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レディ・ペリーヌ物語 12



〜 レディ・ペリーヌ物語 12 〜

【 旅の続き ―イタリアでのいくつかの出来事 その4 インテルメッツォ― 】


『昨夜といい今日といい、年甲斐も無く、この娘にこんなにも惹き付けられてしまうとは、
 儂はいったいどうしたというのだろう…
 儂は、稚児趣味は無論、少女趣味も持ち合わせておらぬというのにな…
 だが、この感覚、前にも確かに感じたことがある…さて、どこでだったか?…』
 亡き先代の当主が使っていた居室から隠し扉を抜け、お嬢様の寝室の前に立って、そんな
感慨を覚えた男爵の胸中にこれまで体験してきた数多の女性遍歴が次々と浮かんでは消えて
いきました。

―――男爵が初めて性愛を体験したのは、嫡子であった彼がいまだ少年の面影を残していた
15歳のみぎり、相手は、先の公が息子ももう女を知って良い頃だろうと夜伽に寄越した、
お屋敷に奉公していたラウラという17歳の娘でございました。

 ラウラは、好色だった先の公が初心な娘を妾奉公させて一から性の調教をしてみたがって
いるのを知った家令が、これさえ無くば良いご主人様なのにと溜息をつきながらも奥方様も
すでに亡くなられたのだからと諦めて、家名を汚さぬよう領地からなるべく遠く離れた場所
から、何をされても騒がぬ従順な、公の御眼鏡に適うような容姿のうら若き処女を、と言う
条件を付けて口入れ人を通じ、雇い主の名を伏せて方々の女衒に探させた、イタリア南部の
とある山里で暮らしていた器量良しと噂の娘でした。
ラウラは女衒から、歳を取って不自由をしている大金持ちの身の回りの世話をすれば相当の
お給金を頂けるが、その為には万が一にも悪い病気を持っていては差障りがあるのでそれを
検めねばならぬと騙されて裸にされ、まだ誰の手にも触れられていなかった身体を隅々まで
弄られたばかりか局部に指まで入れられてしまいますが、自分が働ければ木こりをしていた
父を亡くし貧しい生活を余儀なくされている母やまだ幼い妹達を助けられると思って、その
恥ずかしさに耐えました。
 そうした家族の為なら自分を犠牲にしてどんな事でも我慢しようとする家族思いな性格や
歳に似合わず発育した男好きのするラウラの肉体を見た女衒は、この娘ならば先方の要望に
打って付けだと思いました。

 必要な物はすべて用意して貰えると言われ身一つでお屋敷に上がったラウラは、通例なら
男女別に別棟の四人部屋に入るところを、主付きの小間使いなのだからいつ何時でも御用を
承れるようにと主の部屋の隣に部屋を与えられました。
 その部屋は、優美な曲線を描いた脚の付いた美しい化粧台や、郷で妹と一緒に使っていた
粗末なベッドを思うと一人で寝るには贅沢過ぎる天蓋付きの大きなベッドが置かれていて、
しかもバスルームまでも付随したとても豪華なもので、クローゼットにはお仕着せの女中服
以外にも郷では見られない垢抜けた服が何着も下がり作り付けの抽斗には着けたことも無い
すべすべした絹の下着や夜着が収められていて、ラウラは夢を見ている心地がします。
 そうしてお屋敷に奉公できたことを喜んだラウラが、自分を待ち受ける運命がどのような
ものであるのかを知ったのは、陽も暮れ夕食を運んできた下女とともに現われた家令から、
主はまだ所用から戻らないので食事と湯浴みを済ませ先に休むようにと言われた、その夜も
更けた頃のことでございました。

