〜 夏の嵐のように 4 〜
【 小さな恋人たち 】
「よ、よかった、さ、立って、そのままじゃタイルが冷たいだろ?」
女の子の裸を見ている気恥ずかしさに耐え切れなくなって、先に立ったスターリングは、
顔を背けながらアリスに手を差し伸べます。
「ありがとう、スターリング」
そう言ってボーフレンドの手をとろうと腕を上げかけた少女が呻きました。
「どうしたのアリス?
やっぱりどこか、けがをしてたの?」
「ううん、違うの、さっきスターリングにつかまれたお胸が、ちょっとヒリヒリしただけ」
「ごめんよ、アリス、ぼくのせいだね
手当てしてあげなくちゃね・・・何か、ぬり薬を探してくるよ」
「スターリングが、ぬってくれるの?」
「ェ? ぬるって?・・・
アッ! ぼ、ぼく、そんなつもりじゃ」
「ぬってくれないの?
だったら、お薬はいらないわ、その代わり・・・
ほら、男の子って、よく、ひざ小僧をすりむいたりした時なんかにそこをなめて治しちゃう
じゃない? ああいうの、わたしもいっぺんしてみたかったんだけど、女の子のわたしには
そんなことできないから、とってもうらやましかったの・・・
だからね・・・わたしの代わりに、スターリングがしてくれる?」
「エエッ!! で、でも、今はひざじゃないんだよ!?
そ、それに、アリス・・・触られるの、いやなんじゃ?」
「ねえ、スターリング、スリーレイクスでマス釣りをした時のこと、覚えてる?
あの時、わたし、泣いちゃったわよね?」
「アリス?・・・
うん、覚えてるよ、なんであの時、アリスは泣いたんだい?」
「それが、わたしにもよく分からなかったの・・・
マスを釣り上げるのに夢中のスターリングがボートをひどく揺らして、それも恐かったし、
そんな中、網を持てって、あなたに大きな声で命令されて・・・
ほら、男の子って、スラミーみたいに乱暴なところがあるでしょ? もちろんあなたはそう
じゃないけど、あの時のスターリングはいつものあなたと違って見えて、ビックリしたせい
かとも思ったんだけど、どうもそれも違ったみたい・・・
それでね、さっき、スターリングにお胸を思いきりつかまれてとても痛かったけど、それが
いやだなんて、わたし、ちっとも思わなかった・・・
ただ胸が一杯になって、気がつくとまた涙が出てたの・・・
きっと、わたし、スターリングのことが大好きだから、あなたに何かされるのがうれしいん
じゃないかしら・・・
だから、スターリング、本当にそうなのか、もう一度確かめさせて
大丈夫、わたしたちもう婚約したんですもの、恋人同士なら、そういうことしてもちっとも
かまわないのよ
それとも、スターリング、さっきの約束はうそだったの?
ほんとは、そんなにわたしこと、好きじゃなかったの?
だって、おばあさま、言ってたもの、男の子はお胸の大きな女の子が好きなんだって・・・
だから、わたしのお胸、なんか、触りたく、ないんだわ・・・ゥ、ゥゥ・・・」
「待って、違うんだ、アリス、ぼく、本当にアリスのことが大好きだよ」
「本当、に?・・・
だったら、こっちを向いて、わたしを見て」
今にも泣き出しそうなアリスの声を聞いて、またガールフレンドを泣かせるような真似は
できないと焦ったスターリングが振り返ると、目蓋からこぼれ落ちそうだった涙をぬぐった
右手を床に置き、胸を覆っていた左腕も下ろして、アリスが潤んだ瞳で自分を見つめていま
した。
まだ少年のスターリングには、度重なる偶然によって少女が性的に興奮していることなど
知りようもなかったのですが、こんなことを言い出す今日のアリスがとても変だということ
だけは分かります。それに、いくら本人に頼まれたからといっても、女の子にそんなことを
して本当にいいのだろうかと迷いました。
しかし、仰向けで両腕を胴体につけ、無防備に胸を晒して、自分がそうするのを待っている
アリスを、いつまでもそのままにしておくわけにもいきません。
本意でなかったとはいえ、少女に痛い思いをさせてしまったのは事実でしたから、これは
それを手当てするためなんだと自分に言い聞かせたスターリングは、負担にならないように
床に膝と手をついて、少女の上に覆いかぶさりましたが、やはり気恥ずかしさが先に立ち、
