―――そのお嬢様の名前はペリーヌ、ペリーヌ・パンダボアヌ様と申します。深く愛し合うエドモン様とマリ様ご夫妻の間にお生まれになられたお嬢様は生まれ故郷のインドで幸せな子供時代をお過しになられていらっしゃいましたが、やがて、エドモン様のお仕事がうまく立ち行かなくなってしまい、ご一家は大紡績工場を一代で成功なされたお嬢様の御祖父様であられるビルフラン様を頼って、遠くフランスへ旅立たれることとなりました。
けれども渡航費用の全額を用立てられなかったご一家は、旅の写真師をされながらギリシャから陸路を行くこととなられます。
そして、お可哀想なお嬢様に最初のご不幸が訪れたのはそれから間もなくのことでございました。冬のさなか、慣れない馬車での野宿生活が続いたせいで、ご疲労が溜まっておいでだったのでしょう、エドモン様は見知った者とてないボスニアの地で肺炎を患い、あえなく息を引き取られてしまわれたのです。
寄る辺ない身の上となられたお二人の、特にマリ様のお悲しみはとても深く、良人の墓の前で泣き崩れるその姿に、このままではお母様まで病気になってしまわれるのではないかとご心配されたペリーヌ様は、自らの悲しみを押し殺され、これからはご自分がしっかりしてお母様を助けていこうと決心されるのでした。
こうして亡きお父君の言葉にしたがい、母娘だけの旅が始まったのは、ペリーヌ様がまだたった13歳だった1878年、春がようやく訪れようとしていた3月末のある晴れた日のことでございました。けれどもお二人が目指すフランスのマロクールはまだここから千数百キロの彼方なのです。
これは、一人の無垢な少女がかずかずの辛く悲しい試練に挫けそうになりながらも、人を愛することを知り、その身はどんなに傷つき汚されようと人に対する愛と優しさを忘れずにいつかは来ると信じる幸せを求めて旅をした物語です―――
【 もうひとつの旅のはじまり ―クロアチアの一夜― 】
お二人だけの旅が始まって間もなくの頃、元々あまり丈夫でない上に体調を崩されていたお母様のために一夜の宿を探しながら、行き交う人もほとんどいないさびれた街道を進んでいたおり、ようやく見つけた一軒の農家でお嬢様たちはちょうど産気づいたそこの奥さんのお産を手伝うことになりました。
そこで見せた、産婦を励ましながら手際よく出産の準備をしていくマリ様のお姿はとても頼もしく、とうとう赤ん坊を取り上げられた喜びに先ほどまで体の具合が悪かったことなどどこかへ吹き飛んでしまったというお母様の言葉は、お嬢様を喜ばせます。
そして初めて垣間見た、産みの苦しみを乗り越えて新しい命を誕生させる母親というものの力を知って感動され、お母様からペリーヌ様の時もそうだったと聞いたお嬢様は、いつかはご自分もお母様のように愛する殿方とめぐり会い幸せな結婚をして、可愛い赤ちゃんを産むのだわと、少女らしい夢に小さな胸をときめかされるのでした。
一方のマリ様は、ご自分だけでは手が足りないかもしれず、成り行きで仕方なかったとはいえ、まだあのような光景を見るには早すぎたのかもしれない娘に、生々しい出産シーンを目撃させてしまったことを少し後悔していました。
けれども、まだ初潮は迎えていなくとも、お嬢様が赤ちゃんを産める身体になるのもさほど先のことでないのは確かなことです。
実際、マリ様がお嬢様をお産みになられたのは14歳のみぎりでした。
そして、エドモン様に見初められたマリ様がお父上の命にしたがい、閨で香油のみをまとう裸身を横たえてその訪れを待ち、良人となる殿方と初めて褥をともにされたのは、ちょうど今のお嬢様と同い年だったのです。
ならばこれを機会に、お嬢様にカーマ(性愛)の手ほどきを始めるのも良いかもしれないとマリ様は思いました。
もちろん、この年頃の娘に男女の愛の行為について事細かに教えるのはヨーロッパ流ではないかもしれませんが、マリ様はお嬢様に愛情深い、人を思い遣る優しい娘になってほしいと願っていました。事実、エドモン様とマリ様とがあんなに深い愛で結ばれたのもカーマのおかげで、それは母から娘へ、そしてまたその娘へと、インドの女性に連綿と受け継がれてきた真理でした。