 主の部屋に通ずるドアが音も無く開き、忍び入ってきた先の公は、長旅の疲れで寝入って
いたラウラの手首、足首に革バンドを巻き付け、バンドに付いた真鍮の輪にロープを通すと
ベッドの四柱に縛り付けていきました。両腕が左右に伸ばされ、右足を鋭く引かれる痛みに
目を覚ましたラウラは自分の身に何が起きているのか分からず恐怖に息を呑みますが、その
間にも左足が引かれ、四肢を磔のように広げられて身動きできなくされてしまいました。
 銀の燭台を点し、ガウンを脱ぎ捨てて、自分がお前の主だと言った公は陰茎をたぎらせ、
ラウラが聞いていた身の回りの世話の必要な年寄りにはとても見えませんでした。
公は許しを乞うラウラの夜着も下着も引き千切って露わにさせた柔肌をねぶり回しました。
そして、有無を言わさず処女を奪われたラウラは、苦痛に泣き叫びましたが部屋の厚い壁に
阻まれてその声が誰かの耳に届くことは無く、それもやがて弱々しい呻きに変わっていき、
気を失ってもなお犯し続けられたのでございます。

 翌朝、目を覚ましシーツに残されていた破瓜の印しを見てすすり泣いていたラウラの前に
家令が現われ、因果を含められた彼女は、どうせ自分はもう穢れてしまったのだと絶望して
妾奉公の契約にサインをしてしまいました。
そうして正式に公の所有する性の玩具となったラウラは、腋を剃り交合時に巻き込まぬよう
陰毛も整えられた裸身に、手首足首の拘束バンドの他に首にも革製チョーカー、揺れるたび
痛覚を刺激するぎざぎざしたクリップで乳首に挟み付けられたアメシストの乳飾り、申し訳
程度に胸から下腹部までを覆うエプロンを御仕着せとして、その陰に膣内に挿された張型と
それが抜け落ちぬようチリチリ鳴って彼女が近づいたのを他の奉公人に報せる鈴の下がった
貞操帯を隠して昼は主の小間使いとして仕え、夜のお勤めで主を愉しませた後も、縄や鞭は
言うに及ばず、技の匠に作らせた前後だけでなく全周に亘り揺れ動くその動きを上下運動に
換えて張型を動かし、一度揺らしてしまうと、膣を擦られた女の腰が動いてますます揺れが
大きくなりそれがさらに張型を鋭く突かせて失神するまで止まらない揺り椅子など、様々な
淫具を用いて性の調教を受け続けました。
 そして、主の同好の士達が館を訪なえば、すでに主から殿方を愉しませる為に女の部分は
勿論、口も、さらには言葉にするのも憚られる部分までも調教を受けていた彼女は、父親は
おろか祖父にさえ当たろうかという齢の男達の嗜好のままにそれらのすべてを、しかも興が
乗れば二人掛り三人掛りで同時に犯され、その身をもって調教の出来具合を披露させられた
のでございます。

 その夜、エプロンも付けぬ全裸に等しい姿で廊下を歩かされ、これまで入ったことの無い
部屋に連れて行かれたラウラは、今宵饗(もてな)す相手がせめて二人までであって欲しい
と願いながら主に従いました。ですが、その相手が誰あろう若君だと知ると、そんな心配も
頭から吹き飛び、一瞬呆然とした後、慌てて前を隠しました。弟のような齢の少年に自分の
穢れた、しかも淫らな装身具を着けている体を見られたくなかったのです。
けれども、主はラウラに腕を下ろすよう無情に命令しました。
 若君が、初めて見る女の裸体が気恥ずかしく、かといってラウラの形良い豊かな乳房から
目を離す事も出来ずにいると、公から触れてみるよう促されました。おずおず手を伸ばした
それは柔らかいのにぷりぷりした弾力があって揺れるその重みまでもが心地良く、しだいに
若君の指に力が込められていき、クリップで固く挟まれた乳飾りの片方を乳首から引き剥が
して彼女を呻かせました。


【laura001FS】

 息子がもはや女体に触れることに躊躇いを覚えなくなったのをみた公はラウラに貞操帯を
外してベッドへ上がり股間を開いて挿さっている張型を見せるよう命じ、若君にそれを抽挿
させました。
性の快楽を教え込まれていたラウラの秘部はすぐに濡れそぼり、立ち昇る濃密な女の匂いが
若君に男の本能を目覚めさせ、屹立したその陰茎は少年のものとは思えぬくらい立派なもの
でした。
 二年余りも性技を仕込まれてきたラウラとの交合に無上の快楽を得た若君は、それからも
毎晩のように彼女の肉体を求めるようになり、そうなると、この所ラウラへの調教に飽きて
きていた先の公も急に彼女への興味が戻って来て、公は、やり過ぎは体に毒だと説き伏せて
若君には一日おきに安息日を除く週の3日ラウラを貸し与え、残る3日を自分が使うことに
しました。
 それからの若君は、前夜ラウラが公からどのように性愛(あい)されたのかが気になり、
それを聞き出しては同じように、けれどより一層激しく彼女の肉体を貪りました。そして、
その事に興をそそられた公は、ラウラの肉体を通じて自分の知り得るすべての性技を息子へ
伝授していきました。

