134

夏の嵐のように 2

〜 夏の嵐のように 2 〜

【 アリスとラスカル 】

 あの夜から数日が経って楽しかった夏休みも終わり、新学期が始まったある日、アリスが
翼の傷ついた白鳥のヒナを育てることにしたのをきっかけにして、ホエーレン先生の提案で
みんなの飼っているペットを明日持ち寄ることになり、誰のペットが一等賞になるかクラス
中が大騒ぎになります。
アリスは仲良しのスターリングに一等賞を取らせてあげたいと思い、学校が引けると急いで
家に帰り、ラスカルのためのおめかし道具を持っていそいそと少年の家へ向かいました。
けれどもそんなことはラスカルにとってはいい迷惑でした。あまりしつこく体を洗われて、
とうとうラスカルが逃げ出し、捕まえようと追いかけたアリスは、洗い桶につまづいてその
中に尻餅をつき、服がずぶ濡れなってしまいます。

「キャッ!」
「アリス?」
「アーン、ヤダ、スカートの中までぐっしょり!」
「アハハハハ、アリスの、その格好! ラスカルと同じだね」
「もう、スターリングったら、そんなに笑わうなんて、ひどいわ!
そんなことしてるヒマがあるんなら、せっかくきれいにしたんだから、表に出て泥だらけに
なる前に、ラスカルを捕まえてちょうだいよ」
「うん、わかったよ、アリス」
「あーあ、ラスカルがこんなにお風呂嫌いだったなんて、思わなかったわ
わたしなら、毎日だっていいのにな」
「なら、どうせ濡れねずみになっちゃったんだし、ぼくがラスカルを捕まえる間にアリスは
お風呂に入りなよ」
「え?・・・
そ、そうよね、このままじゃ・・・(ドロワーズが張り付いて気持ち悪いし・・・)
あ、でも、濡れたお洋服、どうしようかしら?」
「ああ、それなら、ぼくが洗っておくから、ほら、そのかごに脱いだのを入れてドアの外に
出しといてよ
まだお日さまは高いから、表で干しとけばあっという間に乾くさ」
「う、ん・・・悪いけど、そうさせてもらうわ」
 アリスは、ボーイフレンドのお手伝いがしたくて来たというのに、かえって余計な手間を
増やして男の子に洗濯までさせてしまうようなことになり、とても済まなく思いましたが、
濡れた服のままでいることもできず、スターリングの好意に甘えることにしました。
 スターリングがバスタブの蛇口を開いてバスルームから出て行くと、アリスは脱いだ服を
丁寧にたたんで洗濯かごに入れ、お湯加減を確かめてバスタブに身を沈めます。
いつもボーイフレンドが使っているバスタブに、今、自分が入っていると思うと、ちょっと
こそばゆい気がしますが、元々お風呂好きなアリスは湯船につかる心地よさに思わず学校で
習った曲を口ずさんでいました。

 一方、スターリングは、逃げたラスカルを探して家の中をあちこち見て回っていました。
こんなこともあろうかと玄関のドアには鍵をかけていたので、外に逃げたはずはありません
でしたが、ラスカルはなかなか探し出せず、2階の自分の部屋でようやく見つけます。
「そら、捕まえた!
ほーら、ラスカル、もう少し辛抱してておくれ・・・
これでよし、さあ、もう行っていいぞ、ラスカル
だけど、せっかくアリスがきれいにしてくれたんだから、明日一緒に学校へ行くまで、汚す
んじゃないぞ」
 ラスカルの身体を拭き終わったスターリングは、今度はアリスの着替えを探しに、大学に
いって今は家にいない姉の部屋へ向かいました。