その血を引くお嬢様には、人に愛されたいのならば、まず自分から愛さなければいけないことを、そして、愛を育み壊れないようにする為には言葉だけでは足りないということを、少しずつ教えていこうとマリ様は思ったのです。
けれども現実はマリ様が思っていたより早くペリーヌお嬢様に試練を与え、経血より先に破瓜の血で乙女の局部を朱に染めさせたのです。
お嬢様が処女を喪失する仕儀となったのは、自らの祖国を想うがゆえに兵隊に追われていたある青年を救うためでしたが、そうして、まだ幼さの残る自らの肉体を犠牲に捧げたのが、ペリーヌ様のもう一つの、愛を求める旅の始まりでございました。
ようやくボスニアを抜けてクロアチアに入ったペリーヌ様たちは不案内な道を次の村まで急いでおられましたが、途中でとうとう日も暮れて、野宿することになってしまいました。
そこで偶然出会った青年はゴルジモフ伯爵というこの地の貴族で、オーストリア帝国の支配から祖国を独立させる活動をした廉で帝国の兵隊から追われる身でした。
青年から村が近いことを知ったお二人は、そんなに悪い人間とは見えないこの青年が足をくじいていて、ここに置いていけば兵隊に捕まってしまうだろうと思うととても放っておけませんでした。
幸い、村に着けば逃がしてもらえるつてがあると聞いたお二人は彼を馬車に匿い、夜の内にそのガロッジ村へ向かうことにいたします。
やがて村はずれまでたどり着いて辺りの様子をうかがっていた矢先、お嬢様たちの馬車は青年を捜索して山狩りをした帰りの兵隊たちに取り囲まれてしまいます。
追っ手の兵隊たちは彼の顔を知らず、乗っていた伯爵家の紋章が付いた馬車を逃げる途中に失った今となっては、逮捕されて自分を見知っている土地の者の首実検でも受けない限り、正体がばれることはないだろうと青年はおっしゃっておりましたが、本人は気づいていないようですが、彼の着ている服はとても立派な、いかにも貴族然としたもので、それを見れば兵隊たちも彼が伯爵本人であることを見抜いたことでしょう。
そう思ったお嬢様は、とっさに機転をきかせて青年を父の遺した普段着に着替えさせます。
かたや馬車の外で、内心どきどきしながら隊長の不審尋問を受けていたマリ様は、隊長の話がとんでもない方向へ向かってゆくことに戸惑いを隠せませんでした。
何よりもまず、隊長は女が写真師をしているということからしてまるで信じてくれません。その上、これはその隊長の邪推というより世間一般の例に洩れないこととして、芸だけでは食べてゆけない大道芸人が副業として娘たちに身を売らせるというのは珍しい話ではなく、しかもこんな夜更けに宿屋ではなく村外れに馬車を停めている母娘の一行を、彼がそう思い込んだのも無理のないことだったのです。
とは言っても、彼がそのことを咎めているわけではありませんでした。
それはこの当時、フランツ・ヨーゼフ1世の治めるオーストリアでは富国強兵が進められ、臣民にも生めよ殖やせよの号令がかけられて、それがたとえ娼婦が孕んだ婚外子であっても非難はされず、それどころか素人娘が無理やり犯されても罪に問われないという、とにかく女を一人でも多く妊娠・出産させるのが国是となっていたからです。
隊長はただ治安を維持するという役目柄、流れ者の淫売婦が村で面倒を起こさないようにその動向をつかんでおこうと、村にはどれくらい居るつもりか、客を取るのは母親一人か、それとも娘もなのか、とマリ様に問い質します。
良人を亡くしたばかりにこんな謂われのない辱めを受けねばならなかったマリ様は口惜しさを飲み込んで、必死にそれを否定しました。
なかなか本当の(と隊長が信じ込んでいる)事をマリ様が白状せず、それにこんな夜遅くまで山狩りに駆り出されていた疲れから苛立っていた隊長は、馬車の中でがさごそいう音を聞きつけ、さてはもう娘に客を取らせていたのか、さもありなん、と一人合点します。
そして、相手の強情さに業を煮やしたこの隊長は、マリ様が娘に身を売らせていることをいやでも認めさせて、恥をかかせてやろうと一計を案じました。