 そのように父子から連日肉体を玩ばれる日々が打ち続き四ヶ月が過ぎた頃、突然ラウラは
とある初老の大商人の後添いとなるよう申し渡されます。その男は公の同好の士の一人で、
ラウラの肉体を知って以来、何かとミラノへ来る商用を作り出しては館を訪う口実を設ける
ほど彼女に執心していたのです。もはや自分が普通の娘には戻れないのを悟っていた彼女は
それを受け入れてお屋敷を下がり、七ヶ月後に無事子供を出産しました。
 その子が公の胤だったのか、それとも若君の胤だったのか定かではありませんでしたが、
ラウラが公と長きに渡り性交渉を持っていたのにも関わらず懐妊しなかったことを考えると
自ずと答えは一つであり、末の事を思えば、産まれた子が女の子であったのは幸いだったと
言えるでしょう。
とまれ、そうした事情を承知した上で妻に望まれたラウラは、およそ女が与え得るすべての
快楽をもって仕えて夫に深く愛され、夫の死後は商会を受け継ぎ老母と妹夫婦を呼び寄せて
娘と共に幸せに暮らしたそうでございます。

 やがて16歳を迎え、見聞を広める為3年間の遊学に出された彼は、社交界を通じて得た
知己の間を転々としながら、中欧、東欧、北欧、南欧、地中海沿岸の諸国を巡りましたが、
やはり血筋と申しましょうか、その間に身を寄せていた館の奉公人や繰り出した町の娘達を
次々と誘惑し時には高級娼館を渡り歩いて、恋を求め競っていた三人の姉妹と一つベッドで
愛し合った性の先進国たるに相応しい奔放なフランス娘達や嫉妬に身を焦がし南国の太陽の
ように熱く求めてきた情深いスペイン娘達、逆に控え目ではあるが情愛を込めて包み込んで
くれた慎み深いロシア娘達、そして千年も昔のハーレムに迷い込んだかのように褐色の体を
妖しくくねらせてキリスト教徒の女にはとても真似できないご主人様のどのような要求にも
応えて性愛とはこんなにも奥深いものなのだと教えてくれたエジプトの奴隷娘達など、行く
先々のお国柄の違いを当地の娘達の肉体で満喫して、知った女は優に百人を超え、交合した
回数ともなればとても数え切れませんでした。

 そうして本当の愛も知らぬまま徒に性遊戯を重ねた少年の千日に及ぶ旅にもやがて終りが
近づき、18歳の青年となっていた男爵は、最後の遊学場所となったスウェーデンで一人の
少女との不思議な出合いを経験することとなったのでございます。

 それはイタリアへ海路帰国することにした彼がストックホルムから出航地イェーテボリを
目指して運河沿いに名所を訪ねながら旅をして、残す旅程ももはや3日となった時のことで
ございます。
 一旦船に乗れば暫らくは土も踏めないと思った彼は、従僕をイェーテボリへと先行させ、
自分は旅を1日中断して辺りを散策して過ごすことにしたのですが、その小さな宿場町から
ポプラ並木を小一時間ほどそぞろ歩いて森に差し掛かった頃、にわかに濃い霧が漂いだして
何時の間にか脇道に逸れ、進めば進むほど森は深く道は細くなっていきました。
 道を見失いさ迷い続けて、途方に暮れ始めた時、前方に陽が射しているのが見え、これで
ようやく森を抜けられると思った彼はそちらへ走りだしました。ところが、木々の途切れた
そこは草の原でしかなく先には湖があるばかりで、その鏡のような湖水を人界から隠し守る
かのごとく、対岸も来し方も周りはすべて深い森に囲まれ、霧に閉ざされていました。