目の前に迫るアリスの胸元をまともに見ることができません。
思えば、赤ん坊の時に口に含んだ母のものも、幼い子供の時分に一緒に入った風呂で背中に
感じた姉のものも、すでに遠い記憶の彼方に去り、もう少し長じて青年ともなれば、恋人の
ものを求めることもできるのでしょうが、少年にとって、女性の乳房というものはもっとも
縁遠いものなのかもしれません。
目のやり場に困った少年は視線をさ迷わせていましたが、やがて。プリムラの花のように
瑞々しい桜色をした乳首に惹きつけられていき、焦点が定まるにつれてスターリングの瞳に
少女の乳房が浮かび上がってきました。
男の子と女の子の身体は違うんだと、頭では知っていても、姉やフローラのように一目で
分かるのとは違い、同年代のアリスでは服の上からは男の子とそう変わらなそうに見えて、
学校にいる時も放課後一緒に遊んでいる時も、普段、そんな事を意識したことなどこれまで
一度もなかったスターリングでしたが、その陰影もまだ薄いとはいえ、こうして少女の胸の
膨らみを目の当たりにすると、今更ながらアリスが女の子なのだということを実感します。
スターリングは、女の子の乳房ってなんてきれいなんだろうと思いました。それにまだ手に
残るその柔らかい感触、そこを舐めるってどんな感じがするんだろうとも。
少女が息を吸い、吐くたびに、浅く上下する胸の上の乳房が少年の顔に近づいては退いて、
その動きに吸い寄せられるように、スターリングの頭がアリスの胸元に下がっていきます。
恐る恐る近づけていったスターリングの舌先が肌に触れた瞬間、アリスは身体をピクンと
させ、少年をたじろがせます。
「痛いの?」
「そうじゃないの、ちょっとくすぐったい感じがしただけ」
「いやなら、やめようか?」
「ううん、だいじょうぶ、もっとなめてもらえば、きっとなれると思うわ」
続けて、と言うアリスに従って、スターリングの舌はあいまいな輪郭を描く少女の乳房の
周辺部をなぞり、そこから徐々に内側へ向かって、左右交互に丹念に舐めていきます。
こうして乳房に触れられていって、初めの内はくすぐったいあまり少年の舌から逃れようと
気付かないうちに身をよじるアリスでしたが、スターリングの舌がとうとう乳首に達して、
なめらかな乳輪から乳頭を押し倒すように舐め上げられていくと、その先端が痛痒いような
熱っぽいような感覚に包まれ、少年がもう片方の乳房に移ろうとして乳首から舌を離すと、
もっと続けて欲しい、もっと強くして欲しいと感じるようになっていきます。
一方のスターリングも、鼻先が今にも触れてしまうほどにアリスの肌を間近にして、今日
ボーイフレンドのお家へお出かけするのに、お姉さんの物を拝借したオーデコロンの残り香
とは別の、少女自身の体臭を嗅ぎ続けている内に、体が熱っぽくなり、頭もボーっとなって
きていました。
そして、舌に吸付くような少女の乳首の感触に呼び覚まされたように、ずっと深い無意識の
記憶の底に沈んでいた、赤ん坊の時無心に吸った亡き母の乳房の懐かしい匂いが鼻腔の奥に
ふわっと広がるのを感じたスターリングの心の中では、アリスの痛みを和らげてあげるため
という意識がだんだん遠のいていき、自分が今している事をとても恥ずかしがっていたのも
忘れて、目の前の乳房を思う存分吸ってみたい、という衝動が大きくなっていったのです。
そんな時に、アリスの甘えるような声が聞こえてきます。
「ね、ねぇ、スターリング・・・だいぶよくなったみたい・・・
確かめてみたいの・・・
だから、あのね・・・そっと、さすってみて・・・」
アリスは、スターリングの手をとって自らの乳房に置き、その上に手を重ねました。
期せずして再び触れることとなった、膨らみ始めたばかりでまだ薄い少女の乳房は見た目と
違ってとても柔らかく、ツンと尖ったその頂点だけがコリッと掌に当たります。
アリスの手に導かれて胸をさすると、少年のスターリングが自分の胸をさすってもその上を
手がすべるだけなのに比べ、手の中の少女の乳房は弾力を帯びて、一塊になってフルフルと
肋骨の上を揺れ動くが分かります。
それはまるで、たとえまだ小さくとも、それ自身が自分をまさしく乳房であると主張して