隊長はマリ様の身体を押え込んで身動きできなくさせると、馬車の中のペリーヌ様たちに向い、表へ出てきて、淫売婦らしく客とまぐわうところ見せろ、さもなくば風紀紊乱の罪で母親を牢屋へぶち込むぞ、と荒々しく脅します。
そんなことを言われても13歳の無垢な少女には、淫売婦とはどのような者であるのかはもちろんのこと、まぐわう、とは何をすることなのか、判るはずもございません。
けれども隊長が何をしろと言っているにせよ、母親を人質に取られてしまってはそれに従うしかないと思ったペリーヌ様は、隊長が客と呼ぶ青年に、母を助けるため言うとおりにしてくださいとお願いします。
けれども青年は、何も知らぬままに自らに過酷な運命を課そうとしている目の前の少女を憐れに思われ、処女を陵辱される苦しみをあえて無残に聞こえるように話されて、お嬢様を思い留まらせようとされます。
そして、見ず知らずの自分に親切にしてくれた母娘をそんな目に会わせはしないと決心し、これから自分は自首するつもりで、この母娘と自分は無関係で一緒にいたのは自分が脅して村に連れて来させたのだと証言すれば君たちに迷惑をかけなく済むだろう、と言うと馬車の出口に向かうのでした。
その行く手をお嬢様は遮られます。もしこのまま青年を行かせたら、きっとひどい目に、いいえそれどころか殺されてしまうかもしれない、そう思うとたとえそれがマリ様を助けるためとはいえ、ペリーヌ様には耐えられないことでした。
母と青年、お二人とも助けるにはどうしたらよいか、ご聡明なお嬢様にも方法は一つしか思い浮かびません。
青年が止める暇も与えず服を脱ぎ捨ててゆき下穿き姿となられたお嬢様は、唖然としている彼の手を取り、当時はまだ股布の部分が縫い合わされていなかった、ドロワーズのオープンクロッチの隙間から乙女の秘部に殿方の指をあてがわれました。
自らしたこととはいえ殿方に直接性器を触れられるのがあまりにも恥ずかしくて、青年をまともに見られなくなったお嬢様は顔を隠すように彼の胸に埋めながら、たとえ彼が自首をしても、お嬢様たちと彼が無関係だと隊長が信じてくれないかもしれない、そうなったら、お尋ね者の彼を匿ったのだから母もまた帝国への反逆者の仲間だと思われることでしょう、そうしたら元々身体が丈夫な方ではない母は酷い尋問を受けて死んでしまうかもしれない。
それよりはこのまま隊長の言うとおりにした方が母を助けることになるのだからと、青年にご自分を犯すことを納得させようとされました。
そして、お嬢様はその覚悟ができているのを青年に示すように、秘部にあてがわれていた彼の手の上にご自分の手を添えて、折り曲げさせた指を膣に導きます。
青年の指が中に入ってきた時、ペリーヌ様はビクッと身体を振るわせてためらいをお見せになられましたが、それも一瞬のこと、大きく息を吸い込んでお溜めになり、ぐっと手に力を込めて、彼の指を奥に押し込んでゆかれます。
まだ濡れることも知らない膣にいきなり殿方の太い指を挿入して痛みのないわけもなく、すぐにもそれを抜き取りたかったのでしょうに、それを我慢してなおも奥に進めようとするお嬢様の、母ばかりか他人である自分をも助けたいという健気な決意を知った青年にはもう何も言えませんでした。
もう判ったから、というように青年はご自分の手に添えられた手を取り、そっと退けて、中から指を抜かれ、そしてせめて今少しの間だけでも肌を隠しておいてあげようとご自分が着ていた上着を羽織らせて、お嬢様の震える肩を抱きしめます。
その上着は元々エドモン様のもの、まるでお父様の温もりに包まれているように感じられ、これから起こる辛い試練に立ち向かう勇気をもらったお嬢様は、そうしてくれた青年に感謝されるでした。
やっと馬車の中から出てきた“淫売婦”とその“客”を見た隊長が顎をしゃくって合図を送ると、部下の兵隊は馬にくくり付けてあった野営用の毛布を二人の方へ放り投げ、いくつもの火を点けたレンズ付カンテラでペリーヌたちを照らし出します
『ペリーヌ? あなたは何をするつもりなの……ああ、まさか!?