 それでも幸い湖畔にコテージが建っているのが見つかり、歩き通しで疲れ果てていた彼は
助けを請おうとドアを叩きましたが、応えは無く、誰も居ないのかと諦めかけた頃、建物の
裏手で物音がし、中からパタパタと足音が近づいて来て、ドアを開けた濡れ髪の少女が少し
怒ったような表情で彼を睨みました。
 自分より二つ三つ下に見えたその少女はスウェーデン語しか喋れないらしく、彼がいくら
少し休ませて欲しいと言っても首を振るばかりでしたが、それでも一生懸命頼み込んでいる
内にやがて警戒を解いたのか食堂へ通してくれ、温かいスープとパンを出してくれました。
それを見るなり自分がとても空腹だったことを思い出して、皿を舐めんばかりに食べ始めた
彼に少女は微笑みながらお代りをしてくれました。


【hokuouG001FS】


 食事が終わり、やっと人心地のついた彼に少女は何かを伝えようとしてきましたがやはり
通じず、シャツの腕を摘まんで彼をコテージの裏手へ引いて行きました。そこは湖面に張り
出したテラスになっていて、短い階段の先に桟橋が伸びていました。
そこで少女は服の裾をたくし上げるような仕草を何度か繰り返しましたが、彼に伝わらない
とみるや、あれよあれよという間に本当にワンピースをたくし上げてしまいます。
その下の少女は、薄手の夏のワンピースに桜色の乳首が浮き出ていたのでもしかしたらとは
思っていましたが、その想像を超えて全き裸身でした。

 突然のことで呆然としていた彼の前で、ワンピースを椅子の背にかけた少女は柵の切れて
いる階段の上から湖に飛び込み、我に返った彼が柵まで駆け寄り湖面を見下ろすと、少女が
立ち泳ぎしながら肩から腕に手を滑らせてぬぐい、彼も湖に入ってくるよう手招きします。
自分が身体を洗えと言われている気がして、改めて自分の身なりを確かめた彼は、ここまで
来る途中に森の小道で転んであちこちに泥がこびり付き樅の木っ端が靴の中まで入り込んで
しまっているのを見て、もしここに泊めてもらうなら、確かにそうしなければいけないなと
思いました。それと同時に、少女が何故ワンピースの下に何も身に付けていなかったのか、
そして、自分を出迎えた時、何故怒っていたのかも大体察しが付きました。

 人から聞いた話では、北欧の人々は長い冬の間太陽を待ちわびて、花々が一気に咲き誇る
短い夏には男も女も全裸となって、寸暇を惜しんで陽の光を浴び、大好きな水泳を楽しむの
だとか。その言に倣うなら、すでに午後も6時を回っていても未だ2時過ぎのような北欧の
夏ならではの明るい太陽の下、少女は彼が来るまで全裸での泳ぎを楽しんでいたのにそれを
中断させられ、髪を乾かし下着を付ける間も無く不躾な客に応対させられて、それで怒って
いたのでしょう。
 ここは郷に入らば郷に従え、彼もまた全裸となって湖へ飛び込みましたが、故郷の物とは
違って夏だというのに北国の湖は心臓が止まるかと思えるほど冷たくて、身体を洗う余裕も
あらばこそ、桟橋へ戻ろうともがいている内に水底に足がつき、そちらに向かった方が早く
水から出られそうだったのでコテージの脇の浅瀬へ急ぎ、岸に上がるとガタガタ震える体を
両腕で擦りながらジタバタと足踏みしました。