 その少し後、お湯から上がり、髪を拭おうとしたアリスは、バスルームのドアをカリカリ
こする音に気づいて、何かしらと思い、ドアをほんの少し開けて外をのぞきました。
「まあ、ラスカル、あなただったの? 
もう、あなたをブラシでごしごし洗ったりしないから、こっちへいらっしゃい」
 ラスカルに嫌われたくなかったアリスは、そおっとドアから下がり、床にペタンとお尻を
つけて両手を広げます。
「ほら、わたし、何も持ってないでしょ?」
 すると、ラスカルはトコトコとアリスに近づいて来て、持ち上げられるに任せ、その胸に
抱かれました。
「スターリングに拭いてもらったのね?
あなたの身体、ふかふかで、とっても気持ちいい」
 けれど、ラスカルは、アリスの言葉も耳に入らぬように、何かに気を取られて目をキョロ
キョロさせていました。そして、ふいにアリスの太ももに足をかけたと思うとぐいっと伸び
上がり、少女の左の乳首を両手に挟んでぎゅっと握り締めます。
それは、ブラインドの隙間から差し込んだ光がほんのり上気した少女の白い肌をカンバスに
微かな風にそよぐ木の葉の影をちらちらと踊らせ、一瞬、風が凪いだ時、ラスカルの目に、
蝶がアリスの胸に留まり、羽を開いたように見えたせいでした。

 ここにきてようやく膨らみ始め、服に擦れただけでも時々痛みを感じるようになっていた
乳房の一番敏感な部分に思い切りつねられたような激痛が走り、少女は悲鳴とともに身体を
ビクンと撥ねさせて後ろに仰け反り、その拍子にちょっぴり失禁してしまいました。
何しろ、ラスカルに捕まえられたザリガニや小魚たちがどんなに必死にもがいても、決して
逃れられないことからも分かるとおり、見た目に反してその小さな手の物を掴む力はとても
強かったのです。
 両手で乳房を守るように覆ったアリスは、ぴったりと閉じたスリットの中に折り畳まれた
襞が生温かい液体にじわりと潤むのを感じ、痛みと恥ずかしさで目に涙をにじませます。
そうしていると、右の掌の中で心臓の脈動に合わせて乳首がジンジンと熱っぽく疼き始め、
濡れたタオルか何かでそこを冷やしたいと思いますが、身体を動かしたら痛みがぶり返して
しまいそうな気がして何もできなかったアリスは、ふと、男の子たちが擦りむいたところを
舐めて治していたのを思い出します。
そうしたらスッとして、きっと気持ちいいんだろうなと思うアリスでしたが、まさか自分の
胸を自分で舐めるような器用なこともできず、痛みがひいていくのをじっと待つしかありま
せんでした。

 そんな中、アリスの突然の動きに驚いて跳び退いたラスカルは、それが自分のせいだとも
知らず、ぐったりと横たわったままでいる少女が心配になったようで、まわりをうろうろと
していました。すると、何かこれまでに嗅いだことのない匂いがしてきます。
鼻をクンクンいわせ、その匂いの元を鋭い嗅覚で嗅ぎ分けたラスカルは、乳首の痛みに気を
取られるあまり、自分が今どんなに恥ずかしい格好をしているのかということを考える余裕
もなく、膝を立ててあられもなく開かれていたアリスの股間に鼻面を近づけていきます。
動物にとって、相手を確かめるためにその股間の匂いを嗅ぐのはごく普通のこと、ましてや
男ばかりのこの家で嗅いだことのない、ニンゲンという動物の雌性の尿の匂いにラスカルが
興味を持ったのも仕方なかったのかもしれませんが、少女にとって失禁の跡を嗅がれるほど
恥ずかしいことはないでしょう。