そんなことをしてはいけない、だってあなたにはまだなにも……』
半裸姿の娘を見た母親のマリ様はそう言おうとなさいましたが、騒がれては面倒だとすでに猿轡を咬まされ手足を縛り上げられていた彼女には成す術もなく、ただこれから起こる事の成り行きを見守ることしか許されませんでした。
お嬢様たちには知る由もありませんでしたが、この地方には“新床の祝い”という婚礼の風習がありました。それは、新郎側、新婦側、双方の親族が若夫婦の初夜の寝室に集まり、二人の交合を見届けて、花嫁が良人のものをちゃんと受け入れ、花婿が新妻を満足させて、首尾良く床(畑=子宮)に種(子種)が播かれたことを祝う、多産豊穣を祈る儀式です。
この時の新妻は、親族とはいえ他人に良人との秘め事を覗かれる恥ずかしさはもちろんあるのでしょうが、村の慣わしで代々のそうしてきたことを教えられているのと、愛する良人を得られた女としての誇りや悦び、そして村中で祝ってもらえる晴れがましさがあります。
けれどもこれからペリーヌ様の身の上に起こることには、そんな喜びの一片すら与えられはしないのです。
こうして、強情な母親に淫売の娘が客を取るところを見せつけて、恥をかかせてやろうという隊長の思惑とは遥かに懸け離れた、年端もゆかぬ未通娘が男たちの耳目に晒される中で処女を喪失させられる残酷なショーが繰り広げられることとなったのです。
カンテラの光の中心に立ち尽くす青年と少女に、ショーの始まりを今か今かと待ちわびる兵隊たちの目が注がれる中、隊長が男たちの間でのみ通じる指を絡ませる卑猥な仕草をして二人に早く始めろと催促します。
けれども少女をこんな形で犯すことにまだ躊躇を捨て切れない青年が手を束ねているのをみて、このままでは隊長に怪しまれてしまうとお思いになったお嬢様は彼を庇うようにその前に立って男たちの注意を惹き付けると、羽織っていたお父様の上着を肩から外し、さらに最後に残されたドロワーズをも、腰紐を解いてハラリと落とされました。
まだ薄い胸も生え揃わぬ恥毛の微かな陰りを帯びた秘部も、その肌のすべてを曝け出した少女を見た兵隊たちの間からはどよめきが起こり、彼らの刺すような視線を感じたお嬢様はすぐにもご自分で前を覆いたいのを我慢して、青年の手で恥ずかしい部分を隠してくださいとお願いするのでした。
青年は少女の震える声に引き寄せられるように、ペリーヌ様の胸を両手で包みます。
それは情欲をそそるにはまだまだ薄く、ある意味ほっとした青年でしたが、それも最初だけでした。
始めは少女の胸を兵隊たちの目から隠してあげようとして触れたに過ぎませんでしたが、青年の手の中で息づく幼い乳房の感触はたしかにまだ固さがあるにしても、きめ細かい肌は吸い付くようで、これまで触れてきたどの娘のものとも違っているのを感じた彼は自分でも気が付かない内にお嬢様の乳房をまさぐりだし、そして、間もなく青年の掌に当たり始めた乳首の先は少女の胸が薄い分、余計に固く感じられ、彼はそれを玩んでいきます。
やがて、ヒリヒリする痛みとは別の何か熱い感覚に堪えきれずにペリーヌ様の口からもれ出るようになった吐息に誘われて、青年の手はお嬢様の肉体の中で最もやわらかい秘肉へと伸ばされていきました。
初めて異性から受けた愛撫だというのに、ペリーヌ様の肉体はまるで愛されるためにのみ生れてこられたかのようにそれに敏感に反応して、そこは先ほどと違ってすでにしっとりと湿り気を含んでおりました。
自分の膣からとめどなく蜜が滴っていくのを感じて、その歳では感度が良すぎたとはいえ女体とはそうしたものだということをまだ知らなかったペリーヌお嬢様はまるで粗相をしてしまったようにとても恥ずかしくなり、青年の手に抗われます。
けれど、抵抗されるとかえってそれが欲しくなるのは世の習い、本人に自覚はなくても、無垢な少女の仮面の下にこんなに淫らな肉体が潜んでいたのを知ってしまった青年にはもう最初のためらいは薄れ、少女をもっと乱れさせたいという男の欲望がいや勝っていきます。