 後を追って来た少女はそんな彼の様子を見て笑い転げ、その涼やかな声を聞いていると、
彼は自分だけが寒がっているのが不公平に思えてきて、冷え切った体で抱き付いて少女にも
冷たい思いをさせてやろうしましたが、身体がまだ寒さに強張っていて上手く捕まえられず
はしこく身をかわした少女に逃げられてしまいます。それを追っている内に身体も温まって
きて、男の脚ならばもう何時でも追いついて捕まえることは出来ましたが、鬼ごっこをする
子供のように楽しげな声を上げている少女を見ていると、彼はいつまでもそうして居たいと
思いました。
 そんな鬼ごっこにもとうとう終わる時が来て草叢に足を取られた少女が倒れ込み、それを
庇おうとして彼もまた転んでしまいました。息を弾ませ柔らかい草の上に並んで横たわった
二人は暫し一緒に悪戯をした仲間同士のようにくつくつ笑っていましたが、その声もやがて
途切れていき、甘い匂いに誘われて隣を見た彼は、控え目ですが乳頭が埋もれるぽってりと
盛り上がった乳首が妙に艶めかしい乳房が呼吸のたびに上下して、その上を一筋また一筋と
まどやかな曲線を描いて胸元へ滴り落ちていく汗が陽の光を受けて輝くのを目にすると今更
ながら傍らの少女に女を感じてしまいます。

 いくら全裸で過ごす習慣がある国に生まれたとはいえ、すでに十分性欲の対象となるまで
成長しているにも関わらず、二人きりで何をしてくるかも分からない見ず知らずの男の目に
裸身を晒していても貞操の不安を覚える素振りが無いのは、少女がまだ無垢な子供(処女)
だからなのだと思えましたし、道に迷い困っていた自分に手を差し伸べてくれた恩義もある
というのに、その信頼と優しさを裏切って股間を昂らせてしまった自分が恥ずかしくなり、
それを隠そうと彼は少女に背中を向けましたが、急にそっぽを向かれた少女が四つん這いに
なって顔を覗き込んできて、肩から落ちたプラチナブロンドの長い髪に首筋をくすぐられた
彼が頭を巡らすと二人の目と目が合います。
けぶる睫毛の下で灰色にも薄紫にも見える少女の瞳が『どうしたの?』と問うてきますが、
彼は『何でもない』と首を振ることしか出来ませんでした。

 すると少女は、彼がまだ寒がっていると思ったのか、自分の体全体で彼を温めようとする
かのように彼の背中に抱き付き脚を絡げて彼の胸をさすり始めました。
密着するしなやかな肉体から伝わってくる温もりと柔らかい乳房の感触に、相手はまだ子供
なのだと思いつつも、ますます昂っていく自分が抑えられなくなった彼は向き直り、少女に
背を向かせて後ろから抱き締めました。
 乳房を弄られた少女は、今度は彼が自分を温めてくれようとしているとでも思ったのか、
嫌がる風も見せず始めはくすぐったがっていましたがしだいに息を喘がせていき、乳首から
顔を覗かせた乳頭を指に挟まれて甘い吐息を洩らします。
 やがて片手が下へ伸ばされ、恥丘に触れられた時には一瞬体を強張らせましたが、そこを
撫でられている内にもじもじと内股を擦り合わせるようになり、指で秘裂を割られた花園の
内にはねっとりした蜜が溜まっていました。

 少女の体が愛撫に反応しているのを見て取った彼はさらに少女に体を密着させ、内ももの
隙間に陰茎を挟ませました。
彼はこのまま少女を貫きたいと強く欲しましたが、これまで性遊戯を重ねてきたとはいえ、
それらはあくまで相手も一夜の恋と納得した上での事で、処女を無理矢理犯すような背徳に
染まっていなかった彼にはそれ以上の事をするのは躊躇われたのです。
けれど若き欲望はそれだけでは満足できず、彼の腰を少女に打ち付けさせていきました。
 少女は、自分が性愛に等しい行為を受けていることをおそらく知らなかったでしょうが、
それでも彼が自分を温めてくれているだけでは無いと気付き始めていたでしょう。ですが、
秘部を熱い陰茎で擦り上げられると今までよりもさらに気持ち良くて、そんなことは忘れて
しまいます。そして、彼が射精をし始めると陰茎の中をたばしる精液の脈動が秘部に伝わり
強烈な快感が背筋を駆け抜けました。