いるようで、とうとうスターリングは衝動を抑えることができなくなってしまいました。
「ァッ! スターリング?!」
自分からお願いした事とはいえ、自分の胸が男の子に触られているところを見ているのが
なんだか恥ずかしくなって、顔を横に向けていたアリスは、初め、何をされたのかが分かり
ませんでした。
そっと顔を廻らせたアリスは、ビックリしました。なぜなら、あんなに女の子の肌に触れる
ことを恥ずかしがっていたスターリングが、これまでと違ってアリスのオネガイを待たずに
自ら望んで乳房を吸っているのですから。
『スターリング、お胸にキスしてる!』
擦られるのとも舐められるのとも違い、より強くずっと長く乳首を刺激されて、アリスは、
体中がゾクゾクするようなその感覚があまりにも強烈すぎ、自分がどうかなってしまいそう
で、ちょっと怖いと思いました。
それでも、スターリングが本物の恋人のように自分を求めてくれていると思うと嬉しくて、
アリスは、もう少し優しくして欲しいと願いながらも少年のするがままに任せていきます。
そんな風にアリスが我慢している間にも、スターリングは、目の前に差し出された乳首に
唇を押し付けてしゃにむに吸っていきましたが、やがてそれだけでは物足りなくなります。
少年はますます少女の胸に触れる快感にのめり込んでいき、もはや相手の身を案じることも
忘れて上にのしかかり、アリスの身体を固い床に押し付けると、自由になった手で両脇から
胸を掴んで寄せ上げ、先ほど触れた感触がまだその手に生々しい、少年の手の平にすっぽり
おさまってしまう膨らみを、不器用な絞り手が牝牛の乳を絞るように、力任せに絞り上げ、
ゴムボールのように握り潰されて突き出た少女の乳房にむしゃぶりつきました。
その最中、二人とももう汗みずくな上、すでに少年の唾液が乳房一面に塗りこまれている
せいもあって指がすべってしまいますが、それでも諦めきれないスターリングは、そうなる
たびにもっと高く突き出させようとして、アリスの乳房をさらにきつく絞り上げます。
そうして、少女の淡い願いも虚しく、スターリングはアリスの胸の膨らみを指が食い込む
ほど握り締め、しだいに苦悶の表情を浮かべさせていきました。
アリスは、上にのしかかられて身動きもままならず、生まれて初めて男の子に触れられた
乳房をなすがままに玩ばれて『イタイッ! ヤメテッ!』と、よほどそう叫ぼうかとも思い
ましたが、事の始まりが自分からオネダリした事だった手前、コイビトにわがままな娘だと
嫌われるのはいやでしたし、いつものスターリングからは想像もつかない今の少年は何かに
とりつかれているようで、なんだか恐くて口がきけませんでした。
そんな中、アリスはおばあさんの言っていた事を思い出します。
『みんな・・・おばあさまの言ったとおり、だった・・・
スターリング、こんなに強く、わたしのお胸にキスを・・・
男の子って、本当に・・・女の子のココ、好きなんだわ・・・
それとも、わたしのだから?・・・だったら・・・』
或いは、アリスは心の中でそうであって欲しいと願いながら、まだ小さな自分の乳房でも
スターリングは気に入ってくれるかしらと、それを確かめたかったのかもしれません。
けれど、衝動に突き動かされたスターリングの思いもよらないがむしゃらな欲求に晒され、
そんな少年がまるで見知らぬ略奪者のように見えて、自分はどうなってしまうのかしらと、
アリスは小さな胸を慄かせます。
それでもアリスの心の中には、こんなにも自分が強く求められたことを嬉しく感じる部分が
あるのも事実で、大好きなボーイフレンドの望むことなら何でも受け入れてあげたいという
思いが大きくなっていきます。
そういう心の動きに合わせるように少女の肉体にも変化が生まれ、まだ固い乳房を執拗に
いじり回される苦痛もいつしか快感に変わっていき、上気した少女の口から艶めいた喘ぎが
漏れていくようになりました。
名残りの蝉の声が遠く聞こえる盛りを過ぎた夏の昼下がり、普段の勝ち気げな少女からは
想像がつかない、アリスの甘やかな吐息が浴室にこだましていきます。
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