青年はペリーヌの反応を確かめながら、馬車の中での時とは違いぬめりを帯びて易々と指を受け入れた膣をほぐしていき、性器を責められ続ける内に熱った少女の肉体が醸しだす甘い匂いや、その口から洩れる切ないあえぎ声が、いやがうえにも彼を高まらせていきます。
青年はズボンを脱ぎ、後からお嬢様の太ももの隙間に割り込ませた自らのものを花弁からあふれ落ちた蜜でぬるぬるとしている素股で扱いて、固く鍛えていきます。
みるみる反り返っていく青年の熱い男性器に割れ目をこすり上げられる生々しい感触と、こんな淫らなことをされている自分の姿を多くの男たちの視線に晒している恥ずかしさに、まるで呼吸困難になったように息を喘がせていたお嬢様は過呼吸に陥り、頭が朦朧とされて次第に正常な判断力を失ってゆきます。
そして、十分すぎるほどに用意の整われた青年が、ますます熱って身体を淡く紅潮させるペリーヌ様の乳房を弄りながら、隊長のいう“淫売婦”がこれからどんな風に振舞うかを、うなじを吸う唇で耳元に囁くと、お嬢様は、それがどんな苦痛をご自分にもたらすかということも考えられず、言われるがままに従ってゆかれます。
地面に敷かれた毛布の上に胡坐をかいた青年の首に腕を回して、抱っこをするように彼の腰の上にしゃがんでいくペリーヌ様の秘部を彼の指が押し開き、腹に付くほど屹立した男性器をその小さな入口に狙い定めてゆきます。
やがて、青年のものがお嬢様の股間に触れ、その先端が中に潜ろうとしますが、さすがに未通の少女の膣口は狭く、目一杯広がっても受け入れられそうもない粘膜が男性器によって今にも引き裂かれようとする局部の痛みによってやっと正気づかされたペリーヌ様は動きを止められ、まだ始まったばかりでこんなに痛いのに、もしこれが本当に中まで入ってきたらわたしはどうなってしまうのかしらと、性交という未知の行為への恐怖に今更ながら身体が震えてくるのを禁じ得ませんでした。
早すぎる破瓜の洗礼を目の前にした処女の逡巡を見かねた青年はこれが最後と、お嬢様にここで止めるつもりが無いのかを確かめます。
抑えきれない心の動揺に打ち震えるお嬢様でしたが、それでも、何故自分が今ここでこんな事をしているのか、それを思い出したペリーヌ様は大きく息をして自らを落ち着かせると、青年の問いに答える代わりに、ただ一度頷かれました。
ペリーヌ様のご覚悟を確認された青年には、もはや迷いは消え、彼は少女の背中を抱いて体重を乗せると、お嬢様の腰を自らの穂先に向かって一気に押し下げます。
処女粘膜が裂かれる激痛と狭い膣を無理やり押し広げられる圧迫感、そんな中を容赦なくこすり上がって来た男性器に子宮が突き上げられる内臓が引き攣れるような苦悶、それらは処女を奪われた“女”にしか解らない、正しく肉体を刺し貫かれる苦痛としか言い表せないものでした。
それらすべての苦痛に一度に襲われたお嬢様でしたが、事の一部始終を見ていらっしゃるお母様にご自分が苦しむ姿を見せれば、お母様も苦しんでしまうに違いないのを知っていたペリーヌ様は、必死に悲鳴が上がるのを堪えておられました。
けれどもお嬢様にとってそれは終りではなく、試練はまだ始まったばかりだったのです。
はじめの激痛が通り過ぎてもなお続く苦痛に息を喘がせながら、ご自分の身体にしがみつくペリーヌお嬢様のお苦しみがいかばかりか、それが解らぬ殿御ではございませんでしたが、事ここにいたり、もしこれが芝居だったことが露見すれば、青年を救うために処女を捧げたお嬢様の犠牲は無駄になってしまいます。
しかも、それは自分が捕縛されるのみならず、自分を庇ってくれたこの母娘にも咎が及び、隊長を騙した見せしめとして、二人とも兵隊たちの慰み者にされ、死ぬまで陵辱され続けることになるでしょう。
そんなことにならないためには、たとえそれが初心な少女の身にはどんなに酷かろうとも飽くまで淫売婦として扱い、その客らしく、華奢な肉体を存分にもてあそび、気を失うまで青い性を貪って見せるしかないと、彼は心を鬼にしてお嬢様を犯し続けます。