 少女から身を離し仰向けに寝そべった彼は『こんな事をして、怯えさせてしまったかな…
きっとこの子は小屋に逃げ帰って、僕はもう泊めては貰えないだろうな』と、射精の余韻に
息を喘がせながらほんの少し後悔していましたが、少女に逃げる様子はありませんでした。
 彼の横で背中を向けたまま、少女は、今しがた自分が感じたものは何だったのだろうかと
考えていました。そうしていると知らず知らずの内に少女の手は腹へ、そして、下腹部へと
伸ばされていきました。少女の腹は精液にまみれ、下腹部もそれに劣らずヌルヌルと滑って
いました。けれど、いくら自らの手で秘裂の上を弄っても彼にされた時ほどの気持ち良さは
得られず、ましてや最後の電気が走ったような感覚も、下腹の奥がキュッと締め付けられる
感覚も訪れませんでした。
 あの感覚を呼び覚ませられないのは、何かやり方が間違っているのだろうかと自らの手を
確かめた時、そこからここ1、2年になって寝付かれぬ夜に自分の体から発せられるように
なっていた甘酸っぱい匂いと、それとは明らかに異なる匂いがしました。
それが、青年が自分の腹に何度も放った物の匂いであると、少女には判りました。そして、
そうした時の青年がとても気持ち良さそうであったことを思い出します。その青臭い匂いを
嗅いでいると頭が痺れるような感じがして再び下腹が締め付けられました。

 少女が起き上がった時、彼はこの少女といよいよお別れだと思いましたが、少女は彼から
逃げどころか近づいて来て、上を跨ぎました。髪と同じ色味の薄い和毛のような恥毛が肌に
貼り付いて蔭りのほとんど見えないヴィーナスの丘は一見幼女のようでもありますが、その
佇まいはもう十分に女のものでした。
 彼は『何をするつもりなんだい?』と問おうとしましたが、少女は微笑んで『何も言わず
わたしに任せて』と言うように唇に指を当て、彼の上にしゃがんできました。
少女は跨った腰を前後に揺すり始め、先ほどとは逆に自らの秘裂を押し付けて間に挟まれた
彼の陰茎を擦り上げていき、忽ちの内に昂らせます。
そうした少女の仕草に、すでに何度も性愛を交わしたというのになおもそれを強請ってきた
娘達の姿が重なり、彼は少女がまだ処女だと思ったのは勘違いだったのかと思いましたが、
それならばそれで良いと為すがままにされていました。

 穂先のくびれに擦り付けるとより強い快感を感じた少女は息を喘がせながら青年の陰茎が
固く屹立していくのを追うように腰を持ち上げてその動きを一層激しくしていきました。
そして、男と女の体がそのように創られているのを証するがごとく、それは起こるべくして
起こりました。
穂先が膣に潜り込んで来るのを感じた少女は、一瞬何が起こったのか解りませんでしたが、
膣口が押し拡げられていく初めての感覚が恐くて必死に股を閉じようとしました。けれども
青年の体を跨いで大きく脚を開いていた少女は、そのことで却ってバランスを崩して尻餅を
つくように腰が落ち、青年の陰茎によって一気に膣を蹂躙されてしまいました。
 その同じ瞬間、膣に入った亀頭には何かを突き破ったような抵抗感があり、膣内も狭いと
いうよりも挿入そのものを拒んでいるように固くて、違和感を覚えた彼が少女を見遣ると、
少女は耐え難い苦痛に顔を強張らせていて、彼が深々と穿っている膣からは幾筋もの鮮血が
滴り落ちていました。
少女は、やはり紛う方なき処女だったのでございます。

 生まれて初めて処女を犯してしまった彼は、狼狽えて直ぐに陰茎を抜こうとしましたが、
固く緊張した膣内を陰茎がずり動いて付けたばかりの傷痕を擦り、少女を却って痛がらせて
しまいます。
それも無理ありませんでした。まだ少年と言っても良い歳頃ですでに大人並みであった彼の
陰茎は、百人の女達によって夜毎に少女の手首ほどにも太く並外れて大きく鍛え上げられ、
男好きな高級娼婦をたちまち善がり狂わせるほどのものだったのですから、処女にとっては
破瓜の痛みも然る事ながら、それを受け止めるだけでも大変な苦痛だったはずです。
 そうした苦痛を堪えようとしがみ付いてくる少女の背中を暫らくさすってあげていると、
やがて少女は緊張を解いてきましたが、それでも膣はきつく締め付けてきて、まだ若い彼は
挿入しているだけでは我慢できなくなってきました。

