母さんになって二人の間にできた子供たちと一緒にアフリカで暮らす。それはすてきな夢に思えました…・・・
 けれども、それはやはり夢、でしかないでしょう。
いくら両親がアフリカ人に理解があり、相手がテンボとしても、そんなことは決して許してくれないでしょう。
 それに……たとえそれが許されたとしても、テンボの前で密猟者にあんな恥ずかしい事をされたわたしにはもう、そんな資格は無いでしょう。
テンボはやさしいので、あのことは自分のせいだと思って、わたしを受け入れてくれるかもしれません。でもそれはきっと、テンボを不幸せにしてしまう気がします。
頬を濡らす涙はなかなか止まりませんでした。

 わたしがそんな思いに耽っている中、テンボがわたしのあそこにお湯に浸した指を何度も入れては、中を傷をつけぬように注意してその内側を指の腹で丹念にこすり、わたしの中に残った『赤ちゃんの元』を洗い流していきます。
わたしの体内を出入りするその動きは、わたしが受けたあの行為を思い出させます。密猟者の、そしてテンボのもっと太いモノがそこに刺さっていた時はまるで杭を打たれたみたいでとても苦しかったのですが、子供をあやすような低い声に緊張を解かれたせいでしょうか、わたしは彼の指に身を委ねながら、安らぎに似た快感を感じていました。

 彼に身体の隅々まで洗ってもらい、最後にもう一度きれいなお湯ですすがれ、肌をふいてもらったわたしは真新しいシーツにくるまれてベッドに寝かされました。
あの男の穢れが洗い清められたような清涼感に満たされて、すぐそばにテンボの気配を感じながら、わたしは眠りについたのです。

 二日後、ようやく鉄道も復旧されて、お父さんたちとも再会できました。
無茶なことをしてと、お父さんにはとても叱られましたが、わたしを誘拐したと間違われていたテンボの容疑も晴れて一安心です。
あの密猟者はとうとう捕まらず、結局、わたしはヌディのあの夜の事は誰にも言いませんでした。

 あれから二週間、マーフィーを無事自然に帰すことができたわたしたちは今日、イギリスに出発します。これでもうテンボとわたしの人生が交わることも無いでしょう。
でも、きっとそれで良かったのです。

 わたしたちを乗せた飛行機の窓の外には懐かしいサバンナがどこまでも続いていました。


2006年6月10日
 旧名劇お絵描き掲示板、チャフ様&tak様の投稿作品に寄せて
2008年9月13日
 改稿

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