 ラスカルのヒゲがサワサワと内ももの付根に触れ、潤みを帯びた割れ目に鼻息を吹きかけ
られて、アリスの脚がヒクッと震えます。
湿った冷たい鼻先を少女の割れ目にひたと当てたラスカルは、そのままそれをぐいぐい押し
込んでぴったりと閉じていた秘裂をこじ開けていきました。そして、とうとう尿道口を探り
当てたラスカルは、そこをペロペロ舐めていきます。
 あの夜おばあさんの話を盗み聞いてしまってからというもの、『いつかはスターリングも
大人の恋人同士みたいに、わたしの裸を見たいと思ってくれるのかしら、スターリングから
どうしても見たいって言われたら、どうしようかしら、大好きなスターリングにだったら、
見せるだけなら・・・』などと、そういう気持ちになった男の子の前でそんな真似をすれば
きっとそれだけでは済まなくなるということもまだ知らず、甘く幼い恋の空想をしたことは
あっても、触れるのはおろか見ることすらまだ誰にも許していなかった女の子の大事な所を
まさかこんな形で、それもよりにもよっておしっこの出る所を舐められるなんて、考えても
いなかったアリスは、あまりの出来事に胸の痛みも忘れ、顔を真っ赤にします。

「ヒアッ! ツ、冷たい! ナ、ナニッ? 何なの?!
ラ、ラスカル?! 何してるの!!
そ、そこ、汚いんだから、そんなことしちゃ、ダメッ!
ダメよ、ヤメテ、ラスカルッ!!」
 ドアの向こうからスターリングの声が聞こえたのは、ちょうどそんな時でした。
頭をもたげてラスカルの方を向いていたアリスが顔を上げると、正面に半開きになっている
ドアが見えました。少年の足音は着実に近づいて来ます。
もし今、スターリングに、ドアの前に立たれたりしたら・・・
そう思うと居ても立っても居られなくなったアリスは、あわてて飛び起きると身体を何かで
覆う暇も無く、裸のままドアの陰に隠れました。
「アリス?
アリス、どうかしたの? 
ひょっとして、またラスカルがイタズラでもしたんじゃ?」
「う、ううん、なんでもないの
ラスカルに舐められて、ちょっとくすぐったかっただけ
そ、それより、遅かったじゃない、スターリング」
「ごめん、アリス、君の着替えを探してたんだけど、なかなか見つからなくってさ
ほら、これ、姉さんが子供の頃に着てたワンピースがあったんだ
君の服が着られるようになるまで、これでがまんしてくれる?」
「ありがとう、スターリング」
そう言ったアリスは、差し出された服を受け取るためにドアから半身を乗り出させます。
 その時ドアの陰からのぞいたのは、片方の肩と足先から太ももへ至る少女の肢体のほんの
一部でしかありませんでしたが、アリスの白い肌が少年の目に眩しく映ります。

 それは、まるでガールフレンドの裸を垣間見てしまったような気恥ずかしさを少年に覚え
させ、思わず視線をそらしたスターリングは、さらに刺激的な光景を目にしてしまいます。
アリスが振り返っても、おそらく角度の違いで見えないでしょうが、スターリングから見た
浴室の洗面台の鏡には何も身に着けていない少女の後姿が、ふっくらと柔らかそうな曲線を
描くお尻までも、くっきりと映っていたのです。

まさかバスタオルくらいは身体に巻いているものと思い込んでいた少女が本当に自分の前に
全裸で立っているのを知り、今、二人を隔てているのは半ば開かれたこのドア一枚しかない
ことを意識してしまったスターリングは胸がドキドキしてしてしまい、もう一歩近寄りさえ
すれば着替えを手渡せられるのに、どうしてもその一歩を踏み出すことができません。
それはアリスにとっても同じで、これ以上身を乗り出せば、いずれ胸か下腹部か、女の子の
秘密の部分を男の子に見られてしまうと思うと、恥ずかしくて身動きがとれませんでした。

 もし、この時に着替えの服がアリスに手渡されてさえいたならば、何事も起きなかったの
かもしれません。
 けれども、お互いの中に初めて異性を意識したこの一瞬の恥じらいが元となり、これから
次々と巻き起こる出来事に、まだ幼かった少年と少女は親には言えないような経験を重ね、
思春期の扉を大きく開くことになるのです。


[mente]

作品の感想を投稿、閲覧する -> [reply]