 背中をさすっていた彼の手が下ろされ尻を掴み、臼を碾くように少女の腰に円を描かせ、
また杵で搗くように下からも衝き上げて、膣に陰茎を馴染ませていくと、始めはまだ呻いて
いた少女がしだいに声をうわずらせてきます。
少女の中で芽吹いた快楽が苦痛に優っていくのを感じた彼は、もっと動き易いように体位を
入れ換え、もはや相手が直前まで処女であったことも忘れて少女を激しく求め、少女もまた
性の快楽を受け入れていきました。
 破瓜させたばかりの膣に射精を終えても彼の昂りは治まりませんでした。
そして、回を追うごとに具合の良くなってくる少女に彼はますますのめり込み、北欧の遅い
夕日が沈むまでに六度、コテージに帰ってからもさらに三度、精根尽き果てるまで肌を重ね
ました。

 翌朝、といってもすでに昼間近でしたが、少女のベッドで目を覚ました彼がソーセージの
焼ける香ばしい匂いに誘われて食堂へ行くと、少女がテーブルに料理を並べていました。
彼がシャツを羽織っただけで前も隠さずに現われると、昨日はお互いの裸体を見せ合っても
平気だったのに、少女は彼を直視できず頬を染めましたが、そういう少女自身もベッドから
抜け出たままエプロンしか身に着けておらず、それを見透かすような彼の視線を受けさらに
肌を上気させました。
 食事が終り、食器を片付ける少女の後姿を見ていた彼は、揺れる剥き出しの尻に誘われて
手を伸ばしましたが、ピシャリとはたかれてしまいます。まだ幼くとも女にとって台所とは
神聖なものなのです。

 ですがお預けをされた甲斐はありました。片付けをし終えた少女は、彼に微笑みかけると
その手を引いてコテージを出、湖の畔を駆けて草の原に連れてきました。
そこは昨日、少女が初めて性愛を受けた場所です。少女は草の上に座ってエプロンを脱ぎ、
はにかみながらも期待を込めた瞳で彼を見上げます。
 少女もまたそれを望んでいることを知った彼はシャツを脱ぎ捨てると横にならせた少女の
肌を吸っていきました。そして、69の形で少女の秘部を吸うと少女も躊躇わず彼のものを
口に含んでくれます。もはや性愛(あい)を交わす二人に言葉は必要ありませんでした。
 再び彼の長大な陰茎を挿入された少女はやはりまだ少し苦しげでしたが、一度性の快楽を
覚えた肉体はすぐに馴染んできて少女に官能を与えました。そして、体位を変えて、二度、
三度と性愛を重ねていく内に、早くも彼の動きを迎えて腰を使うようになります。
自分の腕の中で女の悦びに目覚めていく少女をいとおしく感じた彼は、己の知る性の技巧の
限りを尽くして性愛の素晴らしさをもっと教えたいと思いました。

 こうして二人は、太陽の下、草の原に咲き乱れる花々の芳しい匂いに包まれて愛し合い、
熱った体を湖水で冷ましてはまた影を一つに重ね合い、陽が落ちればベッドで温め合って、
まるで楽園のアダムとイブのように、来る日も来る日もただお互いを求め合いました。

 けれど、そんな目眩く性愛の日々に、唐突に終りが訪れます。
ある朝ベッドで目覚めた彼は、傍らに少女が居なかったので、いつものように食事の用意を
してくれているのだろうと食堂へ行きましたが、そこにも、コテージのどこにも、その姿は
ありませんでした。何故か言い知れぬ不安を抱いた彼はテラスから湖へ向かって少女の名を
叫ぼうとしました。ところが、なんという事でしょう、彼はあれほど性愛した少女の名すら
知らなかったのです。

 不安を募らせた彼は、湖の畔を走りさして広くも無い草の原を駆けずり回って少女を探し
ましたがやはり見つけ出せず、さらに霧深い森の中へと分け入っていきました。森の木々は
いよいよ濃くなり、これ以上奥へ進んだらまたも迷ってしまうと思った彼は、もしかしたら
少女がコテージに戻っているかもしれないと一縷の望みを託し、きびすを返しました。
 ところが、それから間も無く霧が薄れて見えてきたのは草の原でも湖でもなく、過日彼が
散策をした、見覚えのあるポプラの並木道でした。
あの時はいくら道に戻ろうとしても出来なかったのに今日に限ってこんなにも簡単に森から
出られたのを彼は不思議に思いました。それはまるで、ある役目を果たさせる為に今日まで
森が彼を閉じ込め、それが遂げられたが故に開放されたかのようで、北欧に伝わる湖の娘の
伝承を彼に思い起こさせました。