もしこれが本当の淫売婦でしたら、客を満足させるために自分からはしたなくも腰をふるところでございましょうが、言うまでもなくペリーヌ様はまだそのような淫技などお知りにならず、たとえ知っておいででも、お嬢様の未熟な膣では殿方のものを受け止めるだけでも精一杯で、そのような余裕はどこにもございませんでした。
もちろん青年もそのことは解っておいでで、お嬢様の中に入ったまま、もっと動きやすい体位となるようにそのお身体を横たわらせると、ペリーヌ様の腹にのしかかり、無慈悲とも思えるほどに腰を打ち付けてゆかれます。
激しく抽挿を繰り返す殿方のものに蕾芯を深々とえぐられるペリーヌ様のお身体は無意識にそれから逃れようとしてずり上りますが、青年に押えられてそれもできなくなったお嬢様はまだ責め苦でしかない愛の行為を歯をくいしばりながら耐えておいででした。
目に涙を溢れさせ、さぞお苦しかろうはずでしたのに、それでも悲鳴一つお上げにならず耐え忍んでいらっしゃるお嬢様をみた青年は、せめてほんの少しでもその苦痛を和らげたいと思われたのでしょう、いっときお腰の動きを緩められ、再びペリーヌ様のお身体に愛撫をされはじめます。思えば、これが未開花だったお嬢様の女を目覚めさせるきっかけとなったようでございます。
処女を失ったばかりのお嬢様の心はまだそれを拒んでおいででしたが、跡が残るほど強く首すじを吸われ、波打つ胸の膨らみの上で痛いほど固く尖った先を玩ばれる内に、お嬢様の肉体はどんどん熱ってゆかれ、とろとろと潤っていく女の部分は殿方の愛の道具を受け入れ始めたばかりでなく、精が放出されるのをうながすかのようにひくひくと蠢き、それに絡み付いてゆきました
東洋のある国では女性のあの部分を火処(ほと)と呼ぶそうでございます。ご本人はまだお気づきになられておられませんでしたが、おそらくはこれもお母様ゆずりなのでしょう、お嬢様のそれはその言葉の意味するとおりに、その熱い場所を知ってしまった者を狂おしいほどに燃え上がらせたぎらせる、殿方にとってはとても具合が宜しく、同じ性を持つ身には妬ましくもある特質をお備えになられていたのです。
とはいえこれがお嬢様にとって宜しきことだったのか、それとも悪しきことだったのか、それはわたくしには判りません。
けれども、今、この場面で、お嬢様の肉体が若き伯爵様にこれまでのいきさつを忘れさせ、淫欲に溺れさせてしまったのは事実でございます。
ただでさえ狭い蕾芯の中でさらに締め付けられる殿方の官能がいかばかりか、女の身にはそれを推し量ることもできかねますが、愛の泉を最後の一滴まで味わおうとでもいうように青年はペリーヌ様の股を大きく開かせて、口にのぼらせるのも憚られるようなあられもない姿勢を取らせては、征服した女の胎に子種を思う存分吐き出したいという野蛮な牡の本能に突き動かされるように荒々しく犯し、まだ子を宿すことのないお嬢様の子宮に淫液を何度も満たしてゆかれます。
やがて、すでに息も絶え絶えとなり今にも気絶寸前となっているお嬢様を、それでもまだ獣の姿勢で犯し続ける青年の姿を見て、さすがに鼻白んでマリ様への追求などもうどうでもよくなった隊長は、奥様の手首の縄目をサーベルで切り解くと兵隊たちを引きつれ、兵舎へ帰ってゆきました。
『ペリーヌッ!!』
兵隊たちが立去った後、村外れの夜のしじまに娘を心配するマリ様の叫びが響いた瞬間、精を放つ快感と共に股間に走るズキンという痛みに襲われて我に返った青年が見たものは、陵辱の限りを尽くされて目の前に横たわる痛々しいお嬢様の裸身でした。
霞がかっていた頭が憑き物が取れたようにはっきりしてくるにつれ、自分が何をしたのかを思い出した青年は、自分を助けようとしてくれた少女をこんなにも傷つけてしまったという慙愧の念に苛まれながら、お嬢様に許しを乞われました。