 その伝承では、数十年に一度、人知れず深い森に守られた湖で特別な睡蓮が育ち、水面に
咲いた花から小さき精霊が生まれ、岸辺へと進む間に見る見る大きくなって人と寸分違わぬ
麗しき乙女となります。けれども精霊の娘が大人となる為には人と契りを結ばねばならず、
もしもそれが叶わねば、朝露となって消えてしまうのです。それを哀れに思った森の精霊は
通りかかった若人を霧で惑わし、時の満つるまで己の懐に閉じ込めます。
若人の精を受け取った娘はやがて人の目には見えなくなり、湖へ戻って胎に宿した娘が育つ
夢を見ながら穏やかな水底で数十年をまどろむのだそうです。

『あの娘が精霊だって?…そんな馬鹿な!』と彼は思いました。
あの熱った肌、甘やかな体臭、切なげな吐息、何より共に絶頂を迎える至高の瞬間(とき)、
己の腕の中で感じた少女はあまりにも生々しく、そのような幻の世界の住人などとはとても
信じられなかったからです。
 けれども、そうして否定すればするほど、もし今手離したら少女にはもう二度と会えない
かもしれないという予感が湧き上がってきてしまい、胸を締め付けられた彼は再び森へ入り
半狂乱となって少女のいる湖を捜し求めました。

 彼が目覚めたのは、宿のベッドの上でした。
何度森へ入っても湖には行けず、また並木道に戻ってしまい、とうとう力尽きて気を失った
彼は、到着が遅れている若主人を心配してイェーテボリから引き返してきた従僕に折り良く
見つけられたのです。その時の彼は、全裸のうえ体中傷だらけで、追剥に襲われたのかとも
思われましたが、衰弱はしていたものの幸い深い傷は負っていませんでした。
 正気づいた彼は必死になって少女の事を町の人々に訊ねました。ですが、町からそれほど
離れてはいないはずなに、少女の事も、そもそもそんな湖がある事すら誰も知らず、ただ、
彼の感覚では少女と一月以上一緒に過ごしたと思っていたのに、彼が行方不明となっていた
のは一週間に過ぎなかったことだけが分かりました。

 薄気味悪がられて誰の協力も得られず、独りで少女を探そうとした彼を屈強な従僕が押し
止めました。
『多少放蕩が過ぎても遊びならば捨て置け』と公から言い付かっていた従僕も今度ばかりは
若き激情に身を任せ少女に強く執着する若主人に危惧を抱いたのです。
それに、たとえ少女が見つかったとしても、それが何になるでしょう。男爵家嫡子たる彼が
どこの誰とも分からぬ娘と婚姻できるはずは無かったのでございます。
 航跡とともに消え行く大地に心を残しながら、彼は船上に悄然と佇みました。
少女と過ごした日々は本当にあった事だったのか、それとも幻に過ぎなかったのか…
それは、彼が初めて知った恋と、そして、失恋でした。

 その後の彼は、帰国して間も無く勃発したイタリア統一戦争に際してサボイア家に組して
従軍し、その時は敗退しましたが、10年後の第二回の戦争では一連隊を率いて再び参戦、
その閑中にも華やかに浮名を流しておりましたが、オーストリアを破ったソルフェリーノの
戦の後、子爵家の令嬢を娶とると同時に爵位を継ぎ、祖国の統一が確かなものとなったのを
見届けると領地に戻り、今に至るのでございます。―――

『そうか…このペリーヌという娘には、遠い昔儂が愛したあの懐かしい北欧の少女をどこか
 思い出させる処があるのだな…
 ならば、儂もあの若かりし日々に戻り、お前に性愛(あい)の何たるかを夜の更けるまで
 とことん教えてやろう…』

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