そんなあまりに苦悩する青年のご様子をご覧になられたペリーヌ様は、ご自分がどんなに消耗されているかも忘れて相手のことをお気遣いになり、蒼ざめたお顔になんとか微笑みを作られて、彼に向かって心配しないように言うのでした。
そして、やっと足の縛めを解いて駆け寄って来られたマリ様も、どのような償いでもさせてほしいという青年の言葉に、娘がしたことは母親の自分を助けるためでもあったのですから気に病まないように、それにもしも娘のことを思ってくださるのなら、この娘のしたことを無駄にしないためにも今は黙ってこの場を逃げのびていただけた方が娘も喜びますと、彼を諭されるのでした。
青年も去り二人きりとなった時、あれほどのことを経験されたというのに、ペリーヌ様はまるで感情を無くされたかのように言葉も無くお身体を丸められ、マリ様も何も仰しゃらずその膝にお嬢様を抱かれておられました。
そんなペリーヌ様を現実に帰らせたのは、愛人を持つ女なら誰でも知っている、あの事の余韻を妨げること、膣から洩れ出る殿方の精が股間を汚す、あの感覚でした。
お嬢様がまだズキズキ痛む股間に手をやると、そこはヌルヌルぬめる液にべっとりと濡れ、おそるおそる戻した手に付いていたドロっとしたものからは噎せかえるような臭いがして、愛人のものだと思えばがまんできるそれも、ほんの小一時間前まで処女だったペリーヌ様にとっては穢れとしか思えませんでした。
そんなものがご自分の中に何度も何度も吐き出されてしまったのを知ったお嬢様は哀しくなられ、堰を切ったように泣いておしまいになられます。
むせび泣くお嬢様を抱きしめて幼子をあやすように背中をさすっていたマリ様でしたが、傷つき腫れて熱をもってしまっている娘の、女になったばかりの部分をこのまま放っておくこともできず、ペリーヌ様が少し落ち着かれたころを見計らって、これは大事なことだから覚えておくのですよと言ってお嬢様を立たせ、膣を丁寧に洗い清められてゆかれます。
奥様にどんなに優しくされていても、やはりどこか痛まれるのでしょう、それに母親とはいえ、いいえ母親だからこそ、なのかもしてませんが、親の許しも得ずに殿方とあのような淫らな事をしてしまった罪悪感と、こんなにも汚されてしまった部分を目の当たりにされる恥ずかしさとに、お嬢様はときどき身をお悶えになられていらっしゃいました。
けれども、お嬢様の肌の裂傷や擦過傷の手当てをされる奥様のお心には、また別の想いが浮かんでは消えておいででした。
ペリーヌ様にもそろそろ伝えておこうとお考えだった、カーマの最初の手ほどきがこんな形で始まってしまったことを物悲しく感じておられたマリ様は、お嬢様のお身体に刻まれた淫行の跡を見るにつけ、あの青年の娘への激しすぎる交合を招いたのはもしかしたら自分のせいかもしれないとお思いになられます。
それは奥様がまだお嬢様と同い年の頃、破瓜されたばかりの少女のマリ様をエドモン様が初夜からどんなに激しく求められ、それからは夜毎、いいえ、昼も夜も一日の空く日もなく愛を重ねられ、正式な結婚をされる頃にはもうペリーヌ様を身ごもっておられたことからも分かるように、マリ様にはやはり殿方を惹き付ける何かがお有りだったようでございます。
そして、それはその血を受け継ぐペリーヌ様にも……
エドモン様にまだ幼さの残るマリ様を娶わせたマリ様のお父上には多少の打算があったにしても、やっと初潮を迎えるか迎えないかの少女を嫁がせること自体は、当地ではそれほど忌むべきことではなく、それにお二人はとても仲睦まじくお幸せなご結婚でございました。
けれども、これから向かうフランスの地で娘はどんな殿方を愛し、愛されるのか、そしてその時まで自分がそばに居られるのか、そんな微かな不安を感じるマリ様は、ただお嬢様の幸せを願わずにはいられませんでした。
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